ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2009年7月

15件の記事があります。

2009年07月09日エコツアー下見~干潟~

瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵

秋に行われる瀬戸内エコツアーの下見調査に行ってきました。
場所は広島県竹原市にあるハチの干潟や吉名の干潟、龍島などです。
ハチの干潟にはナメクジウオやハクセンシオマネキなどの絶滅危惧種も生息しており、
吉名の干潟や龍島には生きた化石と呼ばれるカブトガニが生息する数少ない貴重な干潟でもあります。


干潟。

みなさんのお住まいの場所によっては
あまり見られない地域もあると思いますが、
干潮時に沿岸域に現れる砂や泥が溜まった場所を指し、
波の穏やかな内湾や入り江などで河川が流れ込んでいる場所に多く見られます。

干潟には微小生物からアサリなどの貝類、
カニやシャコなどの甲殻類までたくさんの生きものが生息しています。
私がこの時見たものだけでも、
ヤマトオサガニやマメコブシ、ハクセンシオマネキなどの生き物や
タマシキゴカイやツメタガイの卵塊なども見られました。


そんな多くの生き物が暮らしている干潟。
昔は瀬戸内沿岸部に住んでいれば、
どこにでも見られていたのだと思いますが、
開発や埋立てなどが進み、
1898年に25,190haあった干潟が
1990年代には11,700haと半分以下にまで減っています。
そのため、多くの生き物たちが生活する場所を失ってきました。
干潟は生き物の生活する場というだけでなく、
アサリやカニなどが有機物を食べ分解してくれるので、
天然の浄化槽のような役割を果たし、海をきれいにしてくれています。

身近にいる生き物の存在も知らなければ、
ただの泥地かもしれません。
ですが、この小さな干潟でさえ、
様々な生き物が共生している様子を垣間見ることができます。


梅雨があければ本格的な夏スタートです!
プールや海水浴場に行くだけなんてもったいない!
是非、干潟や磯へも足を運んでみてください。
楽しいですよ♪



左上:ヤマトオサガニ(脱皮したばかりで体が柔い。)
右上:マメコブシ(拳を握ったように丸いから。)
左下:タマシキゴカイの卵(このぶよぶよの中に卵が・・)
右下:ツメタガイの卵(底抜け泥茶碗のよう。どうやって作るのか・・)


ハクセンシオマネキ
皆揃って手を振る姿はまさに潮を招いてる様子そのもの。


干潮になると陸続きになる龍島。


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2009年07月09日自然美と近代美 沙弥島

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

 こんにちは、高松ARです。
どんどんと夏らしくなって、暑さが増していく今日この頃です。


 さて、今回は坂出市沙弥島へ行ってきました。
沙弥島といっても、沖にポコッと浮かぶ島ではないんです。陸続きになっている島なのです。理由は、昭和39年から臨海工業地区造成のため付近の海域が埋め立てられ、昭和42年に陸続きとなったからです。

 瀬戸大橋のたもとからのびる道を進んでいくと、右側には無機質な感じを持つ工業地帯が、左側には真逆の緑豊かな沙弥島が見えてきます。
ゆったりと流れる空気、工業地帯の側とは思えないざわざわとした喧噪もなく、どこか懐かしい雰囲気を持っている沙弥島。

 潮風に誘われるがままに沙弥島奥へと進んでいくと、瀬戸大橋の一望できる場所へと出てきます。『ナカンダ浜』。ここは、縄文、弥生時代の各種土器・石器が出土している所でもあり、さらに、浜辺には珍しいエノキの巨木があります。このエノキの巨木を境に青々とした芝生、白い砂浜とに分かれており、思わず芝生でごろんとしたり、砂浜で裸足になってみたくなるような、のんびりとした場所が広がります。

 一見、穏やかで泳げそうな浜ですが、海水浴場ではないので決して泳がないように。 海水浴場はナカンダ浜に行く途中にある「沙弥島海水浴場」があります。そこは海水浴場百選にも選ばれています。磯が点在し、エビ・カニ・小魚等が多く生息していることから、親子で磯遊びをしている光景が見られます。





ナカンダ浜(分かりづらいけど・・・右側にエノキの巨木)


 そしてナカンダ浜から続く遊歩道を行くと、文学碑が数多く散在しています。小さな石で歌が詠まれているのが、万葉の歌人柿本人麻呂ゆかりの歌碑、もう少し進むと坂出出身の作家中河与一の小説「愛恋無限」から全国の有志によって建立された『愛恋無限文学碑』、その他にも旧石器・縄文・弥生時代の遺跡や古墳があります。これを目的に訪れる歴史・文学愛好者たちも多くいます。



万葉歌碑


 遊歩道はウバメガシのトンネルになっていて心地よい涼しさをもたらしてくれます。遊歩道途中の展望地や休憩所で瀬戸内海の風景をゆったりと眺めながら、日頃の煩わしさを忘れてリフレッシュしてみては。
  

 古代の歴史・文学、古くから地域の皆さんによって守られている自然環境、瀬戸内特有の多島美の風光、穏やかな海。そして近くには、瀬戸大橋記念公園、東山魁夷せとうち美術館があります。

 自然美・古代の歴史・文学、近代美。さまざまな顔を持つ沙弥島。
まだ行ったことのない方はぜひ!おすすめです!

