ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2009年4月

14件の記事があります。

2009年04月13日witches' broom ~魔女の箒(ほうき)~

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

 こんにちは。ぽかぽかと気持ちのいい日が続いていますが
みなさん今年はお花見に出かけられましたか?
鳥取では桜もそろそろ散りつつありますが、
今回は桜の病気についてご紹介したいと思います。

 満開の桜の花のなかに緑の葉っぱが繁っている枝を発見することがあります。
これはサクラてんぐ巣病と呼ばれる、とくにソメイヨシノ(Prunus yedoensis matsumura)がかかりやすい病気です。欧州ではwitches' broom(魔女の箒)と呼ばれています。全国各地の桜の植栽地ではこの病気が多発しており、大きな問題になっています。


◎サクラてんぐ巣病に感染したソメイヨシノ
 
 サクラてんぐ巣病とは、枝の一部からほうき状の異常な枝が生える伝染病で、
この病気にかかった枝は極めてまれにしか花をつけず、枝ばかりが伸びます。
この病気の原因はタフリナ菌というウイルスで、感染した葉っぱから胞子を出し伝染させていきます。
罹病すると枝の一部がコブ状に膨らんで大きくなり、
そこから花の咲かない小枝がたくさん生え、
花の時期に小さい葉が開くのでたいへん目障りとなり問題となっています。
また、それだけではなく病気をそのままにしておくと枯れてしまうこともあります。


◎健康なソメイヨシノ

 みなさんの身近な桜の木もてんぐ巣病にかかっているかもしれません。
いまだその感染経路や形態形成のメカニズムも十分に解明されていない
サクラてんぐ巣病。
やっぱりお花見をするなら健康な桜の下でしたいですね。

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2009年04月13日島に渡るイノシシたち。

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

ここ2、3日かなり暖かい日が続いていますね。
広島城でも桜を見ながら外でお弁当を食べる人を多く見かけました。
今週また気温が下がるそうなので、風邪には要注意です!


今回は宮島奥の院、多々良地区に行ってきました。

奥の院、多々良地区は宮島の南西に位置し、
観光客が行き交う厳島神社から車で30分以上かかる奥まったところにあります。


そこで見たものは、



なんとイノシシ!


体をぶるるっと揺すって威嚇していたため、
突進してくるんじゃ・・という恐怖心から
近づいて写真に収めることはできませんでした。


宮島には近年までイノシシがいたという記録はなく、
最近になりイノシシの痕跡?は発見されていたものの、
目撃情報はありませんでした。
おそらく本土から泳いで渡ってきたようです。

先日訪れた大久野島もそうでしたし、
福山市の横島や田島、走島でも
もともと島にはいないイノシシが本土から渡って、
掘り起こしてミミズや根っこを食べているようです。


うちの周りでも山に餌の少なくなる冬には猿が農作物を食べに山から下りてきます。
イノシシについては原因はわかりませんが、海を渡らせるだけの理由が何か、あるのでしょうか?



春の宮島!
多宝塔付近の桜がまだ白く見えます。

多々良林道。

イノシシは写真に収めれなかったので、掘り起こしたらしき形跡掲載。

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2009年04月10日しまなみ海道誕生10の彩り再発見・岩城SAKURAコース

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 こんにちは、松山ARの永田です。
 今年は広島・愛媛の島々を結ぶ、しまなみ海道(西瀬戸自動車道)が
開通して10周年。各地で様々な催しが企画されています。
 今治地方観光ボランティアガイドの会が主催する、“しまなみ海道誕生10の彩り再発見”。
4月8日には、第2彩’岩城SAKURAコース’として愛媛県上島町・岩城島の
積善山トレッキングが実施され、私も参加してきました。
 岩城島の中央に位置する標高約370mの積善山は、道路沿いに植えられた
ソメイヨシノと、山肌のヤマザクラで、春は遠方からもわかるほど、
山が桜色に包まれる桜の名所です。
(2年前の4月5日の日記でもご紹介しました→「花だより -上島町岩城島- 」 http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/2007/04/05/index.html)


