瀬戸内海国立公園
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2016年06月15日ミヤジマトンボ生息地の水路復旧作業
瀬戸内海国立公園 大髙下理恵
国内では広島の宮島だけに生息する
絶滅危惧種ミヤジマトンボの生息環境を保全するため、
ミヤジマトンボ保護管理連絡協議会では生息地の環境整備を行っています。
昨年度は近年増加しているイノシシが生息地に生育するヒトモトススキを食害するため、
防護柵を設置しました。
その甲斐あって今は獣害被害が止まり、元の湿地の状態に戻りつつあります。
http://chushikoku.env.go.jp/blog/2015/08/post-45.html
今回の環境整備は湿地と海をつなぐ水路の復旧作業です。
ミヤジマトンボは満潮時には海水が入り、
干潮時には干潟になる潮汐湿地でないと生存できないため
湿地と海をつなぐ水路が不可欠です。
ですが、この水路が砂で埋まり、
干潟が淡水化・プール化してしまう課題が十数年前から度々起きています。
干満差が大きく海の影響を受けやすい瀬戸内海ならではの課題です。
建設機械が入れない自然海岸のため、
ひたすらスコップで土砂を掻き出すという人力作業です。
また、過去に土留めとして設置した土嚢も除去しました。
[作業の様子]
水を含む砂や土嚢は重く、かなりの重労働ですが、
協議会メンバー総勢22名で頑張りました!
[復旧作業前:プール化しています]
[復旧作業後:干潟になった湿地]
ミヤジマトンボは今のところ順調に発生しています。
この日は天気もよく、たくさんのトンボが縄張りを張っていました。
今年も安定した発生数に期待です!
[調査でナンバリングされた成熟♂]
2016年05月24日自然観察会「新緑の宮島 歴史散策と自然観察」を開催しました。
瀬戸内海国立公園 広島 大髙下理恵
新緑萌ゆる季節となりました。
宮島地区パークボランティアの会で昨年企画した新緑の自然観察会が雨で中止となったため、今年はリベンジ再企画いたしました。
植物観察するにも気候的にも山歩きにはもってこいの季節。
抽選が必要なほど大勢の方にお申込みいただき、
当日は46名の方にご参加いただきました。
今回のコースは大元公園に集まり、
北側道路の最終地点である室浜までの広島大学植物実験所園路です。
5班に分かれ、各リーダーの解説を聞きながら約4キロを歩きました。
5月は開花が多い時期なので、観察できた花をご紹介します。
[サカキカズラ:種子も変わってますが、花も花びらがねじれて特徴的です。]
[ヤマボウシ:ハナミズキの近縁種。白い部分は花びらではなく総苞(そうほう)になります。]
[ホウロクイチゴ:この辺りでは宮島と元宇品でしか見られません。開花後は美味しい実をつけますが、シカとの競争になります。]
[エゴノキ:庭木としてもメジャーな樹木。垂れたかわいらしい花が印象的です。]
[セッコク:満開!いい香りがします。希少な植物ですので自然界から持ち帰ることは絶対にしないでください!]
[イワタイゲキ:今日のお目当て。希少な海浜植物で広島では宮島のみに生育しています。一見花に見える黄緑の部分は葉で、大きなめしべが出ている根元にある黄色い部分が花です。]
こうして見ると春は白い花が多いですね。
植物も花に色をつけるにはエネルギーが必要なため、
小さな目立たない花や花粉を運んでくれる虫が少ない季節に咲く花は色づく傾向があるようです。
虫の多い春は目立たせる必要がないというわけですね。
最終地点の室浜では、日露戦争に備えて整備された弾薬庫や砲台跡を見学しました。
100年以上前に建造されたものとは思えない緻密で堅固な造りです。
結局大砲を撃つ機会は一度もなかったようですが...
