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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

〈滑床地域〉防鹿柵増設予定

2010年07月12日
土佐清水
先日、滑床地域の鬼ヶ城山系の1つ、三本杭の山頂付近へ四国森林管理局四万十川森林環境保全ふれあいセンターの方などと一緒に防鹿柵増設予定地の現地確認へ行ってきました。

八面山山頂にて位置関係を確認中

三本杭山頂周辺には、四国森林管理局により設置された防鹿柵があります。
かつてササで覆われていた山頂もシカの食害を受け、ササの衰退・消滅によって土が露出しています。
そのため、雨風による土砂の流出も絶えず、わずかな植物も定着できず裸地化が進みました。
この危機的な状況を回避するために、検討会が開かれ平成18年度に山頂とたるみの2箇所にシカの採食行動を防ぎ裸地化を止めることを目的としたシカ防護ネットを設置するに至りました。

左:ササの衰退により、林内の下層植生は乏しい
右:ササが生えているところは岩の上などばかり・・・

その後、植生復元のため現地にあるササを株分けしモザイク状に移植することも行われています。
定着していない箇所もありますが、時を経て少しずつササが地下茎を伸ばし新しい芽が地表に顔を出し始めています。
昨年と比較しても緑地部分が増えたような気がします。

左:柵外はシカの食べない植物でいっぱい
右:ササの移植後の経過、少しずつ根を伸ばしているようです。

そして、今秋、現存する防護ネットに隣接するかたちで新たに防護ネットを増設する予定とのことです。
防鹿柵設置の効果が現れ、植生が回復してきていることはすばらしいことです。
林内や山頂がササで覆われ、緑の滑床山を見られるのが待ち遠しい限り。
しかし、柵を設置することで今までそこを利用してきたシカが別の地へ追い出されるようなもの。
増え続けるシカの頭数問題の根本的解決ではありません。必ずどこかへしわ寄せがいきます。
シカが植物を食べて植生に影響を与えてしまっているのもシカ自身が生きていく上で仕方のないこと。
そのこともふまえ、この問題にどう対応していくのかが大きな課題です。

おまけ
登山口へ向かう途中、西土佐地区にて独り立ちして間もない感じの小ぶりのイノシシに遭遇しました。夢中で体を地面にこすらしていました。

林道脇に現れたイノシシ(ピンぼけしてしまいました・・・)



「日本のいのち、つないでいこう!COP10まで98日前」
COP10実行委員会のHP http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/
生物多様性ホームページ http://www.biodic.go.jp/biodiversity/