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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

カタクリの咲く季節に ~違法採取防止合同パトロール~

2011年05月10日
松江
ゴールデンウイークの初日である4月29日、島根県・鳥取県・広島県にまたがる比婆道後帝釈国定公園の一角である船通山に登ってきました。
島根県では4月下旬から5月下旬までを「野生動植物違法採取防止強化月間」に定めています。
これは自然公園(国立公園・国定公園・県立自然公園)の貴重な野生動植物の違法採取を防ごうとする取り組みです。
今回の登山はその一環としての合同パトロールです。
行政や関係団体の方々が合同でパトロールをおこない、登山者に違法採取防止のチラシを配って啓発をおこないます。
ちょうどこのころ船通山の頂上ではカタクリが咲き誇る時期なのです。
沢山の方々がカタクリを見にやってきます。

ところが今年は例年より寒く、カタクリの花はおろか登山道に雪が残っているとのこと。
昨年同日に登った登山道の「亀石コース」は雪が多い為、「鳥上滝コース」より登る事になりました。

「山頂近くの残雪です 地元奥出雲町の自然公園指導員の皆さんと」

今年山陰では豪雪となりました。
その傷跡は山を登っていていたる所で見られました。
ですが登山道をふさぐ倒木はありませんでした。
町やボランティアの自然公園指導員の方々がまだ雪が残る中、処理してくださったからです。幾つもの処理をした跡がありました。

「大きな木が幾つも根こそぎなぎ倒されていました これよりずっと大きい大木が倒れているところもありました 作業は大変だったでしょう」

登山道はまだ花が無く草木の芽吹きもおくれていました。
唯一モクレンの様なタムシバの白い花が緑の少ない森に映えていました。
それからミソサザイの澄んだ鳴き声が谷に響いていました。
   
ついに頂上に到着。
カタクリはやっと何りんかつぼみを付けているものがあるというところでした。
ですが出ている葉の数は一面に広まっていました。野性でしかも山頂にこれほどのカタクリがあるとは圧巻です。
これもまた自然公園指導員の方々やその他多くの方々の保全活動の努力によるものです。

「花は咲いていませんでしたが、心地の良いぽかぽか陽気に、気が付けば頂上は沢山の方でにぎわっていました
山頂では自然公園指導員の方々によるカタクリの紙芝居がおこなわれました」

帰り道は自然公園指導員の方々に同行させていただき雪のある亀石コースを下りました。
指導員の方々は登山道の危険個所を修正しながら下りて行きます。
谷沿いを歩くこのコースは、表向きは雪が積もって見えても底がすっかり溶けて空洞になっている箇所がいたる所で見られました。
これからは雪が解けもろくなります。抜け落ちて怪我をする恐れもあります。
登られる方は状況を見極めくれぐれも気をつけください。別の登山コースをお勧めします。

例年より遅れている花の時期ですが、その後暖かい日が続いていますので、どんどん芽を出し一気に咲いているかもしれません。
ちょうど今が見ごろかもしれません。
お時間のある方はお出かけされてはいかがでしょうか。
ですが花の命は短くて、満開の時期は数日で終わってしまう事もあるそうです。事前に確認されて行ってくださいね。

「2つの大小の葉と1輪の花 カタクリは花をつけるまでになんと7~8年かかるとのことです」

これからは美しい花々が咲き誇る季節です。
それらの美しい花々がそこで咲いているのは、長い年月を掛け環境の条件がいくつも重なったたまものです。
またそれを保護しようと努力している方々のご苦労によるものでもあるのです。
わずかな心ない人達の行為によって貴重な自然はもろくも崩れてしまった例がいくらでもあります。
皆でかけがえのない自然を守って行きたいものです。