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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

スナメリ調査

2012年11月22日
松山
11月2日と16日に忽那諸島へスナメリ調査を行って来ました。
過去の調査実績から忽那諸島では、この時期に運が良ければ見ることの出来るスナメリ。
スナメリとは、大きさおよそ1.5m前後で体は灰色、頭部は丸く背びれのない小型の哺乳類です。クジラの仲間に属し、瀬戸内海では生態系ピラミッドの中でも頂点に君臨する生物です。
水族館で人気のシロイルカを灰色にして、それをもっと小さくした生物と言うと想像しやすいかもしれません。

昨年、忽那諸島では、遠目で1匹発見したのみだったので、今年はスナメリを写真に撮りたいと思い、フェリー航路上からのスナメリ調査を行いました。

中島汽船のフェリー

フェリーの甲板からの眺めは、海面から高さがあり、スナメリを広範囲にわたって探すことが出来るというメリットがあります。また、本当かどうかはわかりませんが、スナメリはフェリーの音を好むそうで航路近くにスナメリがいるとフェリーに寄ってくるそうです。
船員の方の情報によると、今年は夏頃に東周り航路では芋子瀬戸あたり、西周り航路では二神島、津和地島の間海域でたまにスナメリを見かけたとのことでした。

1回目の11月2日は、野忽那島へ現地調査もかねて調査を行いました。
天候は晴れ、潮汐は中潮の満潮時、風は静穏、時々白波が立つ程度の風は吹きましたが観察には問題ありませんでした。

フェリーは高浜港から出航し、睦月港を経由し野忽那港へと向かいます。
睦月港から野忽那港への航路は、芋子瀬戸と呼ばれる海域を通る航路で、船員の方々もスナメリを良く見かけるポイントの1つで、過去のARの調査や観察会でも何度かスナメリを発見したポイントでもあります。

芋子瀬戸(睦月島と野忽那島の間の海域)
目を凝らしてよーく観察しますが、スナメリを発見することは出来ず・・・。フェリーはあっという間に野忽那港へ。結局この日は、往路復路ともにスナメリを発見することが出来ませんでした。残念。

と言うことで、野忽那島の現地調査の様子を少しご紹介します。
野忽那島には、港から比較的すぐに登れる皿山展望台があり、360度の瀬戸内海を展望はすることができます。

皿山からの展望(ちょうど船の走っている部分が芋子瀬戸)


皿山から北に位置する安居島、小安居島。その奥に見える島は広島県の上蒲刈島や豊島のあたりでしょうか。
また、少し歩くと額場(ぬかば)海水浴場もあり水も澄んでいて、周りは田畑や山に囲まれているため静かでプライベートビーチのようでした。
対岸は四国本土で松山観光港などの港があるため、船の行き来は多いですが、瀬戸内海を行き交う船を見ながら、のんびり時間を過ごすのもオススメだなと思いました。

額場(ぬかば)海水浴場

2回目の調査は11月16日、中島汽船の東回りで中島大浦港へ。中島泰ノ山への現地調査も兼ねてスナメリモニタリング調査を行いました。
16日の天気は晴、潮汐は中潮の満潮時、風は静穏、波も穏やかで絶好の調査日和でした。
あとは、スナメリが現れるのをカメラを構えて待つのみ!
フェリーは高浜港から睦月港へと着港し、いよいよスナメリを見るポイントの睦月港から野忽那港への航路へ。

フェリーの甲板前方から進行方向あたりを探していたら、甲板後方から「ポチャン」と音が聞こえ、「何かおるよ!」との声が・・・。
急いで振り返りそちらを見るとフェリーに近づいてくる2匹のスナメリ。背びれがなく丸まった背中をスッと海面に浮かべてまた海の中へ。
しまった・・・。と思った瞬間、フェリー間近にスナメリがもう1頭。
さきほどの、「ポチャン」と音を立てたスナメリでしょうか。フェリーに近づいてきて、くるっと向きを変えて、また海中へと潜っていきました。
慌ててカメラを構えてシャッターを切ったのですが望遠にしていたのと場所が全く定まっていなかったため、スナメリを撮影することは出来ず・・・。非常に残念でした。
しかし、比較的間近でスナメリの全体を見られたのは初めてでとても興奮!!
1m程度の小型のスナメリでした。

その時の撮影した写真 海面と泡しか写っていません
写真には、むなしくもスナメリが浮上したときの泡が右端に少しだけ写っていました。もう少し右にカメラを合わせていたら・・・。
その後もスナメリに会える期待をしながら、先ほどより意気込み探しましたが、結局その後、スナメリを発見することは出来ませんでした。

芋子島と漁船
この日は、芋子島の付近でたくさんの漁船が見られました。
何をとっているのかは、わかりませんが漁船がたくさんいるということは、魚もたくさんいてそれを餌にするスナメリもいると予想されます。

天候や潮汐、場所や餌などの関係からスナメリが見られることはまだまだ運が良く、珍しいことですが、今回見られたポイントは以前からも良く発見されている場所です。

青色丸が今回スナメリを発見したポイント
写真には、撮影出来ませんでしたが、今回の調査で3頭のスナメリを目視で確認出来ました。スナメリはいると言うことはわかったので、チャンスを狙って次こそは是非写真に撮りたいと思います。