ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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瀬戸内海国立公園 高松

256件の記事があります。

2011年01月12日利用者カウンターの集計結果、でました!・・・しかし

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

遅くなりましたが、
明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いします!

さて、新年最初の現地調査は、屋島北嶺に設置したカウンターCF(カウントした数値を記録してくれる媒体)を回収しに行くことでした。

●設置のようす(2010年12月10日)↓↓
http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/2010/12/748.html

南嶺駐車場から歩くこと15分。
着いた。と思ったのも束の間。
「ん?何か太陽光の向きが変。。。」
と、裏側へ回ると・・・
太陽光パネルと支柱をつなぐスチール管が思いっきり歪んでいる!!
もう1基の利用者カウンターと見比べても、違いは一目瞭然。

大型車両が通行する時、当たって曲がった・・・?
それは実証済みだし、太陽光正面に接触傷はないし、
年末年始の強風?それにしても周りに木々の枝は大丈夫そう・・・
まさか、イタズラ・・・???
元に戻せるかなぁと思い、スチール管を曲げようにも全く動きません。。


左;2010年11月30日設置時  右;2011年1月11日巡視時
左側のカウンター、あきらかに向きが変わってます。。


左;正常な形     右;歪んだ太陽光パネル裏

設置して直ぐのことだったのでショック。。。
そんな気持ちのまま事務所に戻り、いざ集計してみると
12月で約850人の方が利用していることが分かりました!
看板補修の時、「今日で何人くらい来た?」
といつも気にかけてくれた利用者さん、集計結果出ましたよ~。
予想より多くの人が利用していた結果に、落ちていた気持ちもアガります♪

しかし、二度とこのような機器の破損が起きないようにするには、いつも利用している皆さまにも御協力を求めずにはいられません。
もし、カウンターを揺すったり、取り外そうとしている人を見かけた場合、またなんかおかしいぞ?と感じた場合、高松事務所までご連絡頂ければ幸いです。

●●●●●環境省中国四国地方環境事務所高松事務所●●●●●
担 当;自然保護官もしくは自然保護官補佐まで
電 話;087-811-6227
※カウンター本機にも連絡先を貼っています。

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2010年12月20日クリスマスはまだだけど・・・正月準備します

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

今年最後のクラフト教室は、『門松づくり』
昨年とほぼ同じ内容ですが、今年も作りたい!と来て下さったリピーター参加者さんが多かったです。

今回は松を2種類用意しました。
雄松(おんまつ)と雌松(めんまつ)。
この2つの違い、見た感じでも分かるのですが、松葉の先を触るとより分かります。
触った瞬間「イタッ!」松葉が硬く刺さると痛い・・・それが雄松です。
一方、雌松は女らしく(?)柔らかいのが特徴です。
正式には、向かって左に雌松、右に雄松を差して飾るのだそう。


左上;雌松  右上;雄松 雄松の方がしっかりしてますね。
左下;熊笹  左下;南天 今年は猛暑のせいか実の付きがイマイチ。。。

門松づくりはノコギリを使った作業が殆どなので、一度実演を見てもらってから作業に入ります。安全に使うためには必要なことです。


こんなふうに竹を押さえて補助して。。。みんな真剣です。

この後各自、土台となるモウソウ竹や立てる用のメダケを選んで切っていきます。この時、あまり太いメダケを選ぶと土台に入らなくなることが・・・注意です。
竹を斜めに切るのは難しく慣れていないとなかなかですが、パークボランティア(以下PV)さんがノコ刃を誘導してくれる補助道具を作ってくれています。それにあてがうと、均等でキレイな斜めに切れます!
子ども達は親御さんに支えてもらいながら、果敢に挑戦。



だんだんと手つきが慣れてきました。

ここまで終われば後は早い早い!
長さの違う竹を組み合わせて、向きや位置を調整して縄で括ります。
その時使う括り方が『とっくり結び』
これを使うと、大掃除の時出る不要物を括るのに大活躍します。
そして土台に3本竹を入れて、隙間に水を含ませたオアシスを詰めて、後は南天、松、熊笹や梅を生けるだけ。




感性で生ける子ども達は早い!

