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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

宮島の植物

2012年06月08日
広島
宮島では、亜熱帯性の広葉常緑樹ミミズバイが自生するとともに、
冷涼な山地(中国地方では海抜300m以上)に生育するモミやツガなどの針葉樹が海岸付近に自生する珍しい森林を形成しているほか、
神の島として昔は耕作が禁止されていたことや、
シカの影響などにより、本土や他の島とは少し異なった植生が見られます。

公募観察会で見られた宮島の植物を一部ご紹介します。
まず、宮島の植物と言えば?“マツブサ”です。
というのも、世界的に有名な植物学者エングラー博士が弥山を訪れた際、
原始的な被子植物であるヤマグルマやマツブサが生育している植生を見て、感動されたとか。
天然記念物の指定は博士のすすめが大きかったと言われています。
マツブサの名前の由来はマツの匂いと房のような実がなることが語源とされています。
幹を嗅いでみましたが、いまいちマツの匂いはわかりませんでした。

[マツブサ]

そして、この時期弥山に上がればどこでも見れるのが“アオテンナンショウ”
宮島にこんなにあるのだからどこでもありそうですが、
広島県では宮島のみに生育しています。
何とも奇妙な花を咲かせますがサトイモの仲間です。

[アオテンナンショウ:広島県準絶滅危惧種]

次に紹介する植物は園芸屋さんなどで見たことがある方も多いかも知れません。
実際に昆虫を捕まえているところは見たことがないのですが、
食虫植物の“モウセンゴケ”です。
コケと名前がついていますが、被子植物の仲間です。
しかし、コケと同様に湿ったところに生育しています。
県内の他の場所でも見られますので、
水がちょろちょろと流れているような湿ったところなど探してみてください。

[モウセンゴケ:夏には白い花を咲かせます]

登山道の途中では遠目にササユリを発見!
笹のような葉が特徴です。
昔は至る所で見られたそうですが、今は減少傾向です。
はっきりした理由は分かりませんが、
里山の手入れをしなくなったことや
観賞用に持ち帰ったりすることが原因だと言われています。

[ササユリ:花をつけるまで5~8年かかります]

そして、この日一番の注目植物はセッコクです!!
ランの仲間で薄ピンクのきれいな花を咲かせますが、
モミやツガなどの樹上に生育し、
花期も1~2週間と短いことからなかなかお目にかかれない花だと思います。
この日は運良く2日前に開花し、満開を迎えていました。
しかし、こちらも観賞用の人気種で乱獲のため減少傾向です。

[セッコク]
人の手が届かない場所でよほど環境がよいのでしょうか。
こんなに群生したセッコクは珍しいそうです。
今週末はまだ見れると思います。

植物はそれぞれ自分に合った環境を選んで自生しています。
自然に生育する植物を持ち帰らないよう
皆様のご協力をよろしくお願いします!


【おまけ】
きれいな緑×赤色のカメムシを発見。
調べてみたら“アカスジキンカメムシ”といって
オオキンカメムシの仲間でした。
臭くて嫌われ者のカメムシですが、
こんな美しいカメムシもいるんですね。



オオキンカメムシはこちら↓
http://chushikoku.env.go.jp/blog/2012/02/28/index.html