中国四国地方のアイコン

中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで50日前】

2010年08月27日
土佐清水
岩上の波立つカゲ “フナムシ”
【甲殻綱・等脚目・フナムシ科】 

日本は海に囲まれた島国。
海へ行ったことのある方々なら「見たことがない」という人はおそらくいないでしょう。
海岸には必ずいると言っても過言ではない『フナムシ』。

「脚がたくさんあって群れていて平たくて黒光りしていてゴキブリみたい」ということで、嫌いな人も多いのではないでしょうか??
しかし、気持ち悪かろうが嫌われようが無意味に存在する生きものはいないはず。
今回は、そんなスポットの当たらない生きものに注目しようと思い立ち紹介することにしました。


岩陰に隠れるフナムシの集団

実際フナムシってどんなものか。
じっくり見ようにも動きの素早さに体表や体のつくりなどをちゃんと見たことないなとふと気づき、早速写真を撮りに海岸へ・・・。

自分が動くと岩の上の黒いカゲがササァ~と引いていく。
まるで岩の上で黒いさざ波があちこちで起こっているような感覚です。

約1~4cmサイズのフナムシが自分の動きに合わせてサワサワ~っと逃げていき写真どころではない。
何とかしてじっくり見てみたい想いが強くなり、じっと待つこと数分。
何匹かがチロチロと近づいてきました。

個体差か種類が違うのか背中にはまだら模様が入っていたり、光の当たり方によってはメタリックブルーに見えました。
そして一対の尾脚と呼ばれるおしりの部分はY字型。

意外にも美しい色合いを持つフナムシ

単体で見れば、意外にもキレイでかわいらしい容姿。
どちらかというとゴキブリというよりダンゴムシやワラジムシによく似ています。
じっくり見てみるものだなと一人ほくそ笑んでいたら、岩に張りついている自分が観光客にあやしい目で見られていることにハッと気づき、思わず苦笑いのまま会釈。


竜串の奇岩がせり出した海岸

フナムシは、海岸にある海藻や生きものの死骸を食べるいわゆる「海岸の掃除やさん」。
人工的なゴミの掃除は「人」が行い、海岸の有機物分解はフナムシ担当。
「もしフナムシがいなかったら、海からうち上がった死骸がそのまま常に海岸にゴロゴロしているのか・・・」と想像すると、それはシュールな光景ですよね。

海は様々な生きものを育み、それぞれの生きものの営みがあります。
そのバランスをつくる1つとしてフナムシも大事な存在だなぁと思いつつも、何百単位でサワサワ~っと動く様子を目の前にし「好きか」と問われたら「なんと答えるだろうか・・・」とやっぱり考えてしまうフナムシ観察でした。


※COP10 50日前(8月29日(日))は休日に当たります。そのため、本日8月27日(金)に、8月29日(日)分の記事を掲載しております。ご了承ください。