この後、お掃除を手伝ってくれた子ども達は、
「お掃除を終わったから、飛行機飛ばしがしたい!」とPVさんに催促。
以前やってもらった飛行機とばしが余程気に入ったらしい(笑)。
その間、こだわり派の大人達もできあがりました。


完成!

今年は作業時間が昨年よりも断然早かったです。
みんな、だんだんと作業に慣れてきた証拠ですね。

お正月に梅の開花が間に合うかは微妙ですが、お正月が終わっても生ける材料をその都度季節に合ったものに生け替えてアレンジしてみるのもいいですよ。

******1月の季節のクラフト教室******
      『羽子板づくり』
2011年の干支・ウサギをモチーフにちりめんを使って飾り羽子板を作ります。
日 時;1月9日(日)13:00~15:00
場 所;五色台ビジターセンター・ボランティアルーム
参加費;500円/セット

======五色台ビジターセンターHP======
http://www.ab.auone-net.jp/~goshiki/

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2010年12月10日利用者カウンター設置と冬支度の屋島

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

毎朝のように霜がおりる今日この頃。
どんどん冬が深まっているなぁと感じますね。

そんな中、高松事務所でも利用者カウンターを設置しました。
中四国ARも日記に書いていましたが、それです。

高松事務所はどこに設置したかというと・・・


お分かりになりますか?
ここは屋島北嶺の遊歩道南側分岐点です。
本来なら1本のカウンターで行うのですが、歩道幅が広いので2本使ってカウントしていきます。
屋島北嶺は、屋島集団施設地区という環境省直轄の施設になり、実際どの位の人が利用しているんだろう?ということで設置しました。
カウンターには「お手を触れないように」と注意看板も付けていますので、見かけても気にせず通行して下さい。
といっても気になるでしょうけど。。

設置した後、歩いている人に相当注目されていたカウンター。
説明すると、「あ~、そうなんだ~」とみなさん納得。
中には「猪をカウントするんだと思ってた」と言う方も。
・・・できたらしたい。

そう、最近、屋島でも猪を見かけることが多くなったそう。
そして、なぜか猿も。。。しかも人懐っこいらしい。
案内看板の補修をしていると、よく屋島を歩いている方々に
「猪と猿が出るよ~。気をつけなさいよ~」と。
で、出没したという千間堂から遊鶴亭へ向かう歩道の中を行くと・・・


端っこをガッツリ掘り返されていました。。。

舗装されている歩道よりも、未舗装の歩道で周りに木が多く茂っている所で
猪を見かけるそうなので、特に朝夕に歩く方は十分注意して下さい。
普段は穏やかな顔をしている猪(麓で出会った人の話によると)ですが、もしうり坊を連れていたら、お母さん猪は子ども達を守ろうと警戒心いっぱいなので、刺激しないようにゆっくり後退してください。
注意さえ守れば向こうも何もしてこないと思います。
相手の気持ちを考えると、やってはいけないことも見えてくるかなと。

そんな猪や猿が冬支度に餌を確保したりと忙しくしている頃、
木々にも変化が。


左上;タチカンツバキ  右上;サザンカの園芸種
左下;サザンカ      右下;ビワの花

紅葉が終わりかけて寂しくなってるのかな、と思ったら全然。
ピンクや白の可愛らしい花が咲き始めていました。
四季折々の色彩や植物が楽しめる屋島。
木々の芽や花、実を観察をしたり、展望台で景色を楽しんだり、
また動物の痕跡を見つけたりと色々と遊べる場所です。
寒いと屋内にこもりがちですが、ちょっと外に出てみると
何か新しいこと、発見できるかも?

