ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2008年9月

8件の記事があります。

2008年09月30日大山トイレマナーアップキャンペーン

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

 9月1日から鳥取県は、登山者の大山での頂上トイレ使用や大山の自然環境を大切に利用してもらうためのマナーやモラルの向上を図るため、「大山トイレマナーアップキャンペーン」をスタートしました。それに関連して、9月28日に頂上トイレ浄化槽にたまった汚泥のキャリーダウンが行われました。当事務所からはわたしは別のイベントに参加していたため参加できませんでしたが、保護官が参加しましたのでその様子を紹介したいと思います。

 大山の頂上避難小屋のトイレは、太陽光、風力による電力を使用し、し尿分解を促進する先進的なエコトイレとして2002年に供用が開始されました。そして供用開始から6年あまりたった現在、沈殿分離槽には約3.8立方メートルもの汚泥が蓄積されています。そのため、今回浄化槽機能の低下を防ぐため、キャリーダウンボランティアを募り蓄積された汚泥の人力運搬が行われました。
 ボランティアによる人力運搬は全国でもまれだということでしたが、今回のキャリーダウンには事前参加申し込みされた方が350名、当日参加、駐車場受付の方が約30名、頂上受付が約60名、スタッフをあわせると約500名もの人が参加しました。参加者は地元の鳥取、岡山、島根、遠くは東京からと様々な地域から多くの参加があったようです。
 参加者は頂上で汚泥を入れたボトル(2リットル)を受け取り下山。今回のキャリーダウンでは約1トンが人海戦術で担ぎ下ろされました。鳥取県では来年度以降もこの活動を続ける予定だそうです。


◎ボランティア受付(大山博労座駐車場)


◎頂上でのボトルの受け渡し
奥に見えている黄色のタンクが沈殿分離槽

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◎大山のトイレマナー5ヶ条◎
1.登山に備えて前日の体調を整えましょう。
2.登山前には用便をすませましょう。
3.登山時には携帯トイレを持参しましょう。
4.頂上トイレは大切に使用しましょう。
  (トイレの使用は最小限にしましょう)
5.ゴミは持ち帰りましょう。

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2008年09月22日ヨモギ採集

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 前回の日記(http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/2008/09/351.html)
に続き、研究用の植物採取についてです。
 緑化植物(道路などの工事後に緑化する時に使用される植物)に
関する研究のための植物採集の依頼があり、愛媛県内の国立公園でも
対象種がたくさん自生している場所を探していました。
 採取するのは開花期の葉。


 対象の植物の1つであるヨモギは、前回の調査では堅いつぼみ状態でしたが
(上 9月3日撮影)、2週間空けてみたところ花が咲いていました(下 9月17日撮影)。
開花も確認したところで、いよいよ採集です。

 実はヨモギの花をまじまじと見たのは今年が初めてです。
ヨモギの花はあまり目立たない小さな花で、キク科の植物では珍しい
「風媒花(ふうばいか)」だそうです(虫ではなく、風に花粉を運んでもらって受粉する植物)。
 ヨモギの葉は食べ物やお灸などに利用するということでなじみがありますが、
花粉は花粉症の原因にもなるそう。
次から花粉対策にマスクが必要かも…。

 当日は小雨が降ったり止んだり。
ヨモギまみれ、クモの巣まみれになり、黙々と作業すること数時間。 


 DNAサンプル用に、葉の「組織液」を採取。


 一個体ずつ、葉を袋につめて研究機関へ発送!

 種判別や手順など、まだまだ不安は残りますが、不備がありませんように…
数年計画の研究だそうで、採集は、まだまだ始まったばかりです。


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2008年09月19日秋の七草?

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 迷走した台風がようやく去っていきましたね。
松山での被害はなかったものの、期待された恵の雨はほとんど降らず。
愛媛では水の大切さを実感する日々です。

 さて、8月から、ススキ、ヤマハギ、ヨモギを探していました。
ススキ、ヤマハギ、って… お月見?秋の七草探し?
ではなくて、植物調査のために全国の国立公園でこれらの植物の採集の
依頼がきているため、愛媛の管内での適地を探していました。

 「萩」といえば、一般的には全国的に普通に見られる「ヤマハギ」という種類を
指すそうですが、四国では、図鑑や植物の専門家のお話によると
ヤマハギは「やや稀」とのこと。
土佐清水のARもヤマハギ探しに苦労しているそうで、
こちらも探し回って素人目に発見した萩は別種のようでした。



これは、今回は違う「萩」。

 名前はなじみの深い植物ばかりですが、地域によって少なかったり、
類似種があるようで、植物の専門的知識のない私にとっては、
普段、鑑賞するときなどでも特別に種類など気にしたことがないだけに、
「この種」を「特定の時期」に「たくさんあるところ」…etc.
色々条件付きで探すというのはなかなか大変なようです。