往復8キロ(桟橋から歩くと10キロ)という長い行程でしたが、
離脱者も怪我もなく無事観察会を終えることができました。
開花の最盛期はこれからです。
大元から室浜のコースは舗装道路で殆どが日陰です。
これからの季節でも歩きやすいコースですので
弥山以外の宮島山歩きも楽しみたい方は是非足を運んでみてください。
2016年05月09日【体験教室】 五色台カフェ・春の野草ランチ
瀬戸内海国立公園 大林めぐみ
報告が遅くなりましたが、今年度最初の五色台体験教室を4月10日に開催しました。
3回目の開催となる野草試食会。毎回、興味津々で申し込んでくれる参加者と一緒に野草を採取して、仕分け、調理して食べてみようというもの。
講師は草木染めの講師としてもおなじみの角田さん。そして、地元でパン屋さんを営んでいる片山さんやいつも来て下さる頼もしいスタッフが野草探しや調理をお手伝いしてくれます。
さて、今回はどんなお料理ができあがったのでしょうか。
はじめに講師のご挨拶、諸注意などを終えたら、早速、みんなで野草探しに出かけます。
野草探し担当は忠さん。「こんな野草も実は食べられますよ~」と、おもむろにスイバを採って、口にパクリ!親御さんの中には「あ~、子どもの頃食べたわ~」と言う方、子どもは恐る恐る食べて、「・・・すっぱ!」「う~ん、微妙・・・」とさまざまな反応でしたが、そのままの野草の味を知ってもらいました。
<見たことのある野草ばかり。・・・これも!?>
初めのうちは「どれが食べられるの?」「ほんとにこんな生えているのが食べられるの?」と頭の中は「?」だらけ。(顔にも出ていましたが(笑))
そんな顔を浮かべながらも徐々にホトケノザとカラスノエンドウ、スズメノエンドウ(これは採取しません)の見分けが付いてきたり、ハコベやイタドリ、今が咲き時のゴヨウアケビの花などたくさん採取できました。だんだんと野草を見る目が「これも食べられるのかな?」と30分前とは違ってきているのが面白い。
クラフトハウスに戻ったら、みんなで採取した野草を仕分けします。
この頃になると、見比べなくても野草の名前が分かるようになっていました。
<これも採ろう!><みんな仕分けが早い!>
そして、いよいよ調理!
天ぷら、ホットケーキ、おにぎりづくり、他にもいろんなサイドメニューづくり斑などスタッフに習って作っていきます。調理に入る以前に大切な役割・野草のそうじをしてくれる人、子ども達は率先して卵焼きや酢の物などお料理に挑戦していました。包丁の使い方も慣れたもの。少し後手があったものの、予定していたお昼には全てが完成しました。
さぁ、みなさんお待たせしました!みんなで「いただきま~す!」
<卵焼きに、ワラビのちくわ詰め、奥では・・・>
・・・今回作ったお料理・・・
・天ぷら(ワラビ、ハコベ、タンポポ(花茎・葉)、タラノメ、イタドリ、スイバ、アケビ、ツバキの花、スミレ、ヨモギ)
・野草かざりのホットケーキ ・冬葉と春葉のイタドリ、クワの実など5種のジャム
・カンゾウの酢味噌和え ・カンゾウの卵焼き ・ワラビの卵とじ ・ワラビの白和え
・ワラビのちくわ挟みとオーロラソース ・ハコベと塩昆布和え ・ハコベ塩とおにぎり
・レンゲの酢の物 ・春雨とカラスノエンドウと小エビの玉葱ドレッシング和え
・フキ味噌カナッペ(焼いたお揚げの上にフキ味噌) ・野草スープ ・ビワ葉茶
前回よりも多くのお料理ができ、定番の天ぷら以外にもいろんな和え物や、野草をトッピングすることでいつものホットケーキが華やかになるなど、いろんな見せ方、味わい方があると知りました。
スーパーでも売られている山菜の他にも、昔からヨモギや桜、柏(香川県ではサルトリイバラを使っていたそう)を餅に使うなど、自然にある野草を使った食べ物が食卓に並び、それらを食べることで日本人は四季を感じ取っていたのでは。
春は新芽の時期。芽吹く力を蓄えた新芽を少しいただくことで、私たちにも少し力を分けてもらえたような気がしました。
※初めて野草を食べる方は知見のある方と必ず採取してください。
なかには食用に不向きな野草もありますので、十分ご注意ください。
2016年04月14日毎年恒例!こなきり海岸清掃を実施しました
瀬戸内海国立公園 大髙下理恵
新年度となりました!
