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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで10日前】

2010年10月08日
高松
観察すればするほど面白い奴・センチコガネ
【昆虫綱・コウチュウ(鞘翅)目・センチコガネ科】

いきなりですが、甲虫って言われたらどんな虫を思い浮かべますか?
人気の高いカブトムシやクワガタムシ、コガネムシのような頑丈な外骨格が発達している昆虫とか?
甲虫は動物全体の中でも最大の目であり、食性も虫食、葉食、樹液食、蜜食など様々。
その中でも注目株!(個人的な)がセンチコガネ。

つい最近、やたら猿のフンにしがみついている光沢のキレイな虫を発見。
「何やっとんやろ?フンやで、それ。」
と、ずっと見ていると。。。
「転がしたーーーー!!まさかこれがフンコロガシ!?」
逆立ちして後ろ足で転がすあの格好!
・・・と転がしたのも束の間、あきらかに転がすに無理な大きさのフンの下敷きに。

面白すぎてしばらく観察・・・。
俵状のフンに悪戦苦闘しながら転がす→潰される。(何回も)
側面にしがみついたはいいものの、そのままフンと共に坂を下る。(何回も・・・)
「コントや。。。完全にコントや。。。」
そのどんくささに女子1人山の中で笑うも、なぜか頑張れと応援したくなる。
しかも2匹いたのですが、2匹とも同じような行動→失敗ばかり。


ハエも一緒に頑張ってます!?

こんな面白すぎるセンチコガネのように、主に哺乳類のフンを餌としている糞食の一群の昆虫を【糞虫】と言います。
ただフンが好きで食べているだけの虫ではないんです。

動物園や家畜のフンは人間が処理していますが、自然界は?
その処理役、分解する役割をセンチコガネのような糞虫が担っています。
この糞虫たちがいないとどうなるか?
・・・自然界はフンでいっぱい。。。?
いやいや、ちょっとこれは。。。ねぇ。

また、哺乳類のフンは体内で不要となったものですが、他の生き物にとっては利用可能な栄養素を含んでいます。その中には植物の種子なども。
糞虫の成虫は、自分たちでフンを食べるだけではなく、地中の巣穴に持ち込んだりして幼虫の餌としても使います。
種子はその巣穴に入ることによって地中に埋められ、地表に出ているものよりも発芽率が上がります。
またフンが転がされて移動することで、種子分散にも繋がります。
今身近にあるきれいな花や草木もこの糞虫のおかげかも。

分解→子孫繁栄、植物の分散&発芽を促すと、自然界の物質循環の重要な役割の2つを任されている糞虫・センチコガネ。
美しい金属光沢のカラダを持っていながらフンコロガシと呼ばれようとも、ひっそりと大役を任され自然界をまわしている姿はまさに裏番長。

そんなステキなセンチコガネ。はまりそうです。


青緑に光るキレイな背中・地域によって色合いが変わります。
(写真が少ないのは、夢中になって観察していたせいです。。。)

生物多様性ホームページ 
http://www.biodic.go.jp/biodiversity/
COP10支援実行委員会公式ウェブサイト
http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/