中国四国地方のアイコン

中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで100日前】 

2010年07月09日
広島
 
「クサフグの産卵」
  クサフグ【フグ目フグ科トラフグ属】

フグと言えば、食用ではトラフグが有名ですが、
今日はトラフグの仲間、クサフグをご紹介したいと思います。
クサフグは背中が暗緑褐色に白斑点、
体長は10~15cmの小型のフグです。
緑がかっていることから「草フグ」と名付けられたようです。
さて、このクサフグ。
実はとても変わった産卵をするのをご存じでしょうか?

先月23日、クサフグの産卵が見られるという情報を聞き、
瀬戸内海国立公園室積半島を訪れました。
クサフグの産卵は海の中ではなく、満潮2~3時間前の浜で行われます。
非常に用心深いようで、
満潮が近づくとオスの偵察隊が様子をうかがいにやってきました。
そして、定刻。
次々とメスが浜に押し寄せ、産卵が始まりました!
最初は十数匹のクサフグでしたが、
20、30分経った頃には辺り一帯クサフグだらけ・・
しばらくしてオスが放精を始めたようで、
気がつくと波打ち際は白く濁っていました。

[左:放精前 右:放精後]

産卵が終わる前に引き潮になってしまえば、
いのちを落としかねません。
それでも我先にと産卵する姿は
非常に頼もしく、また神秘的な光景でした。

砂利の間で温められた卵は
数日後の大潮に合わせて孵化し、稚魚は海に帰っていきます。

室積半島の鼓ヶ浦~杵崎(きざき)海岸では毎年観察されることから、
山口県指定天然記念物にも指定されています。
クサフグはとても用心深く、産卵前に人が居ると浜に近寄りません。
数が減少しているクサフグの産卵地を継承していけるよう、
見学の際は、
・海岸にゴミを捨てない
・産卵前まで海に近づかない、静かにする
・フラッシュ撮影をしない
などを守って観察しましょう。

産卵時期は6月上旬~下旬。
しかも、大潮前の中潮の満潮2~3時間前と決まっています。
潮見表もなしにその日その時がわかるなんて!
海の生き物は地球としっかりつながっているんですね!





[波打ち際に押し寄せるクサフグたち]

※COP10 100日前(7月10日(土))は休日に当たります。そのため、本日7月9日(金)に、7月10日(土)分の記事を掲載しております。ご了承ください。