宮島地区パークボランティアの会(以下、PV)で
年度最初の行事はPV総会です。
今年度は更新時期にあたり、48名のメンバーでのスタートとなりました。
会員の殆どが同時に顔を合わせる機会はなかなかないため、
自己紹介と今年度の意気込みを一言ずついただきました。
今年度も清掃に補修作業、観察会など盛りだくさんの活動計画が策定されました。
午後は毎年恒例こなきり海岸清掃です。
こなきり海岸は桟橋から徒歩10分。
ハンゲショウ(県準絶滅危惧)が生育する湿地や
ハマゴウが生育する美しい自然海岸があります。
しかし、ここには風や波、地形の関係で大量のゴミが漂着するため、
PVでは毎年清掃をしています。
ゴミの多くはペットボトル、食品袋などの生活用品や
カキの養殖に使用されるパイプ、釣り糸などの漁具ですが、
一番の問題は粉々になって回収困難な発泡スチロール!
手で回収できる発泡スチロールはいいのですが、
紫外線や風で劣化すると
写真のように植物の間に入り込み
砂と一体化し回収が困難です。
回収しても砂が付着しているため、
リサイクルはもちろん処分が難しい場合もあります。
こういった細かくなったゴミを
生き物が誤飲食してしまうため
生態系への影響も懸念されています。
取っても取っても終わりのない漂着ゴミですが、
こなきりで15年清掃し続けているPVさんは随分ゴミが減ったとおっしゃってました。
地道な作業ですが、
「ゴミになるものを増やさない」「野外でゴミを捨てない」「ゴミを拾う」ことが
漂着ゴミを減らしているのだと思います。
[20袋のゴミを回収しました!]
2016年03月07日【鳴門】 苗木植樹と自然観察会
瀬戸内海国立公園 大林めぐみ
毎年、この時期に行われる鳴門市立桑島小学校6年生によるウバメガシの苗木の植樹。
もともと鳴門山はクロマツが多く、青々とした景観が特徴でしたが、昭和50年代よりマツノマダラカミキリによって媒介するマツクイムシ(マツノザイセンチュウ)による松枯れが深刻化し、松林を保護するために当時はヘリコプターによる予防散布や伐倒駆除、薬剤樹幹注入など対策を行っており、現在でも樹幹注入と伐倒処理が続けられています。
このマツクイムシによって失われた植生や荒廃した林地を回復するために、平成8年度から地元小学生を対象に鳴門山に自生している樹木の種子から育てた苗木を植樹することが始められ、今年で20年目(植樹は17年目)を迎えることになりました。
3年生だった平成24年度はドングリが豊作で、いっぱい取れた年でした。みんな大切に育ててくれたかな。
http://chushikoku.env.go.jp/blog/setonaikai/a-takamatsu/index_10.html
3年前のドングリ拾いのようす(2012年11月13日掲載)
そして、今回も自然観察の先生として、徳島県植物研究会会長・木下さんと佐那河内いきものふれあいの里から市原さんが来て下さいました。
植樹の方法だけでなく、植物や生き物について、いろいろ教えてくれます。
植樹場所は、以前、レストハウスがあった跡地。
まずは木下先生から苗木の植え方について教わりました。
予め掘ってくれている穴に苗木を植えていくのですが、土がやや固めな場所なのでスコップでほぐしてから苗木が埋もれないようにして入れ、土を戻してペタペタと少し押し固めます。その後、水やり、苗木が小さく踏まれてしまうため、苗木があることが分かるように周りに石を並べれば完成です。
木下先生から「ナルト」が付く植物を知っていますか?の問いに、
「ナルト金時」「ナルトわかめ」と、さすが地元っ子からは名産品が飛び出してきます。
先生からは、1950年に発見されたが今では野生においては絶滅してしまったナルトオウギや、地元の大人でもほとんど知らない酸味があって美味しいナルトみかんがあること。
また河川や道路沿いなど至る所で見られるナルトサワギクは、1976年に瀬戸町日出湾で帰化し、その後別ルートで持ち込まれ、今では在来種への影響や牧草地に広がり家畜の飼料に混入すると健康被害が出るなど特定外来生物に指定されていることなど、ナルトの名前にまつわる植物について教わりました。
前日に雪の降った佐那河内から来てくれた市原先生は、児童のために残雪やサンショウウオや腐木にいる昆虫などを持って見せてくれ、それを見た児童たちはおおはしゃぎ。
