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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

伯方島の干潟と生き物

2012年06月15日
松山
四国が梅雨入りする少し前、伯方島にある干潟とそこの生き物について現地調査を行いました。

愛媛県今治側からしまなみ海道の2つ目の橋を渡った先にある伯方島。
有名な「伯方の塩」はここ伯方島が由来で、昔は遠浅の地形を利用して塩田が作られ塩製業が盛んに行われていたそうです。

伯方大島大橋を渡った先に見えるのが伯方島(カレイ山展望台より)

干潟の種類は、川の河口にできあがる「河口干潟」と、砂などが堆積し遠浅で潮が引いたときに沖合まで広がる「前浜干潟」に分かれます。
伯方島など島しょ部の干潟は、あまり大きな川が流れていないため河口干潟は少なく、前浜干潟が多く見られます。
小規模な前浜干潟ですが、島ならではの変わった地形とそこに生息する生き物をたくさん見ることができたので今回は、その一部をご紹介します。

伯方島東部に位置する大角豆島(ささげしま)は、普段は島として存在していますが、大潮の干潮時には島がつながる陸繋島になります。

左:普段の大角豆島 右:大潮時に陸地と繋がった大角豆島


正面に見えるのが大角豆島 完全に陸地と島が繋がっています

潮が引いて現れた砂州や岩礁帯は、普段は海底であるため、ここでしか見られない生き物がたくさんいました。
ちょうど地元の方がクマデで何かを採っていて、見せてもらうと…。
アカマテガイを採っていました。

アカマテガイ


マテガイ(2011.4 大明神川河口干潟)

大明神川河口干潟のマテガイと見比べてみると大きさもさることながら殻の色、厚みも全く違います。また普通のマテガイは砂質の20㎝ほど潜ったところに生息するためクマデで掘っても採れません。よくある採り方としては、「め」と呼ばれるひし形をしたマテガイの巣に塩をいれマテガイが飛び出したところを捕まえる方法です。
ここのアカマテガイは、砂利や礫など大きめの石が目立つ底質で、深さはクマデで掘れる程度に生息していました。

岩礁帯には、石を動かすとクモヒトデやハゼの仲間がじっと身を潜めていたり、海草に隠れてハボウキガイなどがいました。

石をひっくり返すと、ハゼ類やヒトデがじっと身を潜めていました


左上:ハボウキガイ 右上:?????
左下:クモヒトデ  右下:アメフラシの卵塊

地形に富んだ場所であることや人工の影響がすくないこともあってか、今まで観察してきた河口干潟や前浜干潟では見られない生き物がたくさんいました。
きっと、ここには他の干潟で少なくなってきた生き物がまだ生息しているのだろうなと思いました。


最後に、伯方島内の別の干潟にて体長40㎝ほどのアメフラシを見つけました。

アメフラシ
こんなに大きなアメフラシを見るのは初めてでびっくりし、またそののんびり泳ぐ姿に伯方島の豊かな自然を実感しました。