ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2009年4月

14件の記事があります。

2009年04月30日標識お掃除@仙酔島

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

こんにちは。

先週は夏のような気温になったと思えば、
今週はまた冬に戻ったような寒さが戻ってきました。
森の動植物も春なの?夏なの?と困惑しているのではないでしょうか。

さて、GWも一週間後に近づき、
連休前に各地で清掃作業が実施されているニュースをよく耳にします。
私も仙酔島の施設整備の確認に併せて、
解説標識のお掃除をしてきました。

仙酔島は福山市鞆の浦から東300mにある島で、
約1億2000年前に火山活動によってできた、
仙酔岩体という流紋岩質凝灰岩からなる周囲約6kmの無人島です。


渡船場ではタヌキがお出迎え。
わりと人に馴れてるのでしょうか。


島内には、国民宿舎があるので宿泊もでき、
釣りや海水浴、温泉やキャンプなどを楽しむことができます。
また、山には遊歩道が整備されているので、
山歩きも楽しむことができ、
至る所に仙酔島の歴史や見所、動植物に関する案内が表示された解説標識があるのですが、

汚れに汚れ・・・解読不能となっていました。

そこで、お掃除開始です。

全部を廻ることはできませんでしたが、
御膳山(ごぜんやま)遊歩道にある解説標識はきれいになりました。
また、将来的には表示面の劣化の激しい解説標識から順次取替更新しけたらと思います。

解説標識はその地域の自然環境や動植物について、
知ってもらえる大事なものです。
今後も国立公園に訪れた方が
「ここにはこんな生き物が住んでいるんだ」
「この島はこうやってできたんだ」と
自然についてより理解していただけるよう、しっかり維持管理していきたいと思います。




掃除するAR


掃除前


掃除後

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2009年04月28日滑床山開き

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

足摺宇和海国立公園という名前だけあって海が中心の国立公園ですが、飛び地的に一部山も公園内に含まれています。その一つがこの滑床渓谷。

毎年ゴールデンウィーク前にここでは、万年橋の近く森の国発祥の碑の前にて山開きの神事が行われます。
滑床渓谷はこの時期から入山者でにぎわうので、その安全祈願です。


玉串奉奠

今年の山開き式典は4月24日、この日は新緑のまぶしい天気のよい日でしたが、水際のややヒンヤリとした空気の中で行われました。

愛媛の報道機関や各市町職員、緑の少年隊の児童、森林管理署の職員の方々など約70名が出席していました。
宮司による数々の神事や各代表者による玉串奉奠、渓魚の放流、来賓の挨拶などなどの式典。


目黒緑の少年隊による渓魚放流

全体的に少し緊張気味で神事が進んでいましたが、その中で目黒緑の少年隊代表の児童2名が渓魚を数回に分けて放流する姿は、出席者みんなの気持ちを和ませるものでした。

来賓代表の一人として保護官も「入山者の安全と、一人でも多くこの滑床渓谷を大切に思ってくれる人が増えてくれることを願います」と挨拶をしました。


来賓挨拶にて保護官もご挨拶

神事が行われている頃、駐車場に止めてあった官用車の屋根で猿はひなたぼっこをしていたのでしょうか。無事終了して車に戻ったら、よく見るとガラスに指紋がわかるくらいしっかりとサルの足跡が残っていました。(写真には写りませんでした、残念・・・。)
警察の監察官が持っているような指紋取りの道具があればおもしろかったのかなぁと思う出来事でした。

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2009年04月28日ゲンゲの力

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

こんにちは。
米子は週末の寒さで大山山頂が再び雪で白くなりました。

さてこの時期、外に出ると一面ピンク色の田んぼをよく目にします。
このピンク色の正体、ご存じの方も多いと思います。
その名もゲンゲ。レンゲ(蓮華)とも呼ばれていますよね。
では、ゲンゲが何のために田んぼに植えられているかご存じですか?

