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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

「スナメリのエコツアーを行いました!」

2011年11月08日
松山
11月5日の土曜日に、香川県三豊市の粟島・志々島にてスナメリエコツアーを開催しました。

当日はあいにくの雨で・・・実施が危ぶまれたのですが、粟島汽船は通常通り運行予定であることと、参加者も雨のための当日キャンセル者がいなかったため、一部行程を変更して、小雨の中実施しました!!

天気は小雨。幸い、波は穏やかだったのでスナメリ観察はできそう。

まず、最初に港で講師の広島工業大学上嶋教授のエコツアーの説明、須磨海浜水族園副園長の長谷川さんのスナメリの説明を聞いた後、スナメリウォッチスタート!!

講師の上島先生

須田港から粟島へとフェリーが出発してまもなく、『いた!!』との声が。1頭のスナメリを発見したようで、急いで指さす方向を見ますが、一瞬浮き上がってきただけで、姿をとらえることは出来ませんでした。
しかし、開始直後の発見だったので、期待が高まります。


スナメリを探す参加者たち

しばらくスナメリを探しますが、最初の1頭が現れたきりスナメリの姿はありません。
粟島へと近づくもスナメリは発見できず、また天候が雨だったため粟島での城ノ山ハイキングを変更して引き続き船上でスナメリウォッチを続けました。
すると、1,2頭のスナメリが泳いでいく姿を2~3回観察することが出来ました。船の左右からスナメリが現れたので、運良く全員がスナメリを発見することが出来ました。さらに、先の方に鳥山を見つけその下を注意深く観察すると、、、いましたー!!スナメリ!!!

カモメの群れの下にしぶきを上げるスナメリが3頭います。

カモメたちのあつまる下にコノシロ(餌)を追うスナメリを発見しました。その数なんと10頭~20頭。餌を追いかけスナメリも興奮していたのか、尾ひれを水上にあげたり、荒々しく餌を捕まえているようでした。
こんなにもたくさんのスナメリを見ることが出来て私たちも大満足!カメラを構え写真に収めようと何度もシャッターを切っていました。

黒っぽい背中が見えているのがスナメリです。
※写真をクリックして拡大して見てみてください。


水族館で見るような全体の姿・形を見ることは出来ませんでしたが、餌を追う姿など自然界で生きる様子をまじまじと観察することが出来ました。

その後、フェリーは粟島港へ到着し、志々島へ向けて出発しました。
志々島では、樹齢1200年とも言われている大楠(おおくす)の見学を行いました。地元の志々島・大きな木プロジェクトの寺下さんに案内してもらい、民家の間を通り抜け山を登り15分ほど歩くと、大楠が見えてきました。

立派な大楠

大きな木のプロジェクトのみなさんが下草刈りをしているおかげで、1200年たっても枯れ枝がほとんど見られず、生命力がみなぎるように枝葉を伸ばしていました。

再び粟島に戻り、粟島イベント実行委員会の西山さんに案内いただき粟島海洋記念館を見学しました。日本で初めての海員養成校として村で建てた学校は、4000人もの卒業生を輩出したなど、興味深いお話をたくさんしていただきました。
そのほかにも、粟島の地形や自然について、粟島で有名な海ホタルのことなど粟島の魅力について説明していただきました。

海洋学校の構造について説明する西山氏

今回のエコツアーで多くのスナメリを観察できた粟島は、詫間湾の湾内にあり、一年を通して波も穏やかです。また粟島の周りは水深もあり、潮通りもよく小魚たちは自然と集まってきます。それを餌にスナメリがやってきます。
瀬戸内海にも同じような場所はたくさんあったのですが、いろいろな環境の変化でスナメリが見られる場所は少なくなりました。

スナメリや大楠など豊かな自然が粟島・志々島で今も見られるのは、生態系の一部として、そこに暮らす人々が重要な役割を果たしてきたからでしょう。

今回のエコツアーで地元の方々が守ってきた自然に触れ、少しでも肌で感じ学んでいただければうれしいです。
雨の中でしたが参加してくださったみなさん、お疲れ様でした。
そして、ご協力くださった、地元の方々本当にありがとうございました。


志々島 大楠の前で記念撮影