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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

冬のお客様

2013年03月15日
松江
隠岐の島に冬の間お客様が来ていました。
左からソデグロヅル、マナヅル、カナダヅルの3羽のお客様です。


左のソデグロヅルは日本では希少種であり世界的に非常に貴重な野鳥です。
世界的にも生息数が少なく約3000羽程度しか生息していないようです。夏季は主にシベリアの北極圏に近いところで過ごし、越冬地は中東と中国の2グループに分かれて越冬するようです。今回の隠岐のように日本でも極稀に記録されるようです。写真では翼が折りたたまれて見えませんが羽を広げると翼の先が黒くなっておりまさにソデグロの名にふさわしいツルです。

中央のマナヅルは絶滅危惧Ⅱ類の野鳥です。
世界的にも4000~5000羽が生息していますがその大半が鹿児島県の出水市で越冬することからご存知の方も多いのではないでしょうか?

右のカナダヅルは希少種で名前の通りカナダに主に生息しています。
アラスカからカナダ全域に広く生息しており主にカリフォルニア付近で越冬するようです。日本でも稀に迷鳥としてマナヅルに混ざって過去に出水市で記録されたようですが、その数は少ないようです。

隠岐では数年前にコウノトリやクロツラヘラサギなども記録されており、コウノトリは数年隠岐に留まったことから「隠岐の島 幸(さち)」という名前で隠岐の島町から住民票が発行されています。現在、佐渡や出雲でトキが繁殖されていますが、実は隠岐は佐渡の次にトキが生き残っていた場所だそうです。
トキやコウノトリ、ソデグロヅルもどちらかと言えば肉食の鳥でドジョウやカエルなどを好んで食すようです。こうした鳥達が隠岐にいたということは隠岐にはまだ以前の日本の田園風景のように生きものの豊かな生態系が残されているのかもしれません。


現在はソデグロヅル、マナヅルがシベリアへ向けて飛び立ったようです。カナダヅルはまだ飛び立ってはいないようですが、もし見かけた際には遠くからそっと見守ってください。