植物には成長する過程で欠かすことのできない『必須元素』というものがあります。
その中でも窒素、リン酸、カリウムは『肥料の三要素』ともいわれ、
植物が大きく生長する上で特に必要とされている要素です。
ゲンゲのようなマメ科植物は根に根粒菌という菌を持っています。
この菌は三要素の中の窒素を蓄え、
植物が使うことのできる窒素化合物につくりかえる作用を持っています。
よくマメ科の植物が荒れた土地でも生えているのは、
自分の持つ根粒菌で自分に必要な栄養分をつくっているからです。
さらにゲンゲは枯れた茎や葉を土と混ぜてそのまま肥料にすることもできます。
可愛いだけでなくすごい力を持った花なんですね。


◎ゲンゲの花

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2009年04月27日忽那諸島 -二神島-

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

こんにちは、松山のARです。
先日調査で行った、松山市の西の沖合いに浮かぶ島の一つをご紹介します。

二神(ふたがみ)島は松山市(旧中島町)に属する島で、
松山からは5つの有人島を結ぶフェリーで約1時間半、高速船で約40分です。


周囲10kmほどの東西に細長い島で、フェリーの航路からは、
全景を写すのが難しい。港の周辺は上の写真のような様子です。


漁港には、小型の漁船が並び、堤防から道路まで、
島の色々なところにヒジキが干してありました(上写真)。
春の瀬戸内では、よく見られる光景。
ヒジキは収穫、細かな砂などの除去、湯通し、天日干し、と全て手作業。
家庭でいただく商品になるまでにはかなりの手間ひまがかけられています。

また、港や集落の反対側の海岸は、瀬戸内では珍しい丸石の浜・アラレガ浜
があります。
打ち寄せる波に石が洗われる、シャラシャラという音が
なんとも心地よいところです。


アラレガ浜。音もお届けできればいいのに。

静かで自然豊かな島ですが、島唯一の小学校はこの春から休校に。
以前は賑やかな声が聞こえていた、静かな学校の横を通ると、
少し寂しい気持ちになりました。

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2009年04月27日今年の篠山アケボノツツジは・・・

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

先日23日に篠山の清掃登山がありました。この日は天気もよく、青空が広がっていて山歩き日和。
毎年アケボノツツジの花盛りがゴールデンウィーク付近に重なります。
それに向けて地元の小中学生の他、高知・愛媛の近隣市町や森林管理署職員の方々など総勢60名ほどがこの清掃に集まりました。
登山者が安全に楽しめるようにと、第1駐車場より歩道班と車道班に分かれてゴミ拾いや落ち葉掃き、落下のおそれのある枯木の処理などなどの清掃作業。


篠山山頂、全体的に花は少なめ

今年のアケボノツツジは、昨年が「表年」といわれていただけあって全体的に花芽自体が少なく、花もいくらか小さい・・・。
昨年の篠山のアケボノツツジを見た人は、この格差がはっきりわかるのではないでしょうか。例年でいけばゴールデンウィークがアケボノツツジのピークといったところですが、今年は少し花の咲き始めが早かったようです。この日の時点でまだまだつぼみもありますが、すでに茶色く変色し始め終わりかかっているものもありました。


小さいなりに色濃く咲いてます

私たちとしては、花数が少ないことにちょっぴり残念な感じもしますが、篠山のアケボノツツジにとって昨年がんばった分、今年は休息の年ということでしょう。
花芽の付き具合はいろいろな条件が重なり合ってのこと。毎年毎年たくさんの花を咲かせるのにどれだけのエネルギーを要するのか私たちには想像もつきません。
今年花咲きをひかえた分、来シーズンに期待したいところです。


根返ってしまったアケボノツツジ

私たちが草花を楽しむために山へ行くことは、時として山や植物に負担をかける場合があります。そこで篠山では、踏圧による裸地化を軽減するために道にコモをひいたり、強風による根返りを防ぐワイヤー固定などをして、ササやアケボノツツジを保護しています。それだけでなく一人一人ができることとしてゴミの持ち帰りや立入禁止区域を守るなどマナーをもって行動して、篠山の自然をこれからも末長く楽しみたいですね。

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2009年04月23日大山春の一斉清掃に参加しました!

