あなたが飼っている魚を放流しないでください
日本の在来種でも外来種? 「食害」だけではない、放流による地域の生物への悪影響
飼育している魚を放流しないでください
飼育している魚を河川やため池に放流すると、放流先の生態系に悪影響を及ぼします。在来種のすみかを奪ったり、在来種を食べたりすることはよく知られていますが、その他にも以下のような問題があります。海外から持ち込まれた種だけでなく日本の在来種についても、飼育している魚は最後まで責任を持って飼育し、野外に放流しないようにしてください。
飼育している魚を野外に放流すると何が起きるか?
1.放流した魚が、その地域の在来種を滅ぼす
多くの淡水魚は、それぞれの地域において、長い年月をかけて進化し、地域固有の種(亜種)を生じてきました。
こうした地域固有種(亜種)は他地域の種(亜種)と遺伝的に近いため、他地域の種が入ってくると容易に交雑します。交雑したできた子供は、在来種ではありません。交雑がさらに進むと、在来種は最後には絶滅してしまいます。
2.放流した魚が地域個体群を破壊してしまう
多くの淡水魚はそれぞれの地域で今も独自の進化を続けています。まだ亜種まで分類されていなくても、それぞれの水域ごとに、遺伝子が異なる集団が存在します。この集団は「地域個体群」と呼ばれています。
別の水域の淡水魚を放流すると、その水域に生息する在来の地域個体群と交雑してしまいます。交雑が進むと、在来の地域個体群の遺伝的特徴が失われてしまいます。
たとえ日本の在来種でも、人間が移植すると外来種になる
こうした理由から、たとえ日本の在来種であっても、人の手で元いた場所とは違う場所に放流されれば、それらは外来種となってしまいます。種の由来が国内外を問わず、飼育している魚を野外に放流してはいけません。
飼育している淡水魚の放流と影響の実態(リンク集)
実際に、飼育されていた魚が野外に放流され、交雑などの問題を生じた事例が複数件確認されています。報告事例のいくつかを紹介します。
紹介している事例で放流と考えられる魚は、いずれも観賞用としてネットショップやペットショップに流通している日本在来種です。
- 不適切な個体導入により悪影響が懸念される事例・メダカ(淡水魚類)(不適切な保全活動による遺伝的多様性の攪乱)
- 絶滅のおそれのある野生動植物種の生息域外保全取り組み事例・ハリヨ
- 交雑がもたらす遺伝子汚染の実態
- 分子系統地理が示す愛媛県松山平野におけるアブラボテの人為移入起源
- 青森県で確認されたアカヒレタビラAcheilognathus tabira erythropterusとシロヒレタビラA. t. tabira
ほかにもある外来種の影響
このページは、淡水魚放流による交雑の問題を取り上げていますが、外来種にはほかにも多くの問題があります。飼育している生物は責任を持って最後まで飼育し、野外に放流するのはやめてください。
外来種に関する全般的な問題については、以下のページで説明しています。