アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]
早くも紅葉・・・???
2010年09月03日
高松
ある日の会話。
保護官「なんか屋島の南側、えらい茶色い木が目立つんやけど知ってる?」
私「いやぁ、知らないです。今度の定点観測の時に一緒に見てきます」
で、現場へ。
ん?? なんか茶色い。。
なんだろうと思っていたら、!!葉っぱが枯れている。。。
雨が少なかったから枯れたのかなぁと思っていたら、枯れているのは部分的に、しかもウバメガシ以外のものが多い。。。
調べてみると、もしかしたら【ナラ枯れ】かも。。。
ナラ枯れの原因は「カシノナガキクイムシ」という昆虫。
この昆虫のメスと早くに生まれた幼虫は、カビの一種の菌を木の孔に持ち込んで育て、生まれてきた幼虫はこの菌を食べて成長していきます。そして、菌を持ったまま成虫になって他の木に移って、また菌を植えこんでいくという伝染病のようなもの。
不思議なことに多くのメスは、この菌がないと産卵ができないのだとか。
そして、この菌が木を枯らす原因に。
これによって枯れた木は「フラス」と呼ばれる粉(木屑とキクイムシの糞が混ざったもの)が落ちているのだそう。
4月と8月の屋島南嶺西側のようす。
サクラの色と混ざって分かりづらいですが、あきらかに緑の中に茶色が。。
最初は、菌と昆虫、お互いが助け合って生きているんだなぁ。
まさに生物多様性!っと思っていたら。。。
大きな問題点が。
この【ナラ枯れ】の被害を主に受けるのはミズナラ、コナラ、クヌギやアベマキなど。この木の葉を餌にしているのがチョウ類を中心とする昆虫たち。
しかもチョウ類の約10%以上の種は、この木の葉を餌としています。夏の昆虫で人気のカブトムシやクワガタも、クヌギの木などに樹液を吸いにきていますよね。
このナラ枯れをそのままにしておくと・・・
カシノナガキクイムシ増殖⇒ナラなどがどんどん枯れていく⇒チョウたちの餌がなくなる⇒元気がなくなり、産卵もできなくなる?⇒どんどん減ってくる・・・?⇒やがて絶滅・・・?!
他にも、建築材・シイタケ原木などの資源減少、景観の悪化、水源かん養機能(※1)の低下、ドングリを餌とする野生生物への影響なども。
左;4月の屋島南嶺東側 右;8月の屋島南嶺東側
チョウ達昆虫がいなくなるのは悲しいし、どうにか食い止めたいけど、キクイムシ達も一生懸命生きていくためにやっていることだし。。。
今は害虫として扱われているキクイムシだけど、いずれ何か大切な役割を持っていることが分かるかもしれない。木が枯れる原因になっている菌も、もしかしたら何らかの役割をしているかも・・・。
そんなことを考えていると、なんだかもどかしくなります。
キクイムシ以前に他にも、この問題は私たち人間と森林との付き合い方が変わったから、という見方も。
昔は木が燃料(炭や薪)として使われていましたが、燃料革命によって石油やガスに切り替わり木の伐採が減り、年老いた木がそのまま残り、キクイムシに菌を植えられ枯れていくという。
この【ナラ枯れ】から、さまざまな方向へ影響が出ることが分かり、そして人と生き物、自然界との付き合い方の大切さに改めて気付かされました。
何か変だな・・・と思ったら、それは何かが始まるのかもしれません。
いや、すでに起こっているのかも。
今一度、もっと身近なことで起こっていることや変化をちゃんと見ていかないといけないなと感じました。
※1水源かん養機能・・・森林土壌は降水をほとんど地下に浸透させることで、河川の流水量を適度に調節し、洪水緩和や流量を安定させています。また、森林土壌を通過することによって水質が浄化されます。
日本のいのち、つないでいこう!【COP10まで45日前】
生物多様性ホームページ http://www.biodic.go.jp/biodiversity/