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2010年11月30日季節のクラフト教室 【草木染めに挑戦】

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

昨年好評だった草木染め。
今年もそんなリクエストに応えて開催しました!

講師は昨年同様、国営まんのう公園インタープリターでもある、角田ご夫妻。
昨年の参加者の声を反映して、ガーゼストールとハンカチの他に
希望者にはシルクストールなども染められるよう、いろんな布を用意してくれました。
  ↓↓昨年のようす↓↓
"http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/author/author539_3.html"
2009年11月13日「草木染めに挑戦」参照

5色の染液の内、4色はあらかじめ作っておいたモノを使いますが、カルカヤはクラフトハウス前広場に生えているので、1から染液を作っていきます。
今年もイノシシによる掘り返しで全滅しないかとヒヤヒヤしましたが、
なんとか生き残っていました。良かった~。



カルカヤを炊いて色を出している間に、染め上がった時に出る模様付け。
ビーズやビー玉、割り箸に紐、輪ゴムなど使って、布をねじったり、ビー玉を布で丸めたりと、どんな模様になるかワクワクしながらの作業。
中には布全体をねじって、シンプルな模様を付ける人も。



みなさん思い切りがいいのか、今年は模様付けが早く出来上がりました。
できあがったら、自分が染めたい色を決めて、一旦布を水に漬けます。
いきなり染液に入れてしまうと、どうしても乾いた箇所ができてしまい、布全体に色が行き渡らず、染めムラができてしまいます。
そこで一度水によく浸して、乾いた部分ができないようにしておくことで、まんべんなく染色できるんです。

水が十分に浸るように、この間にお昼休憩。
ちょっと肌寒い風が吹いていましたが、紅葉を楽しみながら外で皆さん昼食を取っていました。中にはピクニックみたいにシートを広げて。

そして休憩後、いよいよ染めていきます。






中には2色染めや、模様を付けたところにもう一度染液を漬けて、もう1色楽しんだりと、いろいろ応用できるのも草木染めのいいところ。
15分程で色が付いたら、みょうばんを溶かした「ばいせん(色の定着水)」に10~15分漬ける。もっと色濃くしたい場合はこの工程の繰り返し。
その後、水洗いして輪ゴムやビー玉などを外していきます。


1つ1つ丁寧に輪ゴムなどを外して、模様が出てくる度に歓声が出ます。

そして完成したのがコチラ。



どれもキレイな染め上がり

今年は猛暑の影響か、ビワの色も昨年よりは薄く、カルカヤもほんの少し茶黄色っぽくなりました。
この五色台で採れるカルカヤは黄色がよく出て、講師も珍しがっているくらい。そこで育った土壌や染色で使う水の成分によって、色の出方が違うって面白いなぁと思いました。
今回で染色にはまった参加者は、余った染液を持って帰って家でやってみるそう。
家でも気軽に出来るので、興味のある方はぜひ挑戦してみてください。
どんな色が出るかは、やってみてからのお楽しみ☆

******12月季節のクラフト教室******
      【門松づくり】
 高さ45㎝程度のミニ門松を作ります。
日 時;12月19日(日)13:00~15:00
参加費;500円(1セット)
寒いので暖かい服装でお越し下さい。

=====五色台ビジターセンターHP=====
http://www.ab.auone-net.jp/~goshiki/

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2010年11月22日紅葉情報 【小豆島・寒霞渓】

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

先週朝、寒いなぁと思ったら霜がおりていました。
どおりで。。。
しかし、寒くなってくると見られるのが紅葉。
先日、紅葉の名所【寒霞渓(かんかけい)】に定点観測を行ってきました。

寒霞渓は、日本三大渓谷美の一つに数えられ、
香川県を代表する景勝地でもあります。
山頂付近の展望地から見る景色もいいんですが、
なんといってもオススメは2本の遊歩道!
西側遊歩道を【表神懸12景】、東側遊歩道を【裏神懸8景】という名前が付いています。
この12景と8景ってなんだと思いますか?
これは奇岩怪石が見える数なんです。


