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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

ゆきんこの正体

2013年12月10日
広島
「ゆきんこ」ってご存じでしょうか?
この季節になるとよく見られる
ふわふわと飛ぶ白い毛を持った小さな虫です。
「雪虫」と呼ばれる地域が多いようですが、
広島では「ゆきんこ」と呼ばれ、
子どもの頃よく捕まえて遊んでいました。
ゆきんこを見つけるともうすぐ雪が降るとか
殺してしまうとその年は雪が降らないんだとか言われていました。
(誤って潰してしまっても雪は降ったのでただの迷信ですが…)

[ゆきんこ]
お尻の白い毛は見た目もかわいらしく、
まさに雪の妖精だと思っていました。
今でもゆきんこ探しは大好きなのですが
先日、そのゆきんこの正体を知ってしまいました。
なんと…
雪の妖精ゆきんこの正体は
「アブラムシ」だったのです!!!

ゆきんこに変身するアブラムシは何種類かいるようで
以前紹介したことのある「ヌルデシロアブラムシ」もゆきんこになるそうです。
アブラムシ♀は単為生殖しますが、
秋になると羽が生えたアブラムシが生まれ、
♂と交尾、そして卵で越冬します。
ヌルデシロアブラムシの場合は
ゆきんこになってヌルデから飛び立ち、
チョウチンゴケに卵を生み、幼虫で越冬。
春にまたヌルデに戻って繁殖するようです。

ヌルデはどこにでもあるウルシ科の植物ですが、
よく見ると白い虫こぶを見つけることができます。
この虫こぶはヌルデミミフシ(耳五倍子)といって
この中にヌルデシロアブラムシが寄生、繁殖しています。

[ヌルデミミフシ:タンニンが多いため昔は染色などに使われていました]

[虫こぶの中を開けると中にはヌルデシロアブラムシが!]

ゆきんこだとかわいいんですが、
やはりアブラムシの群衆は抵抗あります。
幼虫から成虫へと姿を変える昆虫の変身ぶりには
毎度感心させられますが、
同じ成虫でもこうも姿を変える昆虫がいたとは…
見た目にだまされると本質が見えなくなるということでしょうか。
今後アブラムシを見る目が変わりそうです。


[毛が生える理由はなぞです]