中国四国地方のアイコン

中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【鳴門】 森林自然観察会

2014年03月13日
高松
鳴門山は元々あった松が松枯れによってどんどん植生が失われつつあり、その回復のために地元・鳴門市立桑島小学校児童によって植樹が行われています。
例年ならばウバメガシの苗木の植樹を行うのですが、3年前の秋はドングリが不作であまり拾えなかったこと、また中に虫が入っていたことであまり生育せず、苗木にまで育ったものが少なかったようです。
残念ながら今回は植樹は無しということでしたが、集まった6年生は寒さに負けず、元気よく自然観察会に参加してくれました。


【講師、徳島県植物研究会会長の木下からのお話】

植樹するといえば、=苗木を植える、と思うかも知れませんが、それ以外にも緑を増やすことができる方法があるのです。
それは・・・鳴門山で拾える実を使って緑を増やそう!
草木は元々そこになくても自然に生えてきたりすることがありますよね。
その仕掛け役は人ではなく、生き物や風や雨など自然のそのものです。
動物の糞の中や体に付いたもの、風にのって飛んできたものには種子が付いているということ。
ですが、木の実が地面に落ちれば発芽する、ということはなく、種子は発芽するためにいろんな工夫を持っていることを教えてもらいました。

【割るとどうなる?】

また赤い実は野鳥たちが好んで食べ、そして糞が落ち、植生を広げていきます。
その中、トベラの赤い実を割ると果肉がネバネバしています。
これをそのまま植えても果肉が邪魔をして発芽しませんが、野鳥が食べると果肉が消化され、糞には種子だけが出され、果肉が取れることで発芽しやすくなります。
これらにならって動物や風にかわって人の手でそれをやってみようという木下さんからの提案。
・・・だったのですが、これも事情によって今回は行えませんでした。


【・・・どの木の実だっけ?】

同じ赤い実でも鳴門山には、トベラ、シロダモ、マサキがあり、どれがどの木なのか、実の付き方なども見比べてみました。

座りっぱなしで寒くなってきたなぁ、と思っていると、2人目の講師、佐那河内いきものふれあいの里の市原さんが手を出し、こんな生き物が出てきたよと見せてくれました。
そして「この辺りにいる生き物を探してみよう!」と声が掛かると
児童達は一斉に探し出します。


【ん!?何かいる・・・気がする】

石の下や土を掘ったり、草をめくったりと夢中になって探し出します。
中にはアマガエルを発見したり、ごく小さな虫を見つけたりと大人よりも生き物を見つける力は子供の方が断然ありますね。


【市原さんが何か見つけました】

【ジバチのようですが・・・】
昆虫も真冬だと寒くて動きもかなり鈍いのですが、だんだん暖かくなってくると動き回りだします。土や腐植木から出てくる昆虫の中には毒を持ったハチがいることもありますので、暖かい日は特に注意して下さいね。

そして、今回市原さんが用意したとっておきは・・・

【何か分かりますか?】

ヒントは全て両生類です。1種類は腹部があざやかなピンクをしています。
この内1種類を7匹も飼っていたという児童もいました。さすがに飼っていた児童は平気で触っていましたが、大半の児童はやや引き気味・・・。
毎年この観察会で見かける光景は、3年生の時は平気だった生き物も、なぜか6年生になると触れない!という児童を多く見かけるのと、必ず女児1人はなんでも平気というのが、この鳴門での観察会の特徴かもしれません(笑)
だんだんと成長して大人に近づいてくると先入観が働くのかもしれませんね。

今回は残念ながら植樹はできませんでしたが、また児童達が大人になって観察会をしたこと、ドングリを拾ったことを思い出してくれると嬉しいですね。

さて、両生類の答えは・・・


水 色字:徳島県牟岐町で見つけたカスミサンショウウオ
ピンク字:徳島県佐那河内村で見つけたカスミサンショウウオ
同じ種類の生き物でも、見つけた地域によってからだの色や模様、環境変化に対応できるかなど違いが出るのが遺伝子の多様性ー生物の多様性なのです。