先生のお話を聞く姿勢や興味津々に生き物にふれる児童の姿は3年前と変わらずでした。
この他にも、森のしくみや海岸植物の特徴、展望台では望遠鏡を使って野鳥を観察したりと鳴門の自然について改めて学べた時間でした。
そして、この日急遽、先生から国立公園についてお話をと提案があり、僭越ながら瀬戸内海国立公園や鳴門の渦潮はさまざまな要因があって見られる貴重な自然現象であることをお話させていただきました。また、11月にどんぐり拾いに付き添われた3年生のお母さんが、子どもの頃ここで植樹をしたことを嬉しそうに話されていたことなど、また大人になって育った木を見にきて欲しいことを伝えました。
子どもの頃の体験は成長過程では忘れがちですが、大人になって、ふと思い出すもの。
先生たちからも3年間一生懸命育てたウバメガシが1年後、3年後・・・と、どうなっていくのか見守り、みんなで鳴門の自然を守っていきましょうと児童たちに投げかけました。
今ある自然環境、きれいだなと見ている景色は1人1人がマナーを守り、大切に思うことが続いていく秘訣なのかなと思いました。
2016年02月10日【体験教室】 竹のバウムクーヘン&焼きリンゴづくり
瀬戸内海国立公園 大林めぐみ
毎年2月の体験教室はドキドキ・・・。
それは、大抵この時期に雪が降ることが多く、何回か中止したことがあるから!
今回も「朝寒いな~、けど天気いいし」と思いつつ、五色台に登り始めるとなんと雪!朝に降ったばかりのようで斜面や日影に残る積雪を見てヒヤリとしましたが、道路凍結もほぼなく、参加者皆さん無事到着できたのでよかった~。
寒い冬の体験教室は、火を使って暖を取りながら、美味しいバウムクーヘンと焼きリンゴを作ります。
これも大人気プログラムのひとつで、実施2ヶ月程前にはキャンセル待ちになるほど。
まずは、食材斑と火おこし斑に分かれて準備をすすめていきます。
食材斑はバウムクーヘン生地と焼きリンゴの下準備。 体験教室ではお手軽にホットケーキミックスを使います。表示とおりの分量だと生地がもったりと少し固めになってしまうので、牛乳を足しながらゆるめに作るのが丸くフワッとしたバウムクーヘンを焼くコツです。
焼きリンゴは専用器具で底を残すようにして芯をくり抜いて、バター→砂糖→バター・・・と3回ほど繰り返し、最後はバターを詰めてお好みでシナモンをのせます。
子ども達も率先してお手伝い。リンゴの芯抜きも上手くできました!
火おこし斑のお父さん&男児チームは、煙に巻かれながらも木炭に火を安定させていきます。安定したら、バウムクーヘンを巻き付ける竹を油分が出るまで炙り、きれいに拭き取ります。注)この時に竹を焦がさないように!
<お父さんの腕の見せどころ>
そして、バウムクーヘンづくりです!
熱した竹に生地を万遍なく付けて、垂れ落ちる生地が落ち着いたら火にかけてクルクルと回しながら焼きます。この最初に生地が竹に安定して巻き付くまでが難所。生地を厚く付け過ぎると重さで落ちてしまうし、早く回しすぎても火の入りがイマイチだったりと辛抱が必要なところ。
コツとしては、コンロから下ろしたらすぐ、竹が熱いうちに生地をのせると予熱で生地がくっつきやすい(焼ける)ので安定しますよ。あと、みなさんやりがちなのが、生地がある程度焼けたら(乾いたら?)次の生地を付けがちですが、バウムクーヘンの年輪模様は焦げ色!これがちゃんと付かないと真っ白なバウムクーヘンになってしまいます。
もう1つのメニュー、焼きリンゴは直火ではなく、隅に置いて、火が全体に当たるよう時折回します。ブスブスと煮えるような音が聞こえて、柔らかくなったら完成です。
生地をのせては焼く単純作業を繰り返し、しかも完成までに最低30分はかかるため、飽きた子どもは広場で走り回る・・・。それに対して大人はバウムクーヘンづくりに熱中しています。いかに上手く、形よくフワッと焼けるかを探究し始めたようです(笑)
完成したら、いよいよバウムクーヘンを竹から外します。
節があると抜けにくいので片方をノコギリで切り落とし、生地が竹から外れやすいように生地の端部分を包丁でこそぎ取ります。1人がバウムクーヘンを、もう1人が竹を持ってお互い逆方向に回しながらゆっくりと抜いていきます。さぁ、できあがりは!?