COP10支援実行委員会 http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/
保護官「なんか屋島の南側、えらい茶色い木が目立つんやけど知ってる?」
私「いやぁ、知らないです。今度の定点観測の時に一緒に見てきます」
で、現場へ。
ん?? なんか茶色い。。
なんだろうと思っていたら、!!葉っぱが枯れている。。。
雨が少なかったから枯れたのかなぁと思っていたら、枯れているのは部分的に、しかもウバメガシ以外のものが多い。。。
調べてみると、もしかしたら【ナラ枯れ】かも。。。
ナラ枯れの原因は「カシノナガキクイムシ」という昆虫。
この昆虫のメスと早くに生まれた幼虫は、カビの一種の菌を木の孔に持ち込んで育て、生まれてきた幼虫はこの菌を食べて成長していきます。そして、菌を持ったまま成虫になって他の木に移って、また菌を植えこんでいくという伝染病のようなもの。
不思議なことに多くのメスは、この菌がないと産卵ができないのだとか。
そして、この菌が木を枯らす原因に。
これによって枯れた木は「フラス」と呼ばれる粉(木屑とキクイムシの糞が混ざったもの)が落ちているのだそう。
4月と8月の屋島南嶺西側のようす。
サクラの色と混ざって分かりづらいですが、あきらかに緑の中に茶色が。。
最初は、菌と昆虫、お互いが助け合って生きているんだなぁ。
まさに生物多様性!っと思っていたら。。。
大きな問題点が。
この【ナラ枯れ】の被害を主に受けるのはミズナラ、コナラ、クヌギやアベマキなど。この木の葉を餌にしているのがチョウ類を中心とする昆虫たち。
しかもチョウ類の約10%以上の種は、この木の葉を餌としています。夏の昆虫で人気のカブトムシやクワガタも、クヌギの木などに樹液を吸いにきていますよね。
このナラ枯れをそのままにしておくと・・・
カシノナガキクイムシ増殖⇒ナラなどがどんどん枯れていく⇒チョウたちの餌がなくなる⇒元気がなくなり、産卵もできなくなる?⇒どんどん減ってくる・・・?⇒やがて絶滅・・・?!
他にも、建築材・シイタケ原木などの資源減少、景観の悪化、水源かん養機能(※1)の低下、ドングリを餌とする野生生物への影響なども。
左;4月の屋島南嶺東側 右;8月の屋島南嶺東側
チョウ達昆虫がいなくなるのは悲しいし、どうにか食い止めたいけど、キクイムシ達も一生懸命生きていくためにやっていることだし。。。
今は害虫として扱われているキクイムシだけど、いずれ何か大切な役割を持っていることが分かるかもしれない。木が枯れる原因になっている菌も、もしかしたら何らかの役割をしているかも・・・。
そんなことを考えていると、なんだかもどかしくなります。
キクイムシ以前に他にも、この問題は私たち人間と森林との付き合い方が変わったから、という見方も。
昔は木が燃料(炭や薪)として使われていましたが、燃料革命によって石油やガスに切り替わり木の伐採が減り、年老いた木がそのまま残り、キクイムシに菌を植えられ枯れていくという。
この【ナラ枯れ】から、さまざまな方向へ影響が出ることが分かり、そして人と生き物、自然界との付き合い方の大切さに改めて気付かされました。
何か変だな・・・と思ったら、それは何かが始まるのかもしれません。
いや、すでに起こっているのかも。
今一度、もっと身近なことで起こっていることや変化をちゃんと見ていかないといけないなと感じました。
※1水源かん養機能・・・森林土壌は降水をほとんど地下に浸透させることで、河川の流水量を適度に調節し、洪水緩和や流量を安定させています。また、森林土壌を通過することによって水質が浄化されます。
日本のいのち、つないでいこう!【COP10まで45日前】
生物多様性ホームページ http://www.biodic.go.jp/biodiversity/
COP10支援実行委員会 http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/