アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
海域資質調査~干潟調査~
2012年11月01日
松山
瀬戸内海国立公園は、日本で一番大きな国立公園とされていますが、その大部分は海域部が占めています。瀬戸内海の一部を除く海域のほとんどが国立公園普通地域に指定されています。
国立公園の指定根拠である自然公園法の法改正に伴い海域公園地区という区分が誕生しました。これにともない愛媛県地域では一昨年前から県内にある干潟、昨年から藻場の調査を行っています。今年は、9月の下旬に干潟調査、10月の下旬に藻場調査を行いました。
その調査に同行した時の様子を干潟調査、藻場調査と2回に分けてお伝えしたと思います。
9月の下旬、岩城島の干潟調査に同行してきました。
干潟生物調査は、干潟の干出範囲に沿い海に向かって側線を引き、潮間帯を陸に近い方から上中下と3ゾーンに分け、調査区(コドラート)を決めます。そして、縦×横50㎝×50㎝、深さは20~30㎝までの穴を掘り、その中で見られた生物を記録します。
干潟調査の様子
残暑の9月中旬であったため、生物も減っているかもしれないと心配したのですが、潮が引き始めると、コアマモやウミニナ類、岩場には隠れていたアカニシも見つかりました。
コアマモ
潮が引いたときの波の影響か写真手前には凹凸があり、何かの巣のような穴も空いています。
干潟に入るとその周辺一帯で「パチパチ パチパチ」と音がします。なんだろうと思い調査を続けていると、正体を発見。
テッポウエビ
テッポウエビでした。左の大きなハサミで「パチパチ」と音を鳴らしていました。音の大きさからの推測ですが、かなりの数のテッポウエビがいそうでした。
1箇所のコドラート内で見つかった生き物たち
青:オサガニ類 緑:イカリナマコ
橙:ウミニナ類 黒:ユウシオガイ
バットの中には他にも見つかった生物がいるのですが、わかりやすいものだけ色で囲みました。このように、1側線につき3箇所、干潟の大きさにもよりますが、4~5側線で生物調査を行いました。
島しょ部には大きな川や海岸が少ないため、干潟の干出は小規模です。しかし、一つの干潟を見ても、地質が泥質であったり、砂質であったり、磯に近い部分では石、礫混じりの底質であったりと、さまざまな環境が存在します。
また、比較的開発されていない自然のままの状態であるため、そこをすみかに様々な生物が生息します。
左上:スナガニ 右上:ヤマトオサガニ
左下:ハクセンシオマネキ 右下:ヒライソガニ
今回の岩城島の干潟で見つかった種類の違うカニです。それぞれのすみか、食べるものなどの生息環境は違いますが、それだけたくさんの種類が存在するということは生物多様性という意味では優れた自然と言えるでしょう。
ヤマトオサガニ
最後に、オサガニとヤマトオサガニの見分け方の一つとして、ハサミを閉じた時に隙間が出来るか出来ないかで見分けることができるといわれています。
こちらの写真は赤で囲ってあるハサミの部分がしっかりと閉じて隙間がないので、おそらくヤマトオサガニだと同定できます。
今回の干潟調査では、まあまあ生物が見られました。
私たち人間を含め、たくさんの生物が共存していくためには海岸、砂浜、干潟、藻場を含めた豊かな海とは、いったいどのようにしていくのがよいのでしょう。
今回の調査結果がそのヒントに少しでもなるように。藻場調査に続く。
国立公園の指定根拠である自然公園法の法改正に伴い海域公園地区という区分が誕生しました。これにともない愛媛県地域では一昨年前から県内にある干潟、昨年から藻場の調査を行っています。今年は、9月の下旬に干潟調査、10月の下旬に藻場調査を行いました。
その調査に同行した時の様子を干潟調査、藻場調査と2回に分けてお伝えしたと思います。
9月の下旬、岩城島の干潟調査に同行してきました。
干潟生物調査は、干潟の干出範囲に沿い海に向かって側線を引き、潮間帯を陸に近い方から上中下と3ゾーンに分け、調査区(コドラート)を決めます。そして、縦×横50㎝×50㎝、深さは20~30㎝までの穴を掘り、その中で見られた生物を記録します。
干潟調査の様子
残暑の9月中旬であったため、生物も減っているかもしれないと心配したのですが、潮が引き始めると、コアマモやウミニナ類、岩場には隠れていたアカニシも見つかりました。
コアマモ
潮が引いたときの波の影響か写真手前には凹凸があり、何かの巣のような穴も空いています。
干潟に入るとその周辺一帯で「パチパチ パチパチ」と音がします。なんだろうと思い調査を続けていると、正体を発見。
テッポウエビ
テッポウエビでした。左の大きなハサミで「パチパチ」と音を鳴らしていました。音の大きさからの推測ですが、かなりの数のテッポウエビがいそうでした。
1箇所のコドラート内で見つかった生き物たち
青:オサガニ類 緑:イカリナマコ
橙:ウミニナ類 黒:ユウシオガイ
バットの中には他にも見つかった生物がいるのですが、わかりやすいものだけ色で囲みました。このように、1側線につき3箇所、干潟の大きさにもよりますが、4~5側線で生物調査を行いました。
島しょ部には大きな川や海岸が少ないため、干潟の干出は小規模です。しかし、一つの干潟を見ても、地質が泥質であったり、砂質であったり、磯に近い部分では石、礫混じりの底質であったりと、さまざまな環境が存在します。
また、比較的開発されていない自然のままの状態であるため、そこをすみかに様々な生物が生息します。
左上:スナガニ 右上:ヤマトオサガニ
左下:ハクセンシオマネキ 右下:ヒライソガニ
今回の岩城島の干潟で見つかった種類の違うカニです。それぞれのすみか、食べるものなどの生息環境は違いますが、それだけたくさんの種類が存在するということは生物多様性という意味では優れた自然と言えるでしょう。
ヤマトオサガニ
最後に、オサガニとヤマトオサガニの見分け方の一つとして、ハサミを閉じた時に隙間が出来るか出来ないかで見分けることができるといわれています。
こちらの写真は赤で囲ってあるハサミの部分がしっかりと閉じて隙間がないので、おそらくヤマトオサガニだと同定できます。
今回の干潟調査では、まあまあ生物が見られました。
私たち人間を含め、たくさんの生物が共存していくためには海岸、砂浜、干潟、藻場を含めた豊かな海とは、いったいどのようにしていくのがよいのでしょう。
今回の調査結果がそのヒントに少しでもなるように。藻場調査に続く。