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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【自然情報】 屋島北嶺その1

2012年07月23日
高松
3連休明けの先週、四国は梅雨明けしました!
今からは太陽がジリジリと照りつける夏。
瀬戸内は日差しが強いので、外に出る時は必ず帽子、日焼け止め、水分補給を!

そんな梅雨明けする少し前、屋島へ巡視に行ってきました。
駐車場から約20分歩くと、広場のある北嶺へと到着。
利用者カウンターをメンテナンスしていると、いつも会う屋島のリピーターさんがやってきました。
「広場行った?ネジネジの花咲いてるよ」と。
この方は毎日屋島を歩いている方で、会う度にいろんな情報を教えてくれます。
昨年、ミサゴの営巣もこの方からの情報提供。
メンテナンス後、付いていくと・・・。


【ネジバナ】ラン科ネジバナ属

別名:モジズリ。
この名前は百人一首にも出てくるので、ぜひ探してみて下さい。
そして、ネジバナのねじり方向、どっちだと思いますか?
実は、左巻き、右巻きどちらもあり、中にはねじらない個体もあるんだそう。
ネジバナなのに・・・。けど、見つけたら結構珍しいかも。
ネジバナの生育環境は畦や堤、野原の芝地など人の生活圏近くですが、意外と見つけられません。それとは別に園芸種として栽培されているものもあるようです。
ネジバナの近くにはさらに小さな花が。


【ヒメヤブラン】ユリ科ヤブラン属

芝生の中に埋もれて咲いているので、よーく見ないと踏んでしまいそうな位。
薄紫の小さなこの花は、姿が小さく可愛らしいことからこの名になったそう。
ついつい目立つ花に目が行きがちですが、草原の中で目を凝らして見ると、他にも小さく可憐に咲いている花が見つかるかもしれませんよ。
そして、近くにある池に行くと、


【コウガイゼキショウ】イグサ科イグサ属

和名は【笄石菖】
笄(こうがい)とは、日本髪を結う時に使う飾りのことで、かんざしの様なものです。花茎や葉の平たい姿をかんざしに例えたようです。
コウガイゼキショウは、水田や湿地に生える多年草で、花序は中央から枝先へ次々に咲いていくこの類特有の集散花序。7~10個の花が集まった頭花を多数付けており、今の時期見られます。


【カンガレイ】カヤツリグサ科ホタルイ属

茎に付いているのは小穂。茎を切ると断面が三角になっているので、サンカクイともよく似ています。カンガレイは【寒枯藺】とも表示され、冬にかれた枝が残っていることからこの名が付いたとされています。
水田や池のほとりでも見られるカンガレイですが、私はここでしか見たことないんです。
リピーターさんも「これは珍しいんじゃない?」と言っていた位。

これら植物の名の由来は、多くが何かに例えられたものばかり。
そしてもう一つの共通点は、人の生活圏の中で生育している植物だということ。
しかし今、その場所で見られるはずの植物が見られないということは・・・?
それは昔は土で覆われた畦や用水路、堤などがどんどんコンクリート化した影響なのかもしれません。

これらの植物を指標にすると、自分の住んでいる場所がどのように変化したのか。また両親や祖父母に、昔と今では何が見られて何が見られなくなったかなど聞いてみるのもいいですね。

・・・屋島北嶺その2に続く・・・