中国四国地方のアイコン

中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

三瓶山は紅葉の季節です

2013年11月08日
松江
すっかり秋も深まってきました。三瓶山も紅葉の季節をむかえています。
山を歩くと淡く色づいた落葉の木々に包まれました。また麓の西の原ではススキの海原が秋風にゆれていました。この季節晴れた日に野山を歩けば、素敵な風景に出会えるでしょう。

【色づく落葉樹の道を歩くのはいいものです。】



そんな三瓶で先日、「ウスイロヒョウモンモドキ」という希少な蝶の生息地の植生調査と維持作業の立ち会いに行って来ました。
これは環境省が委託しておこなっている事業です。
植生調査はこの蝶の食草、特にオミナエシの生育状況調査をおこないました。
オミナエシは秋の七草の一つで、沢山の小さな黄色い花を咲かせる草花ですが、これがこの蝶の幼虫の餌なのです。三瓶山ではオミナエシがないとこの蝶は生きていけません。
ですが近年オミナエシが減少しているため、その苗の植栽を関係者と一緒におこなってきました。
調査の結果、昨年植えられた苗は花を咲かせたり、株を増やしたりして順調に生育していました。調査されたデータは今後の保全のための活用ができればと考えています。

【ススキを調査しているように見えますが、そうではありません。その手前のオミナエシの株の数や高さ、花茎の数や高さを調べています。】


【西の原ではこんな光景も。】

さてその調査から1週間後、今度はナラ枯れ被害や対策の情報共有のための現地会参加のため再び三瓶山に行って来ました。
全国でナラ類などの木々が枯れる伝染病「ナラ枯れ」が問題になって久しいですが、ここ三瓶山でも近年被害に悩まされています。
ここは国有林でもあるため、林野庁が対策を講じています。その甲斐あってか壊滅的な打撃は受けていませんが、未だ終息に向かっていません。

【ナラ枯れの被害木を見ながら説明を受けます。】

ナラ枯れは比較的大きくなった木がやられやすいそうです。
里山とよばれる山は、薪などとして利用できる木々に造り替えられてきた森で(薪炭林・二次林)、樹木を切り出すことによって木々が若返り(萌芽更新)森が維持されてきました。
ところが高度経済成長と共に石油や電気を使うことにより、薪炭林は放置される様になりました。放置され何十年か経った今日、大きくなった木々が増え、全国的にナラ枯れの問題が噴出しているのだと言われています。
人間が植林し管理していた杉・檜を放置してしまっているために、今 山が荒れ土砂災害が起きやすい要因となっているように、人が一度手を加えたものは、最後まで責任を持たないと、結局何らかの形でそのツケが帰ってくるのかもしれません。


【室ノ内の森です。わずかの間に山の色づきはすっかり濃くなりました。】

【道には落ち葉のじゅうたんが敷き詰められていました。】

さて三瓶山の紅葉は見頃をむかえています。(11月7日現在の状況です)
三瓶山は天候が急変しやすいです。辺りが晴れていても雨が降る事も多々あります。山に登られる方は装備と心の備えをしっかりして、紅葉狩りを楽しんでください。