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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

「笠松山・世田山ハイキング~春の訪れを感じよう~」を実施しました。

2013年03月12日
松山
3月2日(土)に、当事務所主催の観察会「笠松山・世田山ハイキング~春の訪れを感じよう~」を行いました。

笠松山・世田山の標高は300m程度で、ハイキングとしても気軽に楽しめるコースであるため、多くの方からご応募いただき、当日は参加者36名、スタッフ8名、総勢44名でハイキングを行いました。

【奥に見える山が笠松山】

笠松山の麓にある今治市朝倉支所から出発し、まずは野々瀬古墳群の見学を行いました。
野々瀬地域には、古墳時代後期~終末期の円墳が20基余り現存しています。その中で、愛媛県下でも規模が大きい五間塚古墳、七間塚古墳を見学しました。

【七間塚古墳】
七間塚古墳の石室は、全長10m、高さは2mもあります。
五間塚古墳と七間塚古墳は、古墳の中に入ることができ、皆さん実際に中に入って大きさを実感していました。

野々瀬古墳群を見学した後は、いよいよ笠松山へ。
笠松山は、2008年8月に山林火災があり、107ヘクタールの山林が焼失しました。
山林火災が起きる前の笠松山はどのような植生だったのか?世田山や周りの山と見比べて講師に説明してもらいます。また、笠松山登山口にあるヒノキ林の下層に生えるコシダとウラジロについても説明して頂きました。

【ヒノキ林 コシダとウラジロの説明】

【笠松山 登山道】
火災から4年経った現在は、ボランティア団体の植栽や間の治山事業により徐々に復旧しています。その様子を実際に目で見ながら登山しました。


【笠松山山頂】
笠松山山頂からの景色は絶景です。そこから見える来島海峡大橋や瀬戸内海の島々の歴史についても講師から解説して頂きました。

笠松山でお昼休憩をした後、笠松山から尾根沿いを通って世田山へ向かいました。

【世田山へ】
ここが一番の難所の急傾斜地なのですが、みなさんしっかり前の人に続いて歩いていっています。

世田山から下山途中、いくつかの植物を講師の方から紹介してもらいました。

【左:メヤブソテツ  右:ヤブソテツ】
メヤブソテツは、上の写真右にあるヤブソテツと同じオシダ科ヤブソテツ属のシダ植物です。一般的にヤブソテツはよく見られますが、メヤブソテツは、愛媛県のレッドデータブックの準絶滅危惧(NT)に指定されています。


【ハカタシダ】
シダ植物などは、しっかりと観察したことが少ないのか、みなさん形の違いやその美しさにびっくりしていました。

また、そのほか笠松山、世田山で見られた植物です。

【左上:オオシラガゴケ 右上:キンシゴケ】
【左下:トゲシバリ   右下:シハイスミレ】

コケ植物のオオシラガゴケや地衣植物のトゲシバリは、下層まで光が良く届いたり、乾燥に強かったりする条件からアカマツ林内でよく見られる、アカマツ林を特徴する植物です。
キンシゴケは、胞子のうの柄が黄金色をしているように見えませんか?そこからキンシゴケと名付けられたそうです。
また、笠松山山頂へ上る階段にひっそりと生えるシハイスミレも見つけました。

笠松山・世田山の自然についてだけじゃなく、歴史についても学べたハイキング。
実際に自分で歩いて、耳で説明を聞いて、目で見て、感じて、みなさん満足して頂けたのではないでしょうか?
皆様、お疲れ様でした。

【集合写真】