四望頂展望台から見える【烏帽子岩(えぼしいわ)】
(表神懸山頂付近で見られます)

この奇岩怪石は、長い年月の中で風雨によって浸食された凝灰岩などの火山性岩石で、なんとも不思議な形をしています。
そんな奇岩怪石は遊歩道を歩いた方がベスト!
ちゃんと見える方角と名前、説明があるので、分かりやすいんです。
それに紅葉を間近に感じることができますし。


彩りの豊かな遊歩道。

歩くと段々と体が温まってきますが、遊歩道の中は日陰でヒンヤリしているので、脱着しやすい上着があるといいですね。
他にも遊歩道にはこんなお楽しみが。
小豆島は香川県でも貴重植物が生育する場所でもあります。
今回のお目当てはコチラ。

ミセバヤ

乾燥した集塊岩に生育するので、手の届く所にはありません。
よ~く岩を見ながら歩くと見つけることができますよ。

普段はそんなに人を見かけることのない遊歩道ですが、
紅葉シーズンなだけに多くの方が楽しんでいました。
遊歩道の中には隠れた展望地もあるので、
マイベスト眺望を探してみるのもいいですね。

もう一つ。近くに紅葉の眺望ポイントがあります。

四方指から寒霞渓山頂を望む

この四方指付近には、こんな住民がいます。

観光客の増加とともに猿も道路脇にワラワラと・・・

車が目の前まで来ても何食わぬ顔で寝っ転がる。。。
しかも「あらあら、何かしら」といった感じでゆっくり移動。
こんな感じの猿たちなので、スピードは上げずゆっくりと走行してください。
この辺りはカーブも多いので見通しが悪いです。
そう!あと、猿に餌付けは禁物です!餌くれ目線は無視してください!
車のドアや窓の開けっ放しも×。猿は遠慮なしに入ってきます。
これが常習化すると、人間に平気で危害を加えかねません。

紅葉はもう少し楽しめそうです。
注意を守りながら、深まり行く秋を堪能しましょう。

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2010年11月04日『豆腐&栗ご飯をつくろう』

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

秋真っ盛り!
そして食欲の秋!ということで、今回の季節のクラフト教室は
【豆腐と栗ご飯をつくろう&栗の木を見に行こう】
一緒に五色台の山の味覚も頂いちゃいましょう♪

栗ご飯は身の厚いモウソウチクを使って竹筒を作り、その中に材料を入れ焚きます。
みなさん初めての体験のようで興味津々!

まずは竹筒づくりから。


次に五色台で採れる芝栗の皮むき。
この芝栗、小ぶりですが甘さは抜群!!
実が小さい分手間が掛かる作業ですが、頑張ったら頑張った分、栗いっぱいのご飯が炊けるのでみんな夢中に。
その後、お米を研いで水と調味料、栗を竹筒に入れて炉で約1時間。



皮むきの合間にうれしいおやつタイム。
コレ以外に山の芋、「むかご」と芝栗をゆがいたものも。


栗ご飯が炊きあがるまでの間にお豆腐作り。
あらかじめ大豆を水にかしておいたものを(夏は10時間、冬は20時間程度)2回に分けてミキサーにかけた後(←コレが生呉(なまご))、すすぎ水と一緒に鍋に入れ、火にかけます。沸騰したら弱火で10分。
その後、木綿でこして杓文字で絞り、木綿に残ったのが『おから』、ボウルに落ちたのが『豆乳』。お豆腐のいい匂いがします。
出来たておからはみんなお持ち帰り。




おからの出来上がり

豆乳をボウルごと火にかけたら、表面に膜が張ってきます。コレが『湯葉』。
豆乳が80℃近くになったら一旦火を止め、ニガリを投入。
そうすると徐々に分離してきます。分離しない場合はもう一度加熱。
そして木綿でこして、水分をそーっと抜いて箱型(今回は牛乳パック)に入れます。
重しを載せてしばらく置き、水分が抜けたら・・・



この頃、栗ご飯も炊けていい匂いが・・・。
開けるまで分からない竹筒で炊いた栗ご飯。さぁ、どうでしょう?



