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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【有明浜】 春の終わり~夏の始まり・・・そして・・・

2011年06月03日
高松
雨が続くと思ったら、とうとう梅雨入りしましたね。
今年は例年よりも10日程早いそう。
その分、夏が早く始まるのでしょうか。

その梅雨入りの前に、香川県西部にある観音寺市・有明浜に行ってきました。
ここは遠浅で海水透明度が高い浜辺として、夏には県内1、2を争うほどの人気海水浴場。マテ貝が獲れる場所としても結構知られています。干潮時、マテ貝の穴に塩をパラっと入れると、ニュッと出てきますよ。

さて、今回の目当ては海浜植物の状況。
有明浜は県内屈指の海浜植物の群生地として、保全対象となっています。
春先から花が咲いていくのですが、今は一体どんな開花状況になっているのでしょうか?
寛永通宝の銭形砂地から少し浜辺に行くと・・


一面ハマゴウが。
北のハマナスに対してハマゴウは南の代表海浜植物。

7月になると、青紫色の花が咲きます。
ハマゴウは砂を這うように伸びていますが、大きくなると木状になり、足元や服を引っ掛けやすくなるのでご注意を。

その中を見ていくと・・・



浜を奥に進むと、人があまり来ないのか植物はどんどん増えていきます。
そして、白い小さな花が一面に。


この巡視日までは、殆ど雨が降らなかったせいか、もしくはそろそろ終わりの時期なのか花弁が少し茶色くなっていました。
ハマゴウの葉もしかり。
この日、まだ5月半ばだというのに半袖でも暑かった。。
ですが、その暑さのおかげか夏に見せる花も咲いていました。
↑にもある、ハマヒルガオ。
そしてハマダイコンはもう長角果を付けていました。

さらに進むと・・・あれ、なんだか見たことあるような色の花が・・・

ん? まさか・・・

オオキンケイギクだ。。

切る道具なんも持ってない。。。しまった。。
広がらない内に切らなきゃ。。地下茎も取らなきゃ。

というのも、オオキンケイギク(大金鶏菊)は北アメリカ原産で元々日本にはいなかった植物。明治中期に観賞用や緑化目的で持ち込まれたのですが、野外に定着してしまい、どんどん日本の在来植物のいきる場所を奪っていきました。その結果、在来生物に悪影響を及ぼす【特定外来生物】に指定されました。
今の時期、あちらこちらの高速道路や河川沿いにオレンジの花がたくさん咲いているのが見られます。

しかし、なぜこんなに増えるのか?
それは除去しても土中に残った種子が発芽し、永続的に再繁茂する「土壌シードバンク」システムでハンパなく増える。
もうひとつは、花がキレイだからと持ち帰りその移動中や飾った場所によっては種が飛散したり、庭に植えてしまったりして範囲を広げてしまうケースも。
実際、他県ではオオキンケイギクが繁茂し、在来の河川植物がいきる場所を奪われ、減少・消失させてしまった事例も。
絶滅してしまったら、生き返らせることはできません。

香川県内でこれだけ海浜植物が見られる浜はそうありません。
この白砂青松の美しい浜、可憐な花を咲かせる植物を将来残していくためにも、外来生物の予防三原則
【入れない・捨てない・拡げない】を知ってほしい。

ですが、外来生物を入れた原因は人間にもあります。
外来生物だけが悪者ではないことも十分知っておく必要があります。

環境省HP 外来生物法について↓↓
http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html