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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

ヒトハリザトウムシ

2012年08月22日
松山
朝晩はずいぶん過ごしやすくなりましたが、日中はまだまだ暑い日が続いています。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

9月に予定しているふれあい行事の下見として、先日「鴨池海岸」に行ってきました。
ここから見えるサンセットが美しく映画やテレビドラマのロケ地にもなった鴨池海岸には、お盆も終盤でしたが、海水浴客やBBQをする人々で賑わっていました。

鴨池海岸

そこでおもしろい生き物を見つけたのでご紹介します。

岩にはびっしりのフナムシ

講師の先生が岩の奥を覗くとそこにいたのは、ヒトハリザトウムシでした。

ヒトハリザトウムシ

聞き慣れない名前かもしれませんが、ザトウムシと言えば、「千と千尋の神隠し」の釜爺のモデルにもなったユニークな生き物です。
クモに似ていますが、クモは頭胸部と腹部が明瞭に分かれてるのに対し、ザトウムシはクモのようなくびれはなく楕円のような形をしています。まるでノミのよう!
クモよりノミのほうが近縁だとか・・・。


体はまるでノミのよう,長く伸びた第2脚

4対ある脚のうち第2脚がとても長く伸びています。この第2脚を触角のように使い周囲の状況やエサを探ります。
昼間は岩陰にひっそりとしていますが、暗くなると動きだし、あの岩にびっしり張り付いていたフナムシも食べるとか。
こんなに小さい体でフナムシを食べるなんて意外!

ザトウムシは主に森林内に生息しますが、ヒトハリザトウムシは海岸の岩陰に生息しています。
愛媛県内では、ヒトハリザトウムシが生息できる砂浜と海食崖が減少していることより
愛媛県レッドデータブックでは準絶滅危惧(NT)に指定されています。

そのほかにも砂浜にはスナガニやアオスジアゲハの姿が。

スナガニ

水のきれいな砂浜に生息するスナガニは、警戒心の強く震動や影を感じるとすぐに穴の中に身を隠します。その巣穴も奥深くまで続いていて、捕まえて観察しようと両手を使って掘ってみましたが、失敗に終わりました。

砂浜にとまったアオスジアゲハはスナガニが砂を掘って丸めた砂団子にとまっていました。水分と一緒に溶けたミネラル分も摂取しているのだとか。

アオスジアゲハ

ヒトハリザトウムシやスナガニを見つけることによって、水がきれいな砂浜であることや海食崖があり地形的にも豊かな自然が残っていることが分かりました。
これも鴨池海岸の魅力の1つですね。
9月の観察会に向けて、良い下見が出来ました!詳細が決まったらまたお知らせしたいと思います。