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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

〔自然再生〕もいかくらぶ始動!

2012年05月14日
土佐清水
「もいかくらぶ」といっても何かのクラブ活動ではありません。
竜串自然再生事業の活動の1つで、漁業者と林業者とダイバーとが協力して海の環境保全をしていこうというもの。
竜串湾では、モイカ(アオリイカ)が産卵するための藻場が減少し、モイカそのものが少なくなりつつあるとのこと。
そこで、山と海が協力して、離れつつあるモイカを増やしていくことを目的とし、間伐材を使ったモイカの産卵床づくりを竜串湾にて実施することになりました。

大月町柏島にてモイカの産卵床づくりをおこなっている黒潮実感センターの神田さんの助言をいただきながら進めています。
間伐材の設置場所は、水深や海底環境、波のあたりなど様々な条件を満たさなければなりません。また、観光船や漁船の航路との調整も必要です。
数回に分けてみんなで話し合い、実際に竜串湾のどの箇所にどのようにして設置するか検討していきました。

設置前の打ち合わせ

そして、ついに先週より活動が本始動しました。
土佐清水市森林組合によって間伐されたスギ材を利用しています。今年度は、スギ材の先端部をケーソン(過去に竜串湾にて行われていた養殖筏を固定するために海底に設置されたもの)に固定する方法等で試すことになりました。
今回の作業工程としては、、、
①ダイバー部隊による設置場所調査
②林業部隊によるスギの間伐材の切り出し
③スギの疑似産卵床づくり(剪定と土嚢準備等)
④漁業部隊によるスギの疑似産卵床の運搬と投下
⑤ダイバー部隊による産卵床の設置

(モイカの気持ちになって)モイカが産卵したくなるようにスギの枝を間引く

漁師さんに協力しながら設置準備

ダイバーのみなさん

ポイントでスギの産卵床投下

設置時に船で待機していると、スギの産卵床を固定するための鉄筋を海底に打ち込む音が海から響いていました。
場所選定調査時は海水の濁りがでて海底の様子がほとんど見えない状態でしたが、設置の時は比較的透明度が高く、細かい作業は見えないもののケーソンやダイバーの動きは船の上からも見ることができました。

投下されたスギ材

鉄筋を海底に打ち込み

スギ材を固定

ケーソンにも固定

モイカの産卵床設置の一例

今回設置したのは3箇所。
今後は、ダイバー部隊が定期観測していくことになっています。
モイカの産卵は、海水温にもよるようですが例年5~6月にかけて。
漁業者、林業者、ダイバーなど多くの方が協力して進めてく取組によって、
たくさんのモイカが産卵し育っていくことを期待しつつ、本来の産卵できる環境が少しずつ整っていくことを期待したいですね。


※海中写真は、いずれも竜串ダイビングセンターより提供いただきました。