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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

豊作の予感☆

2012年10月12日
高松
朝晩の冷え込みが一段と増してきた10月。
屋島北嶺に設置してある利用者カウンターのメンテナンスに行くと、
サクラやモミジ、ヤマハゼが色付き始めていました。


色付き始める北嶺広場

北嶺へは常緑のウバメガシ林の中を抜けると辿り着きます。
山頂駐車場から北嶺までの約1.3㎞の道のりは1年中変わらない風景ですが、
そこを抜けると四季の変化を楽しめる北嶺。
北嶺も主にウバメガシとヒサカキが多いですが、その中に花を付けるもの、実を付けるもの、葉が変化するものなどさまざま。


ヤマハゼは11月中旬が見頃

ヤマハゼはさわるとかぶれることもあるので、キレイだからといって手を伸ばさないようにしましょう。ヤマウルシやヌルデもです。
ハゼノキは実を付けますが、これは何かの原料として使われます。
さて、一体何でしょう?


答えは・・・・

正解はロウソクです。
最近では量産できる石油パラフィンが原料のロウソクが主流ですが、昔はハゼの実からロウを搾取し作られていました。現在では和ロウソクと呼ばれ、高級品として扱われています。
ちなみに以前紹介した蜜ロウは最初に日本に伝わったロウソクです。

遊歩道を歩いていると脇にはツル状の木にぶら下がっている実が見つけられます。

【ミツバアケビ】

徐々に赤くなり、実が裂けると食べ頃。
中に入っている実は、白くフワフワしています。種がたくさんあるので若干見た目が・・・という方もいますが、食べると適度な甘みを感じ、山歩きのおやつにピッタリです。
ですが、人間の手に渡るよりも早く手にする者が・・・


食べられたアケビ

それはきっと屋島にいる野生の猿。
歩いているとあちこちに美味しそうな色をしたアケビが落ちています。
全部食べられた後でした。
アケビは野鳥も食べるので人間よりも猿と野鳥の競争ですね。


広場に落ちていたクリ

ただ、中身はからっぽ。
多分、食べたのはイノシシ。
尖って痛そうなイガをどうやって食べるのかというと・・・
固い鼻と蹄を使ってイガを割り、固い皮を噛んで美味しい実の部分を食べます。五色台でも小さいけど甘みの強いシバグリがたくさん実っていますが、イノシシと人間との取り合いです。

昨年よりもアケビもクリもたくさんなっているのですが、心待ちにしていたものが今年は大豊作!
それは・・・


ドングリ!

一昨年、昨年と連続で不作だったドングリ。
設置しているカウンター近くにもたくさん落ちていました。
屋島ではコナラやウバメガシ、クヌギを拾うことができます。
クヌギはまだ木にいっぱい付いており、落ちるのを待つばかり。
屋島でこれだけ落ちていたら、鳴門も豊作?
というのも毎年鳴門では地元小学生によるドングリ拾い&観察会が行われています。そこで拾ったドングリは苗木に育てられ、卒業間近の頃にもとの山に植樹されます。一昨年、昨年と不作で拾う方も必死で探していましたが、今年はそんな心配もなさそうです。

このドングリが豊作、不作となる年があるのは、食物連鎖に大きく関わっています。
  ドングリが豊作→それを食べる生き物が栄養を蓄え子孫を増やす→
  さらにそれらを補食する生き物もエサが増えることで子孫繁栄
                ↓
  ドングリが不作→それを食べる生き物はエサがないため子孫を残せない→
  さらにそれらを捕食する生き物もエサがないため生き残れない

こんなサイクルで捕食されるもの、捕食するものの数が保たれています。
ドングリも毎年豊作だとそれを食べる生き物が増え続けることで自分たちの子孫が残せないから、こういった豊作・不作を繰り返しているのです。
資源をどんどん使ってしまう人間よりも、自然界のシステムの方が永続的にかつ効率がいいと感じますね。

そんな自然の恵みにあやかってドングリ拾い、クラフトなどを楽しみましょう☆