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

 春になると冬の間雪の下に隠れていたゴミが顔を出します。
観光客や登山客の訪れる本格的なグリーンシーズンを迎える前に、
大山では毎年一斉清掃が行われています。
 今回は4月19日に行われた大山春の一斉清掃についてご報告したいと思います。

 この一斉清掃は「大山の美化を推進する会」が
毎年春のグリーンシーズンと秋の行楽シーズン前に実施しており、
今回で春・秋あわせて64回目を迎えました。
 朝9時、大山の博労座駐車場を含む6地域には約700人50団体が集まり一斉清掃が開始されました。当所もみなさんに交じって大神山神社参道~金門周辺の清掃を行いました。
参道の周辺はミヤマカタバミ、ヤマエンゴサクやタチツボスミレなどの可憐な花が
満開になっていました。
しかしよく見てみると参道の石畳の隙間には煙草の吸い殻などのゴミがちらほらと・・・。


◎大山博労座

◎大神山神社参道

◎ミヤマカタバミ

 参道周辺は比較的ゴミの少ない箇所でしたが、
他の清掃地点では中身がいっぱいに詰まったゴミ袋が何十袋もありました。
今回、観光客のみなさんのマナー向上のおかげか、
収集されたゴミの量は996kgと昨年の1245kgを下回りました!
 しかしそんな中で、今年もタイヤや家電製品などの不法投棄が行われていた箇所があったようです。

 何はともあれ、これからのグリーンシーズン綺麗になった大山に是非来てくださいね!

◎金門からの大山北壁

◎桜満開の桝水原
今年の大山は桜の開花が早いようです。

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2009年04月23日都会の中の自然・宇品島

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵


瀬戸内海国立公園は山や島など広範囲に渡り、
ほとんどの場所が市街地からは離れたところに位置しています。

ですが、一カ所ありました。
広島市内近郊に位置する陸島・宇品島です。
昔は「牛奈島」や「氏名島」と呼ばれ、
由来は島が牛の形をしていたことから「牛の島」、
江の内(広島湾)にあることから「内の島」が転訛したと言われています。
(今は埋め立てで牛の形はしていません。)
広島にずっと住む私も市内にこんな自然があるとは全っっっく知りませんでした。

現在は島の半分以上が埋め立て地となっていますが、
国有林である海抜52mの低山と南側海岸沿いが手付かずの状態で守られ、瀬戸内海国立公園に指定されています。

この景色のすぐ裏側は広島市街です。


山と南側海岸沿いには道が整備され、
釣りをする人、ウォーキングをする人、犬の散歩をする人など
市民の憩いの場となっているようでした。

また、島の周りには波の浸食によってできた海食崖や
溶岩が冷やされて出来た節理と呼ばれる花崗岩、断層なども見られました。
市街地近郊でこういったものが見られる場所もめずらしいのではないのでしょうか。

波の浸食によって出来た海食崖。
6000年位前まで今より数メートル高い位置に海面があったようです。

溶岩が冷やされ、規則的な割れ目が入った岩を節理といいます。



今は新緑がきれいで、
またフジの花も山ならではといった感じで豪快に咲いていました。

遠くに行く時間がない。
車がなくて遠くの山にはいけない。
といった方でも電車やバスですぐに足を運べる距離です。

休日の散歩に、散策に、釣りなどに是非宇品島を訪れてみてください。





晴れの日の新緑は一段ときれいでした。


あちこちにフジが咲いてました。
今年は少し開花が早いように感じます。


灯台の横には樹齢200年を超えるクスノキが!

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2009年04月21日瀬戸内海に棲む哺乳類

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

こんにちは、新緑やフジの花が山を彩っている松山です。

島の多い瀬戸内海国立公園。船で離島へ出張することがしばしばあります。
そんなとき、いつも期待するのが瀬戸内海に棲む“スナメリ”との遭遇です。
スナメリは、「ネズミイルカ科」に属する2m弱の比較的小さな海棲哺乳類で、
日本では瀬戸内海などの陸地に近く浅い沿岸・5海域で生息が確認されています。
瀬戸内海では「ナメ」「ナメノウオ」といった地方名で呼ばれているそう。
水族館で一般的なバンドウイルカのようなくちばしはなく頭は丸いし、
背びれがなく、全体的につるんとした概観をしています。
また、英名は特徴そのまんま、「finless porpoise:背びれのないイルカ」
と呼ばれています。

日頃海に接する機会が多い方からは「見かけるよ」との目撃証言がありますが、
なかなか泳いでいる姿を見かける機会は少ないと思います。
瀬戸内海では近年数が減っているとの報告もあり、日本では、水産資源保護法
という法律により、研究など特別に許可された場合を除いて捕獲や譲渡が
禁止されている動物でもあります。