楽しい試食の後は、実際に栗の木を見に行こう!
イガグリを開くと、実が入っていたりなかったり・・・?
中身が無いのは、イノシシが器用に実を取りだして食べた跡でした。。



実際に木を見に行くと、大人の方でも「初めて栗の木を見た」という人も。
少し外に出るだけで、見たことない木の実や動物の形跡、初めて見るものに子供も大人もスタッフに質問攻め。本や写真も大事だけど、自分の目で見て触って体験することがやっぱり一番!
お昼はまだぽかぽか陽気、ちょっとそこまで散策してみてはいかがでしょう。

******11月の季節のクラフトイベント******
      【草木染めに挑戦】
身近にある植物から出る色を楽しもう。
日 時;11月14日(日)10:00~14:30 クラフトハウス
参加費;500円/1人
持ち物;昼食、飲み物、汚れてもいい服装

======五色台ビジターセンターHP=======
http://www.ab.auone-net.jp/~goshiki/


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2010年10月08日【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで10日前】

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

観察すればするほど面白い奴・センチコガネ
【昆虫綱・コウチュウ(鞘翅)目・センチコガネ科】

いきなりですが、甲虫って言われたらどんな虫を思い浮かべますか?
人気の高いカブトムシやクワガタムシ、コガネムシのような頑丈な外骨格が発達している昆虫とか?
甲虫は動物全体の中でも最大の目であり、食性も虫食、葉食、樹液食、蜜食など様々。
その中でも注目株!(個人的な)がセンチコガネ。

つい最近、やたら猿のフンにしがみついている光沢のキレイな虫を発見。
「何やっとんやろ?フンやで、それ。」
と、ずっと見ていると。。。
「転がしたーーーー!!まさかこれがフンコロガシ!?」
逆立ちして後ろ足で転がすあの格好!
・・・と転がしたのも束の間、あきらかに転がすに無理な大きさのフンの下敷きに。

面白すぎてしばらく観察・・・。
俵状のフンに悪戦苦闘しながら転がす→潰される。(何回も)
側面にしがみついたはいいものの、そのままフンと共に坂を下る。(何回も・・・)
「コントや。。。完全にコントや。。。」
そのどんくささに女子1人山の中で笑うも、なぜか頑張れと応援したくなる。
しかも2匹いたのですが、2匹とも同じような行動→失敗ばかり。


ハエも一緒に頑張ってます!?

こんな面白すぎるセンチコガネのように、主に哺乳類のフンを餌としている糞食の一群の昆虫を【糞虫】と言います。
ただフンが好きで食べているだけの虫ではないんです。

動物園や家畜のフンは人間が処理していますが、自然界は?
その処理役、分解する役割をセンチコガネのような糞虫が担っています。
この糞虫たちがいないとどうなるか?
・・・自然界はフンでいっぱい。。。?
いやいや、ちょっとこれは。。。ねぇ。

また、哺乳類のフンは体内で不要となったものですが、他の生き物にとっては利用可能な栄養素を含んでいます。その中には植物の種子なども。
糞虫の成虫は、自分たちでフンを食べるだけではなく、地中の巣穴に持ち込んだりして幼虫の餌としても使います。
種子はその巣穴に入ることによって地中に埋められ、地表に出ているものよりも発芽率が上がります。
またフンが転がされて移動することで、種子分散にも繋がります。
今身近にあるきれいな花や草木もこの糞虫のおかげかも。

