しまなみ海道における回生電動アシスト自転車の実証実験の結果について

瀬戸内海国立公園内を通っている「しまなみ海道」において、一般社団法人しまなみジャパン及び環境省中国四国地方環境事務所の協力のもと、太陽誘電株式会社が「回生電動アシストシステム」を搭載した自転車(以後、「回生電動アシスト自転車)の実証実験(4月~6月)を実施しました。
その結果、回生電動アシスト自転車は、しまなみ海道において、走行時のアシストに使用される電力量の約4分の1に相当する電力量を下り坂の走行やブレーキ時に発電していたことが解りました。
また、アンケート結果において、「本日の回生電動アシスト自転車でのサイクリングは満足のいくものでしたか?」との質問には、「ある程度そう思う」、「大変そう思う」と回答した方が、95%となっており、多くの方が快適であったと感じていました。

1.実証実験の概要

(回生電動アシスト自転車の詳細)
一般的な電動アシスト自転車とは異なり、ブレーキ時や下り坂等の走行時に発電し、バッテリーに再充電を行うことにより、さらなる長距離走行を実現した自転車。回生電動アシスト自転車に搭載されている回生電動システムは、太陽誘電株式会社が開発した技術。

(実験期間)
令和4年4月1日(金)から令和4年6月30日(木)

(利用受付)
一般社団法人しまなみジャパン

(貸出場所及び車種等)
中央レンタサイクル(今治側)及び尾道港(尾道側)
貸し出した自転車は、回生電動システムを搭載したブリヂストンサイクル株式会社製ティービーワンe(5台:今治側)、ステップクルーズe(10台:5台ずつ尾道側と今治側)、ラクット(5台:尾道側)の計20台。

(実証実験の方法)
しまなみ海道において、通常のレンタサイクル事業における電動アシスト自転車と同様の料金設定で回生電動アシスト自転車を貸出し、利用いただいた方へのアンケートや電動モニター情報を元に検証したものです。
回生電動アシスト自転車に装着した電動モニターは、走行中の走行距離(km)、消費カロリー(kcal)、使用電力量(100J)、発電電力量(100J)を記録する機器です。

(実証実験開始時の報道発表)
以下のHPアドレスを参照ください。(中国四国地方環境事務所四国事務所HP)
https://chushikoku.env.go.jp/shikoku/to_2022/post_147.html

2.実証実験結果の概要

(利用者数)
尾道側で405人、今治側で518人でした。

(電動モニター結果)
全車種のデータを統合した結果、1回の利用において、走行距離は平均35.3km、消費カロリーは平均479.1kcalでした。この消費カロリーは、約60kgの体重の方が、一般的な自転車でのスピード(16.1km/h)で1.9時間の運動量、距離にして約30.6kmに相当します。(参考:独立行政法人 国立栄養・健康研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』(2012年4月11日改訂)」)このことから、約5kmの走行距離に相当するカロリーをアシストされたことになります。
また、走行中にアシストで使用した電力量は平均364,100Jであり、これに対して、回生して発電した電力量は平均96,590Jになりました。この走行中において、使用電力量に対しての発電電力量の割合は26.5%になりました。

(アンケート結果)
「本日の車種は乗りやすかったですか?」との質問に対して、88%の方が「ある程度そう思う」、「大変そう思う」と回答していました。また、「本日の回生電動アシスト自転車でのサイクリングは満足のいくものでしたか?」との質問には、「ある程度そう思う」、「大変そう思う」と回答した方が、95%になっていました。このことから、しまなみ海道における回生電動アシスト自転車の乗り心地は、多くの方が快適であると感じていました。
「回生電動アシスト自転車を将来購入したいと思いますか?」との質問に対しては、「ある程度そう思う」と答えた方が34%で一番多く、「どちらとも言えない」と答えた方が30%で二番目に多くなっていました。一方、「回生電動アシスト自転車をレンタサイクルで利用できるようにするべきと思いますか?」との質問には、91%の方が「ある程度そう思う」、「大変そう思う」と回答していました。このことから、個人で回生電動アシスト自転車を所有するよりも、レンタサイクル等で活用してみたいと思われる方が多いように思います。
「回生システム(下り坂走行時や、減速時の発電)は体感出来ましたか?」との質問には、約77%の方が「ある程度そう思う」、「大変そう思う」と回答していました。また、「回生電動アシスト自転車は環境に良い移動手段と思いますか?」との質問には、92%の方が「ある程度そう思う」、「大変そう思う」と回答していました。これらのことから、今回の実証実験において、多くの方に回生電動アシスト自転車を体感いただき、また多くの方に環境に良いアイテムであると認識いただいたと思います。


〔アンケートの設問〕
【問1】本日の車種は乗りやすかったですか?
【問2】駆動(アシスト)電量、回生(発電)電力、消費カロリー(運動量)の表示は良いと思いますか?
【問3】回生システム(下り坂走行時や、減速時の発電)は体感できましたか?
【問4】回生電動アシスト自転車は環境に良い移動手段と思いますか?
【問5】回生電動アシスト自転車を将来購入したいと思いますか?
【問6】回生電動アシスト自転車をレンタサイクルで利用できるようにすべきと思いますか?
【問7】しまなみ海道のサイクリングロードは良く整備されていると思いますか?
【問8】本日の回生電動アシスト自転車でのサイクリングは満足いくものでしたか?

3.まとめ

1回の充電で長距離走行を可能にした「回生電動アシスト自転車」の活用は、瀬戸内海国立公園内の新たな利用アイテムとして、また脱炭素社会の実現に向けても期待できることから、システムの普及とともに一般の方々が利用したときの感触を確認するため、しまなみ海道のレンタサイクル事業に携わっている一般社団法人しまなみジャパン及び中国四国地方環境事務所は、今回のしまなみ海道における太陽誘電株式会社の実証実験に協力してきました。
実証実験の結果、快適にしまなみ海道を走行いただきつつ、回生電動アシストシステムにより、アシストに使用される電力量の約4分の1に相当する電力量が、下り坂の走行やブレーキ時に発電されたことがわかりました。
中国四国地方環境事務所では、回生電動アシスト自転車は体力に自信のない方にも国立公園内をアクティブに楽しめる新たな利用アイテムであり、かつ脱炭素社会の実現に向けて将来性が期待できることから、本実証実験では使用電力の約4分の1の発電電力量でしたが、さらに高効率に発電出来るよう改善されることを期待します。また、回生電動アシストシステムについて、多くの機器に活用され、普及していくことを期待しています。
(本発表資料のお問い合わせ先)
環境省 中国四国地方環境事務所 四国事務所 松山自然保護官事務所
担当者:山脇
TEL:089-931-5803

(回生電動アシスト自転車に関する問い合わせ先)
太陽誘電株式会社 高崎グローバルセンター 新事業推進室 新事業推進部
担当者:大西
TEL:090-6142-0527

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