みなさん、上手くできあがりました~!
<見てください、この笑顔!達成感が伝わります!>
せっかくコンロがあるので、他にも焼きたい物があれば持ってきて下さいとお伝えしていたところ、トウモロコシやサツマイモ、バナナなどいろいろ持ってきてくれて、そちらも楽しんでいただけたようでした。
今回は簡単にホットケーキミックスを使いましたが、バリエーションを増やしてココアパウダーやアーモンドプードル、甘みがもう少し欲しいならハチミツを足したり、ほんの少しブランデーを加えて大人風味にするなどみんなで作って楽しんでみてくださいね。
**************<3月の五色台体験教室>**************
『段ボールコンポストづくり』
家庭で出る生ゴミを栄養たっぷりの土に変身させる段ボール製コンポストを作ります。
できた土を家庭菜園に使えば、美味しい野菜が育つだけでなく循環型生活につながります。
日 時:2016年3月27日(日)10:00~12:00
場 所:五色台ビジターセンター クラフトハウス
(ビジターセンター前駐車場から木道を歩いて3分)
参加費:100円/人・別途500円/セット
持ち物:汚れてもいい服装、軍手、シャベル、前日に出た生ゴミ、防寒対策(飲み物など)
締切り:3月18日(金)※定員になり次第締め切らせていただきます
問合せ:五色台ビジターセンター http://goshikivc.web.fc2.com/
2016年02月09日【出前講座】瀬戸内海ってどんなとこ?~瀬戸内海と私たちのつながりについて考えよう!~
瀬戸内海国立公園 大髙下理恵
古田台小学校6年生を対象に出前講座を実施しました。
テーマは「瀬戸内海ってどんなとこ?~瀬戸内海と私たちのつながりについて考えよう!~」です。
まずは国立公園とは?レンジャーとは?瀬戸内海とは?の概要をPPTにて解説。
続いて、実際に瀬戸内海の生き物に触れてもらおうと
ヤドカリの殻出し実験と二枚貝の浄化実験を行いました。
ヤドカリは誰でも知っている磯の定番生物です。
ですがその体がどうなっているか見たことがあるでしょうか?
脚が何本あるか?という質問には
6本、8本...と聞いて最高14本!という子までいました。
どうやったら貝から出るか?という質問には、
「お気に入りの貝を置いて出てくるのを待つ」「火で貝を炙る」など出てきました。
皆さん、なかなか勘が鋭いです。
多分これらの方法でも出る可能性はありますが、
今回は紙コップにお湯を入れて貝の頭を温めて出す方法でトライしてみました。
1~2分待つと熱さに絶えかねてスルリと出てきました。
体は思ったよりどうなっていたでしょうか?
「脚はカニと同じ10本」
「触覚みたいなのが赤い」
「エビやサソリみたい!」
「体が右巻きになってる!」など、色々な発見がありました。
二枚貝の浄化実験はカキとムラサキイガイで実験しました。
授業開始に汚した海水を作り、こちらもどうなっているか予測してみました。
「貝がバラバラになってる」「水が減ってる」「水がきれいになってる」など
様々な意見が出ました。
結果は・・・
わずか40分程度でしたが、左の白い汚れた水が澄んだ透明な海水になっていました。
これには皆もお~~~っと歓声があがりました。
カキは1リットル/1時間もの海水を濾過していると言われています。
ただし、二枚貝が多すぎてもエサが足りない。
有機物が多すぎると水が汚れる。
あくまでそのバランスがとても大事なんですね。
次にそのバランスを体感してもらおうと
「つながり発見!瀬戸内海」というアクティビティを行いました。
人間を含む生き物が生きるために必要なもの、
それは「食料」「すみか」「水」「空気」「土壌」「日光」です。
そこで、一人一人がカニ(生き物)-有機物(エサ)-干潟(すみか)-水-空気などの役割になり、もたれあいの丸い円を作りました。
[1、2、3の掛け声で全員後ろの人の膝に座ります]
お互いがお互いを支え合っているこの状態がバランスがとれた瀬戸内海の生態系です。
生活排水が流れ込み、水の人が輪から外れると...