 今治港から高速船に乗り込み、一時間弱で岩城島へ。
さぁ、あの正面の山ですよ、頂上目指して頑張りましょう(私が…)。
 当日は汗ばむほどの陽気。出発からまもなく、皆さん上着をどんどん
脱いで、額を拭いながら歩みを進めました。


 山頂付近にはパラグライダーの発着場があります。飛んでいる現場には
遭遇したことがありませんが、非常に眺めの良いポイントです。
疲れた足を休めて、しばしうっとり。。


 およそ1時間半程で山頂へ。
 この日は春霞がかかり、瀬戸内の春の代表的な景色、海と空と島々が
溶け合い、淡い水色と桜色が混ざり合った幻想的な絵画のような景色でした。
今年は、桜の開花が非常に早かったため、実施日までに散ってしまうのでは…
と、桜を目的にしたどこのイベントも心配していたことでしょう。松山では、
散り始めたところですが、島は気象の関係か、少し時期が遅れるようで、
今回は丁度!満開の桜が楽しめました。

 山頂の展望台には、他にもたくさんのお客様がいらっしゃいました。
暑いくらいの絶好のお天気の中、絶景を楽しみながらのお弁当です。
後半戦は足取りも重くなってしまいましたが、日頃山歩きをされる方が多く、
皆さん、元気・元気で、他にも島の魅力を色々案内していただき、
島を満喫されていました。

 ツツジの花も咲き始め、陽気に誘われ外へ出かけたくなる季節です。
今治地方観光ボランティアガイドの会が主催、(社)今治地方国立公園協会
(今治地方観光協会)が共催している
「しまなみ海道10周年記念 しまなみ海道誕生10の彩り再発見」
(公式ホームページ:http://www.oideya.gr.jp/shimanami_10th_anniversary.html
は市民で構成するガイドさんたちが、瀬戸内海国立公園をはじめとした、
瀬戸内の自然のとっておきの場所をいろいろな楽しみ方で案内してくださいます。
まだまだ知らない瀬戸内の魅力が満載、是非参加してみませんか?
中国四国地方環境事務所も後援しています。

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2009年04月03日発泡スチロール?ではありませんでした。

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

 4月になり、宍道湖や中海のコハクチョウも北帰行が完了し
渡りが本格化している今日この頃。
まだ大山は雪化粧中です。

 大山隠岐国立公園エリアを担当する米子自然環境事務所と松江自然保護官事務所は、ラムサール条約に登録されている国指定中海鳥獣保護区と、同じく国指定宍道湖鳥獣保護区も担当しています。
 米子事務所では10月の渡り開始の時期から自然保護官とともに中海の鳥類飛来調査を行ってきました。鳥の種類など全然分からなかった私ですが、半年たった今はある程度見分けがつくようになってきました!
 そこで今回は私が調査中に出会った、お気に入りの鳥の紹介をしたいと思います。

 その名もツクシガモ。
このカモは環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧Ⅰ類に分類され、中海の調査地点にはいつも1羽だけいました。他のカモより体が大きく、くちばしが赤っぽいこのカモ、初めて見たときは

「遠くの水面を大きな白い物体が漂ってる・・・。発泡スチロール?」
「遠すぎて分からない・・・。発泡スチロール?」

と自然保護官と話していましたが、少し場所を離れて戻ってきてみると“発泡スチロール(仮)”が岸の近くまで来ている!
そこで双眼鏡でのぞいてみると

「あれ?発泡スチロールじゃないツクシガモだ!」
「あれがツクシガモ!?きれいだなぁ。」

と発泡スチロールと見間違えたことを申し訳なく思う美しさ。


◎ツクシガモ

 中海に渡ってきていたツクシガモはもう渡去してしまいましたが、
是非また今年の冬もみたいカモでした。

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