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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

カキ筏と漂着ゴミの関係  

2011年04月18日
広島
新年度を迎え、早いもので4月中旬となりました。
2週間余り楽しめた桜も今日の雨で散ってしまいそうです。

さて、広島事務所の新年度最初の行事は
宮島パークボランティア(PV)総会とこなきり海岸清掃です!
桜満開!快晴!ともあって、4月9日観光客で賑わう宮島で行われました。
初夏になれば、ハマゴウが青い花を咲かせるとてもきれいな海岸なのですが、
1年経つと流木のほか、カキ筏用の発泡スチロールやパイプなどが多く流れ着いてきます。

[こなきり海岸の漂着ゴミ]


会員の皆さんで約2時間清掃した後、きれいな海岸に戻りました。
広島地域では漂着ゴミのトップに躍り出るカキ筏用の発泡スチロールやパイプ、
これって石油製品のない時代はどうやって養殖してたんでしょうか?
色んな所で海岸清掃を行う中そんな疑問をずっと持っていましたが、
PV会員の方に聞いたところ、
「カキ筏はこの数十年の話」と伺いました。

こなきり海岸でも見られますが
浅瀬にあるカキ棚ではまずホタテの殻にカキの幼生を付着させ、
少し大きくなったカキを沖のカキ筏につるし大きく育てます。
瀬戸内海の至る所で見られるカキ筏は
昔から当然あるものだと思っていましたが、
実は瀬戸内海でカキ筏が誕生したのは戦後なのです!!!!
みなさん、知っていましたか??

[こなきり海岸]

[浅瀬で幼生を育てるカキ棚]

戦前は最後まで浅瀬のカキ棚で育てられていましたが、
軍事用地として広大な埋め立てが進み
カキ養殖をしていた干潟が失われてしまったようです。
苦渋の決断の中で生まれた養殖方法がカキ筏だったようです。

「漁協の方にもゴミを拾ってほしい」
「海にゴミを捨てないでほしい」
清掃作業をされる方々からは当然こんな声を耳にします。
前回の日記でも「海にゴミを捨てる」行為以外でも様々なかたちで
ゴミは海に流れ出ている経緯をお伝えしましたが、
カキの漁業用具は数十年前の歴史的背景にまでさかのぼり、
今の私たちの生活や生き物たちにまで影響を及ぼしていることに驚きました。
ゴミを捨てない自分に一見関係なさそうな漂着ゴミですが、
カキを食べている以上無関係ではないですよね!?
漂着ゴミを見つけたら、
そんな背景も思い出していただければと思います。


[今回は全部で25袋回収しました]