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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで1日前】

2010年10月14日
松江
絶滅危惧Ⅰ種(絶滅の危機に瀕している種)「ウスイロヒョウモンモドキ」
【チョウ目 タテハチョウ科 ヒョウモンモドキ属】

みなさんは「ウスイロヒョウモンモドキ」をご存知ですか。
これは蝶の名前です。
翅がヒョウガラ模様「豹紋」のヒョウモン蝶がいます。
そのヒョウモン蝶に似ているからヒョウモンモドキ。
ヒョウモン蝶と直接の仲間ではないんです。
ヒョウガラの好きなお姉さん方もいらっしゃるでしょうが、ちょっと雰囲気は違いますね~。
モンシロチョウより一回り小柄で、草原をゆるやかに舞います。
日本のレッドデータブックでは、絶滅の危機に瀕している「絶滅危惧Ⅰ種」になっているとても希少な蝶です。
主に中国地方のごくごく限られた場所にしかいなく、島根県では国立公園の三瓶山にのみ住んでいます。

7月上・中旬ごろのわずかな時期にのみ蝶になり一生を終えます。
ススキ主体の草原が住みかで、主に幼虫のうちはカノコ草やオミナエシの葉を食べ、成虫はオカトラノオの蜜を吸います。
この草花がなければ生きていけないので、おのずと住むところは限られてきます。


オカトラノオの蜜を吸うウスイロヒョウモンモドキ

つい30年ほど前まではふもとの草原にもいたそうですが、近年めっきり減って、山頂付近などにわずかに見られるだけになっていました。
この貴重な蝶を守ろうと地元有志・大学教授・自然関係施設・NPO・行政などが連帯して保全・育成活動を進めてきました。


オミナエシの花 ススキ草原に生える植物  幼虫はこの葉を食べます

ところが今年、ウスイロヒョウモンモドキが草原を舞う姿はついに1匹も発見されませんでした。
私は今年春から島根にやってきました。
ですからこの蝶が舞っている姿を見た事がありません。
もう三瓶山に舞うウスイロヒョウモンモドキを見る事は二度とできないのでしょうか。
どこかで生き続けている者がいる事を願うばかりです。

一つの生物の種がこの地上に生まれそして消えていく、その時間の流れとはどれほどのものなのでしょう。
三瓶山に限ってではありますが、その種の終焉と言うものを今僕が見届けることになるのでしょうか。




かつて6千5百万年もの昔、地球では種の大絶滅が起こりました。
そう恐竜絶滅として皆さんご存知でしょう。
ですが今の種の絶滅の速度は、実はあの恐竜絶滅時とは比べ物にならないくらいのスピードだそうです。
現在地球上の種の絶滅の速度は、自然に起こる絶滅の1,000倍以上!
しかもその速度は凄いスピードで加速してきています。
皆さん信じられますか?
ですがそれが現実なのです。

今 地球環境はその様な状態に来ているのです。
それなのに私たちは無関心でいいのでしょうか。
無責任でいいのでしょうか。

その原因は、私たち人間によるものなのですから。
そして・・・それは巡り巡って、私たち自身に降りかかってくるものなのですから。 


※COP10 1日前(10月17日(日))は休日に当たります。そのため、10月14日(木)に、10月17日(日)分の記事を掲載しております。ご了承ください。

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