8月下旬。土も植物も夏バテ気味?少雨で乾燥してます。

○余談
 書いたように調査と秋の七草とは全く関係ないのですが、ススキとハギを探すうちに、
他の七草を意識するようになりました。
地方によっては、生えていなかったり、減ってしまった七草もあるようです。

~秋の七草~
 萩、尾花(ススキ)、葛、女郎花、藤袴、桔梗、撫子

 秋の七草は、春の七草で食べるのとは違い、花の美しさを眺めて楽しむもの
なんだそうですね。
食いしん坊の私はどこかで食に結びついているんだろうと思っていました…。
秋の七草の繊細な美しさって日本の美的感覚だなぁと、季節を感じる秋です。

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2008年09月19日大山歴史巡り~豪円山~

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

 大山の玄関口、博労座続きの東側の山はかつて呼瀧山と呼ばれていました。しかし、現在では呼瀧山と言っても地元の大人でも分からないほどあまり知られていないそうです。実はこの呼瀧山、いまで言う豪円山のことです。豪円山は標高892mで、山頂まで10分弱程度で登ることのできる山です。スキー場や野営場もあり様々なシーズンで多くの人に利用されています。
 豪円山には北側の一部斜面に、いまでもわずかに滝の流れがあり、この滝は往年はその瀑音が山野にこだまし、このことからこの山を呼瀧山と呼んでいたそうです。ではなぜ豪円山と呼ぶようになったのでしょうか?
 呼瀧山が豪円山と呼ばれるようになったのは慶長16年(西暦1611年)以降で、大山寺中興の祖である豪円僧正の墓所となってからその功績をたたえて名付けられたそうです。山頂に続く道の傍らには豪円僧正を中興の第一世として第二世から第八世までのお墓(世代墓)があり、山頂には豪円地蔵がまつられています。ちなみに大山は聖域とされていたため実際に遺体は埋葬されずこの場所にある墓は詣り墓とよばれるものです。
 豪円僧正が葬られたことで呼瀧山から呼び名が変わった豪円山ですが、豪円僧正がなぜこの地に葬られたかというと、それにはある伝説が残っています。

 かつて米子城主が行った検地が、徳川家康より三千石の寺領安堵のお墨付きを受けていた大山寺領にまで及んだことに怒った豪円僧正がその死を前に、

「吾を葬るには須(すべから)く米子城を俯瞰(ふかん)すべき地に於てせよ 吾必ず異日米子城の没落を見せよう」

と遺言したので米子城を望むこの地に葬り、その3年後に米子城主中村一忠が20歳の若さで頓死し米子城主中村家は断絶になった、という伝説です。


◎山頂にある豪円地蔵
 この豪円地蔵の視線の先には米子市街が・・・

 このようなちょっと怖い伝説の残る豪円山ですが南斜面から見る大山の眺望はすばらしく、大山でも景勝地の一つです。気軽に行くことのできる場所なので、是非ここから見える大山と豪円地蔵を見てもらえればと思います。 


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2008年09月18日鱒返しの滝

大山隠岐国立公園 米子 米田美里

 みなさんは大山隠岐国立公園の中の滝といわれて、思いつく滝はどの滝ですか?おそらく一番はじめに思いつくのは大山滝ではないでしょうか?大山滝は名瀑100選にも選ばれた大山一の滝です。しかし、大山滝以外にも大山隠岐国立公園内には鮎返しの滝や、千丈滝など様々な見応えのある滝があり、鱒返しの滝もその中の一つです。今回は先日巡視に行った鱒返しの滝について紹介したいと思います。
 
 鱒返しの滝は約110万年前、大山の噴火でできた滝であるといわれています。三段構成の滝で、『その高さと滝壺の深さを知る者はいない神秘の滝・・・』だそうですが、とりあえず上段の高さは47mあることが知られています。滝の上は『一枚岩渓谷』で流れに磨かれたテラスのような渓谷が広がっているそうです。新緑、紅葉、雪景色と様々な自然の変化を楽しむことができる滝です。
 
 鱒返しの滝の遊歩道の入り口は以前紹介した船上山の東坂登山口から車で5分もかからないくらいすぐ近くにあります。遊歩道は500mもなく、20分足らずで滝見台に着きますが、道幅が40cm程度で片側は急斜面なので歩くときには注意が必要です。


◎滝見台からの鱒返しの滝

 滝見台は小さく、10人くらいが定員の広さです。滝見台から一枚岩渓谷にも行くことができるようでしたが、巡視を行った日は前日の雨で道の状態が悪く危険だったため行くことができませんでした。