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2009年07月07日第3回環境学習「海を知る!~ウニってどんな生きもの?~」

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

三崎小学校での3回目の環境学習「海を知る!~ウニってどんな生きもの?ウニのぶんちんづくり~」を7月6日に行いました。

今回の講師は、NPO竜串観光振興会の京谷さんです。竜串にある海のギャラリーを拠点に活動している方です。
(海のギャラリー http://www.city.tosashimizu.kochi.jp/uij/doc/kankou/04.html ) 
今回は、海の中や磯など至る所に潜んでいる“ウニ”を題材にしたものづくり。

子どもたちはどのくらいウニについて知っているのでしょうか?
何となくは知っているけど・・・といった感じで、じっくりみる機会は少ないものです。
ウニの口はどこ?おしりは?トゲって何のためにあるの?ウニって自分で動けるのかな?などなど、ウニについて説明していきます。
子どもたちは、「ウニに足がある、口が下でおしりが上にある」ということに驚いたようです。


ウニってどんな生きものかを知る

また、パイプウニのトゲの音色やドングリウニの化石に実際に触れながら、名前・形ともに不思議なウニのお話が続きます。
様々なウニに興味がでてきたところで、危険なウニも紹介です。知らずに触ると毒を持っているものもいるので要注意。子どもたちにとっては、死んでしまうほどの毒かどうかがとても気になったようでした。

トゲや足などウニの生態について学んだら、今度は実物のウニで体の各器官を観察しながら「ウニのぶんちんづくり」です。
作り方を一通り見た後は、湯がいたウニを選んで作業開始です。
ここでは、シラヒゲウニ・ナガウニ・アカウニ・ムラサキウニなどが使われました。


トゲも管足もたくさんあって抜くのに一苦労

ピンセットや歯ブラシを使ってトゲを抜き、管足と呼ばれる無数の細かい足を取り除いていきます。
「くさいくさい」と言いながらも熱中するあまり、顔がウニにどんどん近づいていました。においにハッと気づいてまた離す、の繰り返し。ここでしっかりやらないと、生臭いぶんちんになってしまうようなので、みんなしっかり磨いていました。


慎重に石膏を流し込んで完成です

外側がきれいになったら、今度は中身。歯や内蔵を取り出したら、後は石膏を流し込んで完成です。
みんなの作品は、なかなかの出来映え。
はたして乾燥したときのにおいは、どうなっているのかが気になるところですね。

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2009年07月03日第2回環境学習「海を知る! 竜串の海の生きものサンゴ編」

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

三崎小学校での2回目の環境学習「海を知る!~竜串の海の生きものサンゴ編~」を7月2日に行いました。

前回(http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/ashizuri/a-tosashimizu/index.html)に引き続き、「海を知る」です。
今回の講師は、黒潮生物研究所の中地さん。内容は、サンゴを中心とした海の生きものについてです。
(財団法人黒潮生物研究財団 http://www.kuroshio.or.jp/

いつものなれた教室と言うこともあり児童の顔に緊張の色もなく、穏やかな雰囲気。
教卓の上に並ぶ様々なものに、昨年度授業を受けた5年生(現6年生)も教室をのぞきに来ていました。

まずは、海に棲む生きものについて。
海にいるたくさんの生きものが写ったいくつもの写真をヒントなしで子どもたちだけで分類していきます。その後みんなで答え合わせ。


海の生きものを仲間分け

子どもたちも大まかには生きものを知っているけれど、やはりイソギンチャクとサンゴの区別は難しかったようです。
「これは実は○○です。」の説明に驚く声が飛び交いました。
それでも写真をひっくり返したり拡大した写真を見たりして、見方を変えてみると何となく共通している部分を見いだすことができたようです。


サンゴの骨、ポリプのいた穴を観察

サンゴの骨を手にとり、ポリプの収まっていた穴をルーペで観察しました。
山の森が動物たちの棲み家になっているのと同じように、サンゴのまわりにもたくさんの種類の海の生きものがいます。
海の様々な生きもの同士のつながりを見ていくことで、サンゴは海にとって重要な役割を果たしていることを学びました。


最後にみんなで「サンゴ占い」をしました。
竜串の海の代表的なサンゴ12種類の特徴から、子どもたちを見てみると、的を射ていたようです。自分はどのサンゴかという説明を聞き終えた後、クラスのみんなも本人も性格がピッタリだったということに驚きました。授業終了のチャイムにもかまわず、大盛り上がりでした。

サンゴ占いで性格診断中

いろんな生きものがいるということは、それぞれに特徴や性格が違うということ。サンゴも私たちも同じです。
十人十色という言葉のようにこのクラスの一人一人が、これからどんどん自分の「色」をだしていってほしいものですね。

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2009年07月01日海開き!

瀬戸内海国立公園 松山 永田清美

さぁ、7月です。

例年、休暇村瀬戸内東予で行われている海開きの神事に、
今年も松山自然保護官事務所から出席させていただきました。
風雨も関係ない、海のすぐ目の前にある休暇村の研修センターで
神事が執り行われ、休暇村の職員の方々と、この夏の海水浴などの
海岸利用者の安全を祈願し、玉串を奉納いたしました。



神事が終わったところで、また雨が降り出しました。
いつもなら、早く梅雨明けして夏本番がこないかなぁというところですが、
恵みの雨をしみじみとありがたく感じる今年の夏です。
とはいえ、全国では豪雨で災害もあったようですね。
思わぬところで被害を受けることもあるかと思いますが、
自然を楽しむレジャーでは、おごらず充分注意して、
心から楽しみたいですね。


写真:昨年夏の休暇村瀬戸内東予の海岸

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