報道発表資料
- 報道発表
大山の自然環境保全に関する登山者アンケート結果について
大山登山者による大山の自然環境保全等に関する意識を把握することを目的として、平成30年9月から11月に環境省、鳥取県、大山町、甲南大学、北海道大学及び京都大学の共同でアンケート調査を実施した結果を公表します。
1.背景・目的
環境省では、国立公園への誘客を進める国立公園満喫プロジェクトのモデル地域となっている大山隠岐国立公園において、関係機関とともに様々な事業を実施している。
大山隠岐国立公園の大山は、年間8万人以上が登山し、一木一石運動等の登山者を含めた広範な関係者による山岳環境の保全が行われてきた経緯がある。一方で、近年、し尿廃棄等の山岳環境保全上の問題が指摘されている。
そこで、大山登山者による大山の自然環境保全等に関する意識を把握することを目的として、以下の通りアンケート調査を行った。その結果、大山登山者は大山のトイレ環境改善に関する意識が高く、山頂トイレの維持管理に一人当たり約1690円、「携帯トイレ処理」「植生保護」「登山道補修」を含めた何らかの対策実施に一人当たり約2901円の支払意思額があることが推計された。
2.アンケート調査概要
調査実施者
環境省・鳥取県・大山町・甲南大学・北海道大学・京都大学
調査期間
平成30年9月下旬~11月下旬
調査方法
休日に人員を配置して現地配布(景品のハガキ付き)、郵送にて回収
分析手法
トイレ問題を含む大山の環境保全に関する支配意思額については、環境経済学で環境の価値評価に用いられているコンジョイント分析で評価。「山頂トイレ維持管理」「携帯トイレ処理」「植生保護」「登山道補修」の4つの課題対応と「登山者の負担金」の組み合わせで意向を調査し、支払意思額を集計
回収率
1,000部配布し、444部回収(回収率44.4%)
3.調査結果
(1)属性
性別:男性58%/女性42%
年齢:30代13%/40代24%/50代35%/60代17%/その他11%
居住地:鳥取県19%/その他81%
訪問経験:初めて訪問40%/リピーター60%
(2)登山利用時の満足度(7段階評価の上位3段階)
・満足度上位は、「登山道までのアクセス(84%)」「登山道整備(76%)」「登山口周辺の施設整備(77%)」「案内標識整備(68%)」
・「トイレの整備(44%)」の満足度が最も低い
(3)大山のトイレに対する認識
利用したトイレ
1位 大山頂上避難小屋(38%利用)
2位 下山駐車場(28%利用)
3位 南光河原駐車場・大山ナショナルパークセンター(各20%利用)
大山のトイレ問題に関する認識
知っていた又は聞いたことがある(43%)
トイレ問題の重要性に関する認識(5段階)
「極めて重大」及び「やや重大」で94%
携帯トイレ使用経験
使用経験ありは12%
携帯トイレの使用可否(通常トイレ混雑時を含む)
83%が使用可能と回答 ※使用に積極的でない回答者は使用経験がないことと持ち運びを不安視
携帯トイレのみしか利用できない場合の同意意向
85%が同意
山頂トイレ維持に加えて携帯トイレを推進した方がよいか
71%が同意
(4)トイレ問題解決を含む大山の環境保全に対する支払意思額
「山頂トイレ維持管理」に一人当たり約1690円の支払意思額
「課題対応の内容に関わらず対策実施」に一人当たり約2901円の支払意思額