◎一枚岩渓谷への道
45度くらいの傾斜をロープで登って行きます。

 大山滝よりも気軽に行くことができるので、紅葉の季節にはぜひ足を運んでみてほしい滝でした。

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2008年09月12日秋の佐田岬

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 瀬戸内海と宇和海に挟まれた愛媛県の佐田岬半島。
その先端・佐田岬灯台へと続く、木々に囲まれた遊歩道を歩くと、
急潮の潮騒や鳥や虫たちの声が賑やかで、季節により様々な自然に出会うことができます。
今回は秋('08年9月11日)に出会えた風景をご紹介します。


遊歩道から見える瀬戸内海とセンニンソウの白い花

 一面のお花畑ではありませんが、道の脇にはひっそりと可憐な花々が咲いていました。

クズ、オオキツネノカミソリ、
ヤブランの仲間、ヤブツバキの実(花は、もう少し先…)

もうじき、ツワブキの花が咲き始めます。

 また、今回は珍しい(?)散策者が。
 灯台からの帰りの上り坂、ガサッと音がするので、すれ違う人かと思って顔を上げてみると。

ん!?
 …イノシシでした。

 しばし目が合ったあと、幸い静かに立ち去りました(写真は去り際の後ろ姿)。
 保護官や、あとから話した人からは「おとなしかったから良かった」、
「イノシシは突進してくるから気をつけなよ」などと言われましたが、どう気をつければいいものやら。

 調べてみると、イノシシに出会ったときは騒いだりして刺激しない、
突進してきたら横にかわす、木に登る、などなど…。心構えがいるようです。
住宅街や畑、はたまた海をも泳いで渡るたくましい動物。
みなさんも出会ったときにはお気を付け下さい。

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2008年09月11日四国の「最西端」

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 四国の一番西に当たる佐田岬。読みは「さだみさき」。
よく「佐多岬:さたみさき」と混同されますが、「佐田岬」は愛媛県、「佐多岬」は鹿児島県にある岬です。

 佐田岬の駐車場は、地滑りの影響により長く利用できない状態が続いていましたが、
伊方町(旧三崎町)による整備が終わりこの夏から利用再開となっています。
周辺の巡視も兼ねて、駐車場の様子を確認に行ってきました。



 平日ですが、利用者もおり入れ替わりで車が行き来します。
アクセスしやすいところではありませんが、年間通じて観光に来られる方が見られます。
 駐車場の奥からの眺めも最高。
蒼い宇和海が眼前に広がり、佐田岬の先端、佐田岬灯台が一番先端の山影に少し見えます。
九州側、大分県も今日はうっすら見えました。


駐車場からの眺め

 じゃあ、行ってみようかな、という方。駐車場は到着地のようで、まだまだ通過点。
およそ50kmの細長い半島をドライブしてこの駐車場に着いた後、
2km弱の遊歩道を登ったり下ったりしたところが佐田岬灯台の待つ岬の先端です。
「日本一細長い半島」、「四国最西端」の異名にふさわしく、
真の「最西端」への道のりはなかなか険しい(?)ものです。
足など悪い方には大変かもしれません。


木のトンネルの中を歩く遊歩道

 駐車場で満足する方、歩く時間がなくて引き返す方、灯台までの道のりを聞き諦める方、
いろいろです。
 往復1時間程度はかかりますが、一見の価値あり!
ぜひぜひお越しの際は時間に余裕をもって「最西端」まで、散策してみてください。

 続けて、次回は秋の佐田岬で出会った自然をご紹介したいと思います。

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2008年09月05日笠松山の山林火災

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

 8月24日夕方、愛媛県今治市の笠松山で山林火災が発生しました。
全国ニュースにもなっていたので、耳に挟んだ方もいらっしゃる
かもしれません。

 笠松山は標高357mの小高い山で、遊歩道のほか、麓には古墳群などもあり、
古くから地域の人々に親しまれてきた里山です。
このあたりは瀬戸内海国立公園の一部でもあり、私も休暇村瀬戸内東予が
実施するウォーキングイベントや、巡視などで何度かのぼったことがありますが、
瀬戸内海や周囲の田畑の景色が見渡せ、とてものどかで美しいところです。

 火災発生の翌日に付近を通ると、景色は一変。
ものすごい煙が巻き上がっていました。


8月25日撮影

9月3日撮影(鎮火後)
 
 懸命な消火活動が行われた結果、完全な鎮火が宣言されたのは、
発生から6日目のことでした。一時、山の麓の住宅の近くまで火の手が
迫ったようですが、民家などには被害がなかったのが幸いでした。

 雨が少ないとき起こった火災。乾燥しがちな瀬戸内ではたびたび山火事が
起こります。火の手はあっという間に広がってしまいますが、
また緑豊かな山に戻るにはしばらくの年月がかかりそうです。

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