分解→子孫繁栄、植物の分散&発芽を促すと、自然界の物質循環の重要な役割の2つを任されている糞虫・センチコガネ。
美しい金属光沢のカラダを持っていながらフンコロガシと呼ばれようとも、ひっそりと大役を任され自然界をまわしている姿はまさに裏番長。

そんなステキなセンチコガネ。はまりそうです。


青緑に光るキレイな背中・地域によって色合いが変わります。
(写真が少ないのは、夢中になって観察していたせいです。。。)

生物多様性ホームページ 
http://www.biodic.go.jp/biodiversity/
COP10支援実行委員会公式ウェブサイト
http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/

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2010年10月05日・・・正しい応急処置、できますか?

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

先日、応急処置方法を受講しました。
というのも、「実際やったことない・・・。」
「本で読んだことあるけど、いざ落ち着いて出来るの???」
という疑問から。
で、「パークボランティア(以下PV)さんの中で教えてくれる人がいるから受講しよう!」と。

講師は、五色台PVの稲井さん。
日本赤十字香川支部から来ていただきました。
今回は主にクラフト教室において予測される傷や火傷、危険な生き物による応急処置を中心に講習開始。

まずは止血方法。
●ひどい出血の場合。
①手当をする人は手術で使うような浸透しない手袋(ない場合はレジ袋でも代用可)をはめる。(←感染を防ぐ!)
②清潔なガーゼを傷に当てて圧迫。(←ガーゼがない場合は、ライターでハンカチなどを炙って(燃えないように!)滅菌して使用)
●さらに出血が止まらない場合。
当てているガーゼの上からさらにガーゼを重ねて、三角巾で結び目を傷口から避けてしばり、できれば心臓より上にすること。
●首から上の出血はこめかみを指圧迫し、ガーゼでおさえる。


止血点を圧迫。正しい位置を覚えます。

頭部の三角巾巻き方・後頭部のポコッとした所に引っ掛けて。

●擦りキズができたら。
まず傷口を水で洗い流しますが、なかなか土やゴミが取れない場合は、ペットボトルが大活躍!
キリでふたに穴を1つ開けて、ボトルに水を入れふたをセット。
ボトルを掴んで勢いよく水を出すと、適度な水圧で洗い流すことができます。
野外活動で近くに水道がない場合、あらかじめペットボトルに水を入れて持っていき、穴開きふたを別に持っていくと付け替えができて便利☆

●危険な生き物
マムシは毒のある牙が前方に付いていますが、血清はあります。
ヤマカガシは後方に牙が付いてますが、血清はありません。しかし目の横から毒を噴射するので、これには要注意!

毒のあるハチは腰が細く、社会性のあるスズメバチやアシナガバチ。
これらが一番危険!!
最初に見張り役が現れ、侵入していくと警戒役が出てきます。カチカチ歯音がしたらもう危険信号です!決して手で払わず、ゆっくり後退して警戒範囲から脱出してください。
また黒に反応するので、目は伏せること、山に入る際は出来るだけ黒は着用しないこと。甘い匂いにも寄ってくるので、香水や化粧品、ジュースの飲み残しに注意(缶の中に入ることも有!)。
基本的にこれらに咬まれたり刺されたらすぐに患部をよく洗い流し、安静にして即病院へ。(注;血清は置いていない病院もあります)

●いつも使っている絆創膏にはこんな裏ワザが。


関節が閉じる側はクロスさせて、開く側はハの字に貼ることで動きやすく、かつ剥がれにくくなります。
これは超簡単!そして水仕事にも強い!