干潟が埋立てられて、干潟がなくなると...どうなるでしょうか?
実際に水の人と抜いてみると、円が崩れてしまいました。
魚介類を食べる私たち人間もこの円の一員であることは言うまでもありません。
今回の講座で「学んだこと」「気づいたこと」を一人一人書き出してみました。
「一つ一つが大切」「バランスが大事」などの気づきが多く、
生物多様性の大切さが伝わったのではないかと思います。
最後に、こんな身近にある瀬戸内海がかかえる問題にも触れました。
自然海岸が7割消失していること、
きれいな宮島でも漂着ゴミが山積していること、
実験で使ったムラサキイガイなど外来種が侵入していること(水をきれいにしてるがいいことだけなのか?何が悪いのか?)など伝え、終えました。
[拡大:発泡スチロールの粉で埋まった宮島の湿地]
きれいで豊かな瀬戸内海を残していくために何ができるのか、
いろんな視点を持ち、取り組んでいってほしいと思います。
2016年02月08日【オススメ】御殿山
瀬戸内海国立公園 大林めぐみ
朝晩は一気に冷え込むも、日中は晴れてポカポカ陽気が続くと、「どこかに出かけてみようかな?」と思う人も少なくないのでは?
夏は高温多湿でやや霞んで見えることが多い景色ですが、瀬戸内の冬は乾燥しており、特に雨上がりは空気中の目には見えないゴミなどが洗われて落ち、景色は澄んで見えます。
そんな冬こそ行ってほしい!ARオススメの展望地をご紹介します。
今回ご紹介するのは「御殿山(ごてんやま)」。
屋島の東隣にある庵治半島の北西端に位置し、瀬戸内海国立公園特別地域に指定されている場所です。
名前から「山」とありますが、標高は83mと低く、周辺にはぐるりと一周する平坦で歩きやすい遊歩道が整備されています。
県道から住宅地を抜けると皇子神社に到着。そこから南側には漁港があり、庵治湾と港町らしい集落が広がります。神社前の広場のフェンスには恋愛の願い事を祈願した南京錠が付けられていますが、南京錠の重みでフェンスが倒壊しかねませんのでご遠慮ください。
皇子神社から3分ほど行くと、南休憩所に。
展望は他に比べるとあまり開けていませんが、さえずりを始めだした野鳥の声を聞くにはちょうどよい、ゆっくりできる休憩所です。すぐ横の桜の木にはウソ(♀)が留まり、好物の花芽を食べていました。
<ウソ♀(アトリ科)>
また5分ほど進むと、北休憩所、手前には山頂休憩所に行く階段が見えてきます。
<北休憩所・屋島全景が眺められます>
この日はご近所に住むご夫婦が歩かれていて、日影は冷えるから陽の当たる北休憩所で折り返して戻るのだそう。御殿山園地は来る度にご近所の方がお散歩や清掃をしていたりと地域に大切にされていることが目に見えて分かります。初めて訪れた時は、近所のお婆ちゃんが「女性1人だと心配」と言って、一緒に歩いてくれたことがありました(笑)
階段を100mほど登ると、スイセンやマンリョウが植えられ、四阿が整備された山頂展望所へ到着。
<山頂展望所>
女木島~大島~豊島~小豊島~小豆島まで見渡せ、四阿の先にあるベンチに座ればより抜群の眺望が楽しめます。
照射灯の横から下りる遊歩道に進むと、ウバメガシの林・トンネルの中に入ります。
この日は風もありましたが、ウバメガシ林がうまく防風林の役割をしていたので、さほど寒さは感じませんでした。
