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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

命のゆりかごシンポジウム出演!

2012年12月06日
広島
中国新聞を取っていらっしゃる方ならご存じかと思いますが、
“命のゆりかご~瀬戸内の多様な生態系~”という瀬戸内海の自然を題材にした連載が今年新聞協会賞を受賞されました。
卵を守る母タコや日本最大級とも言われるニホンアワサンゴ群生地、
温暖化によって増加傾向にある南方系の魚など、
普段なかなか目にすることのない海の中での出来事が取り上げられ、
瀬戸内海をより身近に感じるとともに
海の生きものが私たちに警告を与えてくれたような連載でした。
※命のゆりかごは中国新聞のホームページにも連載されています。

12月2日に新聞協会賞受賞記念として、
命のゆりかごシンポジウムが開催され、
海中写真家の中村征夫氏より「海の力 自然の力 人間の力」というタイトルで基調講演が行われました。
中村さんからは自身が撮影した知床と沖縄の写真を交えながら、
知床に流れ着く流氷がもたらす栄養や
そこに集まる様々な生きものたちの様子のほか、
沖縄の珊瑚礁がもたらす生物多様生と瀕死の現状についてのお話がありました。
また、東京湾の撮影を始めるきっかけとなった
生きもののいないヘドロの海に数匹のイソガニが卵を守るため、
自分に向かってきたエピソードなど
印象深い話がたくさん聞けました。

基調講演の後は瀬戸内海の魅力や課題について考えるパネルディスカッションが行われました。
パネリストには中村さんのほか、
広島大学名誉教授の松田治先生、
日本釣振興会中国地区支部役員の小池勝氏、
そして恐れながら当所ARの大髙下も登壇させていただきました。

水質汚染や赤潮など長年瀬戸内海の環境に携わってこられた松田先生からは、
「海の水はきれいになったが、豊かな海には戻っていない。今後は水質管理から生物多様生の保全が豊かな海へ転換期だ」というお話や、
釣り糸を通して海との対話を続けてこられた小池さんは、
「海水温上昇により釣れる魚が変わってきた。南方系の魚が増え、埋め立て等によりアオギスが絶滅の危機にある」という話がありました。
大髙下からは「瀬戸内海の沿岸域の生物多様生の重要性や役割」について話をし、そのことを皆さんに身近に感じてもらうために、
「日本海や太平洋など色々な海にも訪れること」や
「国立公園で行われている自然観察会やエコツアーに参加してほしい」ことなどを提案をさせていただきました。

半世紀にわたって世界の海を潜り続ける中村さんをはじめ、
学問、レジャー、自然保護の一線で活躍をされているパネラーの方々から色々な意見が聞けたシンポジウムとなり、
個人的にも海に係わっている皆さんとのお話はとても貴重な経験となりました。

地元の皆さんが豊かな瀬戸内海を作り、守っていく。
そのことを今後も伝えていきたいと思います。


[パネルディスカッションの様子]

[レンジャー服にて。少しはアクティブ・レンジャーの言葉が広まったかも?]