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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

ウサギの楽園?

2013年10月10日
広島
竹原市忠海町の沖合い3キロに浮かぶ島・大久野島。
周囲4.3キロの小さな島で
かつて戦時中には毒ガス製造所として
地図から消された島でもありました。
1950年に瀬戸内海国立公園に指定され、
今では登山道や海水浴場のほかビジターセンターが整備され
自然体験学習をする場所として人気を集めています。

そして、別名「ウサギ島」「ウサギの楽園」ともいわれています。
もともとウサギが生息していた訳ではなく、
1971年に島外の小学校で飼えなくなったアナウサギ8羽を島に放したのがきっかけで
現在では700羽以上のウサギが野生化して生息しています。
瀬戸内海のゆったりとした空気の中、
足を伸ばしてのんびりしているウサギを見ると癒やされますし、
ウサギ目当てで来島される方も少なくありません。

[気持ちよさそう…夏場は涼しい巣穴に入っていますが、涼しくなると木陰で休みます]

[木の実や花びら、下草などを食べます]

最近はアナウサギと違ったウサギを目にするようになりました。



[上のアナウサギと違うのが分かるでしょうか?]

どうやら飼えなくなったペットのウサギを島に放す方がいらっしゃるようです。
「ウサギの楽園」ならきっと他のウサギと仲良く元気にやっていってくれるだろうと放されているのかもしれませんが、それは人間側の都合がいい解釈ですよね。
ペットを捨てていい場所は世界中どこにもありません。
大久野島のウサギも一見のんびり暮らしているように見えますが、
カラスなどの天敵や悪天候といった厳しい自然の中で暮らしていかなければないりませんし、なわばりがあるため他のウサギにいじめられ命を落とすこともあります。

人為的に野生に放され繁殖した生き物は
どうすることもできませんし、
元々あった生態系を乱しかねません。
一度飼育した生き物は最後まで責任を持って飼っていただき
野外に放すことのないようお願いします。

ついでに…
先日、島内のキャンプ場でミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)も発見されました。

[生態系に悪影響を及ぼしうる要注意外来生物です]
淡水性のカメが海を渡って来ませんのでこちらも捨てられたのでしょうか…
飼う前には生き物の寿命や生態をよく知った上で飼育し、
子どもが産まれたら困る場合は雄雌を一緒に飼育しない・避妊手術をするなど、
飼い主としての責任を持った行動をお願いいたします。