分岐で左に行くと根太鼻へ、そのまま道なりに進み、ウバメガシのトンネルを抜けるとどーんと瀬戸内海が広がるビュースポットへ出ます。屋島北嶺や荘内半島三崎もそうなのですが、閉鎖空間のウバメガシなどのトンネルを抜け出た先に広がる景色は、開けた場所よりも味わえる感動が大きいように思います。緩急って大事ですね。
<目の前には無人島の鎧島と兜島>
ビュースポットから下りた所には、サラサラの白砂の浜!完全独占状態です。
この浜に「御殿山」の由来となる、御殿跡が残ります。
1668年に高松藩主・松平頼重公(水戸光圀の兄)が別荘を御殿山に造りました。高松に戻ってから亡くなるまでの30年間、年に3~4ヶ月ほど滞在し、山の上にあった御殿がなくなった後も、浜の御殿には代々の藩主が泊まりに来ていたそう。それも1872年(明治5年)には焼失してしまい、今では池や井戸、石垣、蛭子神社が残るのみとなっています。
御殿山1周は約30分、根太鼻や御殿跡まで行くと1時間程度のコースです。
家の中に閉じこもらず、暖かい日は外に出かけてみてはいかがでしょうか。
2016年01月20日【体験教室】 冬の森歩きと餅つき
瀬戸内海国立公園 大林めぐみ
年明け始めの五色台体験教室は、体を動かせて寒さを吹き飛ばす、冬の森歩きと餅つき。
最近では家でつくることが減り、行事や祭りでしか見かけなくなった餅つき。
そして、今回は全国では珍しい香川の雑煮・あん餅雑煮をみんなで食べましょう。
今月は、かがわ自然観察会にご協力いただき、参加者36名で実施しました。
まずはみんなで森を歩きながら、近くにある来峰神社までお参りに。
冬の森って他の季節に比べると、一見何にもなさそうでつまらない、と思っていませんか?
いえいえ、冬だからこそ楽しめることがありますよ。
春に向けて葉や花を出すために準備している冬芽、動物の痕跡、実をつける木草、そして最近暖冬のせいか早々と花を咲かせる野草など。五色台は落葉樹ばかりでなく、ヒサカキやシロダモのような常緑樹が多いため、さみしい森ではありません。むしろ、常緑の緑が際立つ時期なのです。
<歩くと落ち葉がカサカサと音を鳴らして迎えてくれますよ>
神社に到着したら、みんなで参拝。
この日は少し霞んでいましたが、ここからの讃岐平野の風景もオススメです。
<神様に昨年のお礼とこれからもよろしくお願いします、のご挨拶>
帰りもイガグリの中を開けてみたり、木の実や落ち葉などを拾ったりと子ども達の興味は尽きません。
<赤い実をつけたヤブコウジやイノシシの足跡!などなど>
クラフトハウスに戻ったら、あん餅雑煮とからみ餅を入れるための器を家族みんなで力を合わせて作ります。竹伐りもかがわ自然観察会会員の方が手ほどきをしてくれるので、スムーズにできあがりました。最後はナタや紙ヤスリを使って、角を滑らかに仕上げます。
<小さな子どもも果敢に挑戦!切れた時は達成感いっぱいです!>
調理場ではモクモクを湯気が立ちこめてきました!餅米が準備できたら臼へ!
最初からいきなり餅をつくと米粒が飛んでしまうので、
米粒が潰れてひと固まりになるように杵でグイッグイッと押し潰した後、杵でつきます。
さぁ、声を出して、リズムを合わせて~、せーのっ!1、2、1、2!
<餅つきに慣れてきた子どもは、大人顔負けの腰の入れ方>
つけたら、お餅を丸めて、そのまま口の中へ!