先日は、松山沖の島、二神島へ出張にでかけました。
フェリーに揺られること片道一時間半の島です。


いないかな~

あの辺、海面が周りと違う!と思ったら、これは海藻。

スナメリは、体色は薄い灰色(海の色と同化)、背びれがない
(イルカ・クジラの仲間を海上で一番見つけやすい手がかりは背びれ)、
一般的にあまり大きな群れを作らない、行動がおとなしい(ジャンプしない、
背中の一部しか海面に出さず静かに泳ぐ)と、かな~り見つけにくい条件が
そろっています。見つけた様な気がしても、ただの波だったり。
まぁ、自然の中に暮らす生き物で、目立っていたらまずいんでしょうが。

水族館ではじっくり見ることができますが、自然下では、
カヤッカーや釣り人のように、「船のすぐ下を泳いで行った」なんてことでも
ない限り、近くでお目にかかるのは難しいでしょう。

瀬戸内海では春は彼らの出産シーズン。
この目の前の海に棲み、静かに命を育んでいます。

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2009年04月20日昔ながらの風景@倉橋島・鹿島

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

今日は呉市街の南に浮かぶ島、
倉橋島と鹿島のご紹介をしたいと思います。

倉橋島は人口約2万人面積約70㎢の広島で一番大きな島です。
車で廻っても、一周一時間以上はかかる大きさです。
人口も多いこの島ですが、
島の南側に位置する桂浜(かつらがはま)周辺が国立公園に指定されています。

浜のすぐ横には大きなクロマツ林があり、
万葉集にも歌われていることから、
おそらく奈良時代にはすでにあったと考えられているようです。

ということは樹齢何歳になるんでしょうか?


クロマツ林。
とにかく木がでかい!歴史の長さを感じさせます。


そして桂浜。
高知の桂浜(かつらはま)の大きさには遠く及びませんが、
広島の桂浜(かつらがはま)は波も穏やか。
天気もよい日は地元の方も
「沖縄の海みたいじゃねぇ~」と言っていました。


白浜に囲まれた倉橋島。


桂浜で釣りをする人。海が青い!


続いて、その先にあるのが鹿島です。

ここではみかんなどの柑橘類の栽培がさかんで、
今まさに旬の甘夏や八朔などがお店にずらりと並んでいました。
島内にはほとんど平地がないことから、
江戸時代後期から戦後にかけ、
山頂近くまで200段近い石垣を作っていたようで、
今でも段々畑が多く見られました。
漁村と段々畑のある風景は昔ながらの日本といった感じで
なんだか懐かしさを感じさせるものでした。

こんな風情ある風景をいつまでも残したいものです。



昔ながらの漁村風景と山には段々畑が作られています。


小石をきれいに積み上げられた段々畑。



トビがあちこちで飛んでる姿も見られました。

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2009年04月17日大岐海岸の花々

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

はじめまして。
この4月から土佐清水自然保護官事務所にてアクティブレンジャーを勤める新堀です。
四国西南端の町“土佐清水”より足摺宇和海国立公園の出来事を私の観点からお伝えしていきますので、よろしくお願いいたします。

近頃は、山の色合いも新緑の萌黄色から刻々と落ち着いた色になってきました。先日、大岐海岸へ行ってきました。
南北に約1.5km延びた長い浜にでると、4月といえども晴れた日は、日差しがすでに初夏を思わせるほどです。


大岐海岸

それに沿うように、駐車場と浜の間にはこんもりとした林があります。元々は防風林・防潮林としてのマツ林だったようですが、現在はほとんど枯れてなくなり広葉樹林になっています。
マツ林に守られながら、山からの種やいろんなものが運ばれ定着して成長していったのでしょうか。今は、立派な木々が立ち並び森を思わせるものです。


大岐海岸の林

その中に、ちょっとした遊歩道があるのを皆さんはご存じですか。
一目散に浜を目指すのもよいですが、たまにはその手前の遊歩道散策もまた違った楽しみ方のひとつ。

地味なもの、目立つもの、様々な色や形をした木や草の花々が、この時期から私たちを楽しませてくれます。
背の高い木の花を見つけるのは難しいかもしれませんが、浜風の影響で低木になってしまっているものも多いので、目先で咲いている花もあります。
浜にも林内にも小さな花々が咲きはじめています。
どこからともなく甘い香りが漂ってきたり、色が飛び込んできたりするので探してみてくださいね。


アキグミ

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