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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

夏の島根半島 海中編

2012年08月31日
松江
先週は島根半島の海岸の様子をご紹介しましたが、今回は海の中をのぞいてみる事にしましょう。
入り組んだ海岸線は自然の磯が多く、たくさんの生き物たちと巡り会う事ができます。

それでは早速海の中に入ってみましょう。
シュノーケリングで海岸沿いに泳ぎ進んでいくと、海中は同じ光景が続かない事に気づきます。優占する海藻が様々に変わったり、なにも生えていない岩肌がむき出しの場所があったり。また大きな岩がそびえ立っているかと思えば、河原のように石が転がっている所など様々に景色が変わります。


「クサフグ。 海の中の森、海藻類。森は動物たちを育みます。」

よく見かける魚は、ベラ類やカワハギの幼魚です。ソラスズメダイの幼魚もよく見かけます。ひときわ鮮やかなコバルトブルーの群れが南の海を連想させます。
岩の隙間をよくよく見てみるとカサゴがじっとしていたりします。入り組んだ岩の影にはタコが潜んでいる事もあります。

「カサゴ。 周りの岩の色と同化していますね。他にも魚がいるのわかりますか?」

南国を連想させると言えば、黄色地に青い縦縞のキンチャクダイも時々見かけます。こんな熱帯魚のような魚が島根の海で見られるんです。
そうかと思えば滑るように泳ぐイカの姿も見掛けます。


「私の脚を突く者がいます。振り向くとイシダイの幼魚でした。私が泳ぎをやめると今度は私のフィンを突いてきました。」

今度は岩の表面に目を向けてみましょう。
海藻の生えていなそうな岩ですが、全体がピンク色をしています。近づいて見るとコケのように植物がビッシリ覆っているのが判ります。ピリヒバです。これはサンゴモ科の藻で、触ってみるとゴアゴアしています。
その岩には無数の穴が掘られており、ウニが住んでいます。さながらウニ団地といった光景です。

「ウニが収まっている“部屋”は、ウニが餌である藻を食べる際に強力な歯で岩までかみ砕いて出来上がった物だそうです。」


「海の中に花を咲かせているのはケヤリムシです。イソギンチャクの一種かと思いきやゴカイの仲間なんですね。」

これらの生き物は、何度か脚を運んでいれば、そして見逃さないように観察すると手軽な装備で見られるものばかりです。
自然に直に触れることは自然を理解する事に繋がるでしょう。そしてなにより自然に親しむことは楽しいものです。


「海の生き物たちにとって水は、私たちにとっての空気以上に大切なものかもしれません。」