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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

宮島地区パークボランティア研修会開催①

2014年02月12日
広島
当所では、パークボランティア(以下、PV)活動に資する内容をテーマに
年1回研修会を開催しています。
今年3月16日で瀬戸内海国立公園は80周年を迎えます。
「国立公園の父」といわれる田村剛博士が尽力されたという「国立公園の誕生」について
柴原自然保護官より講演を行いました。

[殆どの会員の方が出席くださいました]

当時、自然を守る制度として「天然記念物」や「名勝」は既にあったようですが、
“利用”のための“保護”という概念は国立公園制度で初めて唱えられました。
宿泊施設や登山道、展望台やビジターセンターなどが整備され、
自然を傷つけること無く、私たちが登山やダイビング、自然観賞を楽しめるのは国立公園の誕生が大きく貢献しているといえます。
どのようにして日本に国立公園が誕生したのか?
なぜ瀬戸内海が日本で最初の国立公園となったのか?
国立公園の自然保護に携わるPVの皆さんには目から鱗の話だったのではないかと思います。

その後、宮島水族館の塚本館長より
「瀬戸内海の生物多様性」についてお話いただきました。
中でも興味深かったのは館長が研究をされているフジツボについて。


フジツボって貝のイメージがありませんか?
実はカニやエビと同じ甲殻類で、内部には蔓脚(まんきゃく)という脚もあって
カニと同じように脱皮もします。
また、岩に定着するフジツボは海の生態系を見る指標にもなります。
海外を行き来する貨物船に用いるバラスト水によって外来プランクトンが日本に持ち込まれ、外来フジツボが全国的に増えています。
※バラスト水…無積載の船がバランスを保つため、出港先の海水をタンクに詰め込む水のこと
塚本館長のお話では、宮島の海岸は今でも在来種であるシロスジフジツボが優勢であることが確認されており、島内だけではなく海岸沿いでも海の生態系が守られていることがわかりました。
マクロの映像や写真を交えながら、
ユニークなフジツボの世界をお話いただき、
より瀬戸内海の魅力を感じる研修会となりました。

※午後は宮島水族館でバックヤードツアーを実施しました。
水族館の生物については次回の日記で掲載します。