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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【自然観察会】 鳴門山に緑を増やそう!

2013年03月05日
高松
毎年卒業間近のこの時期、鳴門山では緑を増やす行事が行われています。
鳴門市立桑島小学校6年生によるウバメガシの植樹です。
元々鳴門山には多くの松がありましたが、マツクイムシの影響で徐々に枯れ、緑が少なくなってきました。
そこで17年前から桑島小学校児童の手で地元の緑を増やそう!と始めたのが
この植樹と自然観察会。
同じく毎年11月に3年生がドングリ拾いをしていますが、この拾ったドングリを3年間大事に育てて苗木にし、また鳴門山に戻します。
夏の暑さで苗木が弱りそうになっても、児童達は一生懸命水やりをして、植樹できるまでの大きさに育てたそうです。

駐車場から鳴門山までの道すがらには何だか楽しいモノが。

見たことあるもの、ないもの、みんな分かったかな?

講師:市原さん(徳島県立佐那河内いきものふれあいの里)が予め仕掛けたクイズ。
ただ植樹場所まで歩くのではなく、こんな仕掛けがあると楽しくなりますね。

鳴門大橋の見える広場に着いたら、もう一人の講師:木下さん(徳島県植物研究会長)から苗木の植え方をレクチャー。


「こうやってポットから外して」

レクチャー後は自分たちの苗木を持って植樹です!
ポットからやさしく取り出して、財団スタッフが開けてくれている穴に植えていきます。
苗木を入れたら土を被せ、スコップでペタペタと締めていきます。



きちんと土を締めたら、水をあげて完了!
近くには昨年植樹したウバメガシもありました。
目を見張る程の成長は見られませんが、少しずつ大きくなっているのは分かります。

山頂展望台では春と秋に野鳥の渡りが見られ、大きなスコープやカメラを持った人達が観察をしています。
この日は日本野鳥の会徳島支部・三宅さんが渡りの観察に来ていました。


     鳴門で見られる渡り鳥を説明

市原さんはイラストを使って野鳥を説明

展望台でいる間には、サシバ3羽の渡りを見ることができました。
猛禽類は格好いいのか、あまり見ることがないのか児童達に人気のよう。
トビが争い事をしている様子や近くまで滑空してくる様子に「あっ!」「でかい!」など双眼鏡を使って見たりと夢中でした。

展望台から千畳敷へ向かう途中にも、なにやら発見が。
腐った木の幹には何がいるかな~。


「え~、なになに・・・」

木を剥ぐとクワガタムシの幼虫が出てきました。そう、白くて大きい幼虫です。
昆虫好きなのか1人の女子がすぐに手を伸ばして幼虫を観察し一言「かわいい~」
意外と男子の方が「気持ち悪い」と言っていました。
幼虫や成虫も店頭で購入できますが、こんなふうに自然に転がっている腐ったクヌギの中で幼虫を見ることは最近の子供達にはあまりないんでしょうね。
そんな腐ったクヌギには、天然のシイタケが2つ生えていました。
シイタケがこんなふうに生えているのも、もしかしたら初めて見たのかも?
一度好奇心を突かれると、何か見つける度に講師たちに質問!
6年生になって少し大人びたかなぁと思いましたが、やはりそこは小学生。
大人になってもその気持ちは大事です☆

この児童たちが卒業して、高校~大学、そして家族ができる頃には植樹したウバメガシも大きくなっているはず。
自分たちの成長と一緒にこの鳴門山のウバメガシも成長し、そしてまた児童達がここへ戻り「わたしたちが増やした緑の山!」と自慢する日が待ち遠しいです。


「また会いに来てね」ウバメガシたちもそう言っているようです。