少し米粒が残りましたが、それでもつきたてのお餅は格別です。
お父さん、お母さんも「子どもの時以来だった」「子どもの学校行事以外でするのはなかなかない」と大好評でした。
<あん餅雑煮の他に大根おろしや砂糖きな粉を絡めたり>
香川県民の家庭なら大抵つくる雑煮・あん餅雑煮は白味噌仕立てに大根、金時人参、そしてあん入り丸餅を焼かずに煮て作ります。甘い味噌+甘いあん入り餅と県外の方からすると「!!!」な組み合わせですが、意外とイケます。
といっても、私も子どもの頃は甘いのが苦手で食べていませんでしたが。。
昔ながらの季節行事は、大人~子どもまで世代を超えて楽しめる行事。
初めて体験する人も年配の経験者から教えてもらい、それを子どもに伝えることができ、また日常生活ではなかなかできない経験なので記憶にも残ります。
冬の森も目をこらせばたくさんの出来事や発見があるので、お天気がいい日は部屋にこもらず、外で季節を感じてみてくださいね。
※2月の五色台体験教室は只今キャンセル待ち中
************************3月の五色台体験教室*************************
【段ボールコンポストづくり】
家庭で出た生ゴミを栄養たっぷりの土に変身させる、段ボール製コンポストをつくります
日 時:2016年 3月27日(日)10:00~12:00
場 所:五色台ビジターセンター クラフトハウス
参加費:100円/1人(保険込)+別途500円/コンポスト1セット
持ち物:汚れてもいい服装、軍手、前日に出た生ゴミ、シャベル、防寒対策(飲み物など)
しめ切:3月18日(金)※定員になり次第締め切らせていただきます。
問合せ:五色台ビジターセンター http://goshikivc.web.fc2.com/
雨の少ない香川県ですが、今年は梅雨らしく雨の日が多かった6月でした。
そんな梅雨の最中に実施した五色台体験教室は、みんなで五色台の自然素材を使ってスケッチしてみようというもの。
さぁ、どんな五色台が描けたのでしょうか。
今回の講師は、善通寺市内の小学校教諭である谷口さん。
谷口さんからは、年齢別に描きやすい方法や道具の使い方、スケッチする際のコツや注意点など教えてもらい、そのことを踏まえながら、スケッチの素材探しスタートです。
クラフトハウス前の広場には、一面黄色の花畑が。
みんな「タンポポ~!」と間違えそうになりますが、これは「ブタナ」というヨーロッパ原産の帰化植物。フランス語の「豚のサラダ」を直訳され、「豚菜=ブタナ」と呼ばれるようになったそう。タンポポが咲き終わった時季から夏頃まで咲き、またタンポポは1つの花茎に1つの頭花を付けるのに対し、ブタナは花茎が分岐して複数の頭花を付けるのが特徴なので、見分けてくださいね~。
みんなスケッチモチーフをブタナに決めたようです。
さぁ、どんなふうに描こうかなぁ。
<子どもだけでなく、大人も一緒にスケッチに参加!>
最初は描くのに戸惑っていても、講師が年齢や道具に合わせてアドバイスしてくれるので、安心。1人1人ていねいに、集中して描いていました。
ブタナを中心に描いていると、次は別のモチーフが目に飛び込んできたようです。
広場の中には、小さくもかわいらしい草花や「何だこりゃ?」と思うものも。
座ってスケッチしていると、立った時には見つけにくい、目立たないけどかわいらしい花やそこに留まる昆虫などを見つけることもできますね。
左上:ニワゼキショウ 右上:キツネノチャブクロ
左下:ツバメシジミ? 右下:ミヤコグサ
子どもが集中して描いている様子を描く親御さんたち、また1人真剣にブタナをデッサンするお父さんと最終的には大人の方が夢中になってスケッチを楽しんでいたよう。
しかし、広場の中には動くものも。バッタ好きのお父さんは小さなシバスズ捕り、子ども達もチョウやバッタが目の前で跳ねるとすかさず追いかける昆虫採取に(笑)
さて、時間もそろそろいい頃合いに。
みんなのできあがりは?
「こんなところを見て描いたよ」「こんなふうに描きたいと思って」など参加者それぞれに視点があり、また同じ方向を見て描いていても仕上げは全然違っていたりと描く側も見ているだけもスタッフも面白くもスケッチの奥深さを体験したプログラムでした。
皆さんの描いたスケッチは、現在、五色台ビジターセンターホールにて展示中です。
お友達が描いたスケッチ、またこれを見て「自分もやってみよう!」と思ったらスケッチブックと画材を持って気軽に描いてみて下さいね。