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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

シカの影響は…

2011年12月09日
広島
「宮島の紅葉は…」に引き続き、
今度は博打尾コースで見られた植物に見られるシカの影響についてご紹介します。

まずは包ヶ浦公園で見られる「シバナ」です。
シバナは「塩場菜」と書き、
その名の通り塩分のある汽水域(海水と淡水が入り交じる)に自生しています。
元々全国で見られた植物でしたが、
沿岸部の開発により生息域はわずかとなり、環境省絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
宮島島内でも数カ所あったようですが、今は包ヶ浦だけとされており、
汽水域を生息場所とするミヤジマトンボと同じ道を歩んでいる訳です。
そして、宮島のシバナにとって驚異なのは、実はシカの影響です!
毒やトゲを持つことで身を守っている宮島の植物ですが、
シバナはシカにとって大好物なようで、見つかれば一網打尽です。
今はある団体の保護活動によって網がかけられ、シカから守られています。

[網で保護されているシバナ]

シバナの葉は約30㎝まで伸びるとされていますが、
宮島のシバナは15㎝程度です。
やはり身の危険を察知して、
シカの口が届かないよう縮こまっているのでしょうか??

そして、博打尾根で発見したこちらの植物。


原型をとどめていませんが、何の植物かわかるでしょうか?

拡大①



拡大②



正直なところ、はっきりしたことはわかりませんが、
一部に拡大②の葉が生えており、
おそらく「ツツジ」かなと思います。
5月に多々良に見たツツジは背を高くしてシカに食べられないように生長していましたが、
こちらのツツジは葉を小さくして身を守っていました。
多々良のツツジ↓
http://chushikoku.env.go.jp/blog/2011/05/31/index.html


そして、昨年も見かけた盆栽型のマツはというと、
今年もあまり大きくなることなく、
身を縮めて生き延びていました。
固いマツの葉も新芽は柔らかく食べられてしまうため、
固くなった葉の間に新芽を出して身を守っているようです。

[シカの影響によって盆栽型になったマツ]

シカの影響を受けながらも、
宮島の植物は子孫を残すべくたくましく生きています。