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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

インタープリター指導者研修@宮島

2009年09月01日
広島
22日に瀬戸内海環境保全普及活動推進事業の一環として、
インタープリター指導者研修に参加させていただきました。
講師は自然教育研究センターの古瀬先生をお招きし、
パークボランティアの会員を含む総勢21名の参加者で行われました。

ところで皆さん、
「インタープリテーション(Interpretation)」という言葉、
聞かれたことはありますか?
英語の直訳では「解説、演出、通訳」などと訳されますが、
ここでは、「単なる情報の提供でなく直接体験や教材を通し、
事物や事象の背後にある意味や関係を明らかにすることを目的とした教育活動
(フリーマン・ティルデン Freeman Tilden)」と定義されています。
そして、インタープリターとは自然と来訪者との間に入り、
「自然のメッセージを伝える媒介者」のことを指します。

まず、レクチャーでは「みる」とはどういうことか?から入りました。
みる、見る、観る、視る、看る、診る、覧る・・・
「みる」だけでもたくさん。
そして意味もそれぞれ異なります。

ここで、古瀬先生から最初のお題。
ウニのトゲはぽこっと膨らんだ帽子の上にあり、動くことができます。
では、栗のトゲはどのようについているでしょうか?

・・・・

毎年食べる栗、幼いころから採っている栗。
あれこれ考えても全っっくわかりません!
みているようで、全く「観て」いないんだなぁと実感させられました。
そこでフツフツ沸いてくるのは観たい欲求!
その時に観た栗は今でも鮮明に覚えています。
先生が実物を持ってきていなければ、
間違いなく山に行ってまだ実っていない栗をもぎ取って観ていたことでしょう。
(気になる人は是非探しに行ってみてください♪)
インタープリターの与えるヒントによって、
普段眼にしているものの見えない部分を観る。
この一例だけをとってもインタープリターの役割が少し伝わったのではないでしょうか。

午前中はその他に、アイスブレイクや葉っぱじゃんけん、
葉脈がどうなっているかなど実践を交えながら
インタープリターの手法について学びました。


午後は宮島大元公園の干潟で生き物観察。
最初に海の生態系の一番下っちょにいるプランクトンの採取を行いました。
それをルーペや顕微鏡を使って観察しましたが、
肉眼でも確認することができました。
普段見ることも気にかけることもないプランクトンの存在ですが、
動物プランクトンが植物プランクトンを食べ、
貝やカニ、小魚が動物プランクトンを食べ、
大きな魚や鳥が貝やカニ、小魚を食べ、
そして私たち人間も貝やカニ、魚を食べる。
プランクトンがもしいなくなったら・・と考えるとぞっとします。
逆に増えすぎると赤潮になってしまう訳ですが、
そういったことを考えるきっかけを作るのがインタープリターの役割、
また環境教育の役割のように思います。

エコツアーや自然観察会を通して行われる
環境教育の目的がしばしば疑問視されていますが、
「観る」目を養い、自身で考える力を身につける。
そのお手伝いをするのが指導者の役割なのかもしれません。



アサリの海水浄化能力実験。
アサリの入った泥水は20分後きれいに浄化されました!


干潟で採取した生き物たち。
上からヨウジウオ(何を隠そう、タツノオトシゴも同じヨウジウオ科です!)
コメツキガニ(大人も甲羅が1cmくらいの豆ガニです)
アナジャコ(スナモグリやハサミシャコエビに比べて、鋏が小さい)
ハサミシャコエビ
(因みに7/10に掲載した写真もスナモグリではなく、ハサミシャコエビでした)


研修風景。
採取した動物プランクトンを顕微鏡で見ています。