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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

冬越しする昆虫といえば?

2013年01月18日
広島
早いもので2013年も3週間が過ぎてしまいました。
先週も広島は寒気が流れ込み、積雪もありました。
こうも寒いと人間も動物も昆虫も
家にこもってしまいますよね。

17日、現地調査に行った仙酔島でも
磯ではカニの姿は見ないし、
虫の鳴き声もなくシンとしていました。
ですが、砂浜を歩くとタヌキの足跡があったり、
登山道ではカマキリの卵塊があったりと、
冬は冬で静かに生きている生き物の様子もうかがえました。

[タヌキの足跡]

[変わった幹!と思ったらチョウセンカマキリの卵塊が…]

この季節、何とか寒い冬を乗り切ろうと昆虫が色々な工夫をしていますが、
冬越しといえば何の虫を思い出しますか?
私がまず思い浮かべるのは“ミノムシ”です。

子どもの頃はぶら下がってるのを見つけては
ミノをむしって幼虫を出して遊んでいましたが、
(今思えば非常にむごい話ですが…)
春になれば羽化する“ミノガ”というガの仲間です。
しかし、羽化といっても実はメスには羽がなく、
羽化後もミノの中で過ごします。
メスのいるミノにオスが飛んできて、ミノの中で交尾、産卵。
その後、息絶えてミノから落ちるという一生を送るようです…
動き回れるのはミノムシになる幼虫の時のみ。
チョウやガは成虫になったらパートナーを求めて羽ばたくものかと思っていましたが、
ミノガのように安全に産卵し命をつなぐという手段を選んだガもいるんですね。


仙酔島の登山道でもぶら下がっているミノムシを発見。
越冬中はオスかメスかは分かりませんが、
春にオスをおびき寄せるフェロモンを出すためお尻を出してるミノムシがいたら、それはメスです。
産卵をする大事なミノですから、(私のように)むしらずそっと観察してみたくださいね。
初夏には孵化した赤ちゃん幼虫が見られますよ。