受講翌日、現地調査に行った際、早速マムシとヤマカガシに遭遇。
かつマムシは足の真横10㎝(しかもトグロ巻いて臨戦態勢!!)
しかし受講のおかげか慌てず後退し、相手が逃げるまでの間は
「模様がきれいだなぁ」と思いつつ観察する余裕も。

今回の受講で今まで知っていた処置が正しくないこと、怪我する前に気をつけなければならないこと、参加者の心のケアも重要だということ、難しいことですが慌てず動揺せず行動することが大切だと学びました。
また本で読むだけでなく、実践することでより一層理解できたと思います。
活動を楽しくするためにも、リスクを知っておくことは大変重要なこと。
今一度、救急箱の中身、応急処置所作、休日当番医、搬送先病院など見直してみてはどうでしょうか。

日本のいのち、つないでいこう!【COP10まで13日前】
生物多様性ホームページ 
http://www.biodic.go.jp/biodiversity/
COP10支援実行委員会公式ウェブサイト
http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/

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2010年09月15日敬老の日は手作りのものを

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

来週は敬老の日。
それに向けて、手作りの贈り物をしよう!ということで、今月のクラフト教室はお箸と箸置き、木製ストラップづくり。

今回作るお箸は、香川県産ヒノキの間伐材を使います。
木製ストラップや箸置きは、五色台で間伐した木の枝を再利用。
日本は年間約260億膳もの割り箸を使います。そのためだけに木を切っていくとすごい量の木を切らなければなりません。
しかし、建築資材にするには小さい木の枝や間伐した木などを使えば、新たに木を切らずにすみます。間伐をすることによって、密集した森に光が入るようになり、木々の成長を促し、そして下層に新たに植物が生えてきます。これによって森が循環していき、また土壌保全や水源かん養機能を維持できます。
間伐は森だけではなく、災害防止などにも関係してくる大切なことなんです。


なぜ間伐材を使うのかのお話。

作り方や注意事項を聞き終えたら、作業開始。
竹箸と違って、ヒノキのお箸はある程度、細く棒状にしたものからスタートします。
なんとなく形が見えてきているから簡単かと思いきや、実は根気のいる作業。
削る道具はペーパーヤスリのみ!
それを使い、角になっている部分をバイオリンを弾くみたいにして削っていきます。時間にして約40分。動作はひたすら削って削るのみ!


「こうすれば上手く削れるよ」などアドバイスをもらいながら。

だんだん細くなってくると、実際持ってみて、料理が掴めるかなど調整していきます。根気よく続けた人は、本当に細く、よくこんな短時間でできたなぁ~と思うほど。
よし!と思ったところで、目の細かいヤスリで仕上げ。
これをすることで、木の油が出てきてツヤのあるお箸に。

そして、次にお箸におじいちゃん、おばあちゃんへの
メッセージを入れていきましょう♪
最初に下書きしてから、いざ焼きペンで。


ペン先はすぐに熱くなるので注意!

緊張しながら始めたものの、やってみると楽しい~。
実はコレ、お父さんが夢中になることが多いんです。

焼きペン作業の順番待ちの間に、木製ストラップを仕上げていきます。
マーカーで絵を描いていくので、後悔しないためにも下書きを。
裏にはメッセージを入れてもいいですね。


相談しながら、「何を描こうかなぁ。」

お箸、箸置き、ストラップができてきたら、ラッピング。
千代紙や和紙、のし紐やリボンなど、おじいちゃん、おばあちゃんが好きな色を使ったりして仕上げていきます。


ちゃんと結べるかな?

いつもは恥ずかしくて言えない感謝の気持ちも、メッセージすると伝えることができるはず。
そしてなにより、手作りのプレゼントならより一層喜ばれると思います。お箸は毎日使えて、しかもヒノキだからいい香りもします。
来週まで渡すのを、待てるかな?

***********次回のクラフト教室***********
      【栗ごはんと豆腐づくり】
五色台の秋の味覚・芝栗、むかご、どんぐり、あけびなどを頂きましょう♪大豆から豆腐づくりにも挑戦!
 10月10日(日)10:00~14:00 参加費;500円/人
 準備物;エプロン、マイ箸

********五色台ビジターセンターHP********
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日本のいのち、つないでいこう!【COP10まで33日前】
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2010年09月03日早くも紅葉・・・???

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

ある日の会話。
保護官「なんか屋島の南側、えらい茶色い木が目立つんやけど知ってる?」
私「いやぁ、知らないです。今度の定点観測の時に一緒に見てきます」
で、現場へ。
ん?? なんか茶色い。。
なんだろうと思っていたら、!!葉っぱが枯れている。。。
雨が少なかったから枯れたのかなぁと思っていたら、枯れているのは部分的に、しかもウバメガシ以外のものが多い。。。

調べてみると、もしかしたら【ナラ枯れ】かも。。。
ナラ枯れの原因は「カシノナガキクイムシ」という昆虫。
この昆虫のメスと早くに生まれた幼虫は、カビの一種の菌を木の孔に持ち込んで育て、生まれてきた幼虫はこの菌を食べて成長していきます。そして、菌を持ったまま成虫になって他の木に移って、また菌を植えこんでいくという伝染病のようなもの。
不思議なことに多くのメスは、この菌がないと産卵ができないのだとか。
そして、この菌が木を枯らす原因に。
これによって枯れた木は「フラス」と呼ばれる粉(木屑とキクイムシの糞が混ざったもの)が落ちているのだそう。


4月と8月の屋島南嶺西側のようす。
サクラの色と混ざって分かりづらいですが、あきらかに緑の中に茶色が。。

最初は、菌と昆虫、お互いが助け合って生きているんだなぁ。
まさに生物多様性!っと思っていたら。。。
大きな問題点が。

この【ナラ枯れ】の被害を主に受けるのはミズナラ、コナラ、クヌギやアベマキなど。この木の葉を餌にしているのがチョウ類を中心とする昆虫たち。
しかもチョウ類の約10%以上の種は、この木の葉を餌としています。夏の昆虫で人気のカブトムシやクワガタも、クヌギの木などに樹液を吸いにきていますよね。

このナラ枯れをそのままにしておくと・・・
カシノナガキクイムシ増殖⇒ナラなどがどんどん枯れていく⇒チョウたちの餌がなくなる⇒元気がなくなり、産卵もできなくなる?⇒どんどん減ってくる・・・?⇒やがて絶滅・・・?!

他にも、建築材・シイタケ原木などの資源減少、景観の悪化、水源かん養機能(※1)の低下、ドングリを餌とする野生生物への影響なども。


左;4月の屋島南嶺東側  右;8月の屋島南嶺東側

チョウ達昆虫がいなくなるのは悲しいし、どうにか食い止めたいけど、キクイムシ達も一生懸命生きていくためにやっていることだし。。。
今は害虫として扱われているキクイムシだけど、いずれ何か大切な役割を持っていることが分かるかもしれない。木が枯れる原因になっている菌も、もしかしたら何らかの役割をしているかも・・・。
そんなことを考えていると、なんだかもどかしくなります。

キクイムシ以前に他にも、この問題は私たち人間と森林との付き合い方が変わったから、という見方も。
昔は木が燃料(炭や薪)として使われていましたが、燃料革命によって石油やガスに切り替わり木の伐採が減り、年老いた木がそのまま残り、キクイムシに菌を植えられ枯れていくという。

この【ナラ枯れ】から、さまざまな方向へ影響が出ることが分かり、そして人と生き物、自然界との付き合い方の大切さに改めて気付かされました。
何か変だな・・・と思ったら、それは何かが始まるのかもしれません。
いや、すでに起こっているのかも。
今一度、もっと身近なことで起こっていることや変化をちゃんと見ていかないといけないなと感じました。

※1水源かん養機能・・・森林土壌は降水をほとんど地下に浸透させることで、河川の流水量を適度に調節し、洪水緩和や流量を安定させています。また、森林土壌を通過することによって水質が浄化されます。

日本のいのち、つないでいこう!【COP10まで45日前】
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COP10支援実行委員会 http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/

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