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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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瀬戸内海国立公園 高松

256件の記事があります。

2012年09月10日夏の終わり~秋の始まり~そして・・・

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

夏休みが終わった先日、自然保護官と一緒に直島へ巡視に行ってきました。
直島は、世界的に名の知れた建築家やアーティストが設計、デザインした建築物やインスタレーションなどが宮浦港・本村港周辺や直島南側に位置する琴反地地区に点在する云わずと知れたアートの島でもあり、また環境問題にも積極的に取り組んでいる島でもあります。
年中観光客で賑わう直島ですが、特に7~8月の夏休み期間はフェリーの座席が埋まり座れなくなるくらい観光客でいっぱいになります。
さすがに9月入ると少し落ち着きを見せ、特に平日はゆったりと島観光ができるでしょう。
島内はレンタカーがないのでバスで回るのもいいですが、自転車でゆっくり景色や空気、音を楽しみながら回るのがオススメ。電動自転車じゃなくても勾配がキツくないので、苦にはなりませんよ。


宮浦港にある草間彌生作・赤カボチャ(公園外)
夏の間は人でごった返していましたが、今時期はまばら。

私たちも直島内での交通手段はレンタサイクル。
琴反地まで行き、一旦自転車を置いて園地や野営場など見て回りました。
その中で夏~初秋に見られる植物を見つけたので少しご紹介。


【ヒメイワダレソウ(姫岩垂草)】クマツヅラ科イワダレソウ属
花期:6~9月

海浜植物のイワダレソウ(国立・国定公園指定植物)に似ていますが、どちらかというとランタナにそっくりな花。
イワダレソウは円柱状の穂状花序を下から上へと順に咲き上がっていき、ヒメイワダレソウのように全体に花序は付かないのが特徴です。
ヒメイワダレソウはグランドカバーとして使用されているようなので、その種子が飛んできたのでしょうか。


【オオフタバムグラ】アカネ科オオフタバムグラ属(要注意外来生物)
花期:7~9月

【メリケンムグラ】アカネ科オオフタバムグラ属(帰化植物)
花期:6~9月

よく似た2種類ですが、両方とも北アメリカ原産。
海岸や河原で生育し、大抵この2種共に見られることが多いようです。
見分け方は、メリケンムグラの花冠に毛があり、雄しべ4本が外へ向き雌しべ柱頭が深く2つに裂けていることが特徴。
2つとも小さな花ですが、よーく見るとその違いが分かりますよ。


【ハマゴウ】クマツヅラ科ハマゴウ属
花期:7~9月

琴反地の浜辺に多く見られるのが青紫の花を付けるハマゴウ。
大きくなるとツル状から木状になり、高さ1mを超すまでに。
東の海浜植物代表がハマナスならこちらは西日本の代表格です。
実は線香の原料になったり、灰汁を染料として、また実を薬用としても使われているそうです。


【ノカンゾウ】ユリ科ワスレナグサ属
花期:7~9月

鮮やかな色を放つノカンゾウ。
この写真のように赤みが強いものをベニカンゾウとも呼ぶそう。
ハマカンゾウともよく似ていますが、ノカンゾウの方が葉が細いのが特徴。
またヤブカンゾウも似ていますが、そちらは八重咲きなので区別しやすいです。


【キキョウ】キキョウ科キキョウ属
(環境省RDB:絶滅危惧Ⅱ種(VU)・香川県RDB:準絶滅危惧種(NT).
 国立・国定公園指定植物)
花期:7~9月

家紋や着物柄にも使われる青紫の花がきれいな日本を代表する花のひとつ、キキョウ。
園芸種のキキョウは見たことあるのですが、実際自生しているものを私は初めて見ました。RDBに指定されていることからも野生で自生しているのが減ってきていることが分かります。
キキョウといえば、秋の七草のひとつ。
7つ全て言えますか?知らない方はこの際に是非!
「ハギ、キキョウ、クズ、フジバカマ、オミナエシ、オバナ、ナデシコ」
どれも今の時期~これから見られる植物なので探してみて下さいね。

夏~初秋の花を見ながら途中、エビヅルやヨウシュヤマゴボウ、ヘクソカズラの花も見つけ巡視を進めていくと・・・なにやら黄色く垂れ下がった花が。。。
・・・・もしかして・・・オオハンゴンソウ??
私、初めてみました。。。現地で保護官とオオハンゴンソウと判断したものの図鑑でそっくりなのを見つけ、違うかも!と期待しながら改めて調べてみましたが覆ることはありませんでした。。。


【オオハンゴンソウ】キク科オオハンゴンソウ属
花期:8~9月

近似参考:園芸種【ルドベキア(アラゲハンゴンソウ)】

よく似ていますが、一番の見分け方はルドベキアの筒状花は黒紫色で、オオハンゴンソウは筒状花が黄緑色。またキクイモなどとも似ていますが、ここまで筒状花が高くありません。

このオオハンゴンソウ、何故咲いていてほしくないのか。。
それは特定外来生物に指定されているからです。
『特定外来生物』とは・・・?
元々日本にはおらず、海外起源の生き物たち(外来生物)が何らかの理由で日本にやってきて野生化し、日本に元々いた生き物たち(在来生物)の棲み処を奪い捕食したり、また農林水産業への悪影響や人間に危害を加えてしまう生き物のことを指します。
これら外来生物を放っておくとどうなるか?
棲み処を奪われた在来生物がいなくなってしまう!→生態系がどんどん崩れてしまう!そして私たちの生活が危ない!といったことから駆除・防除する必要があります。
例えば、このオオハンゴンソウは地下茎が横に伸びてそこからクローンが成長、また種子を土に何年も残していくシードバンクシステムを持っている可能性もあり、繁殖能力は抜群。。しかも地下茎は強く張り、引っこ抜くことも容易ではなく、多数の筒状花は種子となるため1年や2年では駆除しきれないしつこさを持っています。

しかし、そもそも日本に連れてこられた理由の元は人。
自分たちの利益のために繁殖させよう、きれいだから栽培しようと連れてこられた生き物。この中にはペットとして輸入されたものの飼いきれなくなった人が野外に捨ててしまい繁殖している生き物もいます。
人間達の勝手な都合によって今まで棲んできた環境と違う中で生き延びた結果、最終的には駆除、そして殺処分です。

希少種を守ることも大切。そのために外来生物を駆除することも大切。
しかしその背景には人間の身勝手さもあることを知ってもらいながら、外来生物、在来生物のことを考えて欲しいです。

※環境省HP 外来生物法↓↓
http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html

       *****特定外来生物の三原則*****
      ①入れない ②捨てない ③拡げない
          

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2012年08月27日季節のクラフト教室 【ところてんづくり】

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

あと1週間で夏休みも終わり!の土曜日、
晴天の中、夏にピッタリの食べ物、ところてんづくりを行いました。

香川でところてんといえば・・・坂出市にある八十場(やそば)。
名物でもあり美味しいと評判の場所です。
瀬戸内で採れたテングサからところてん、また寒天を作ることに。
最初にインタープリター(以下IP)から八十場の云われ、ところてんについてのお話をし、今回の講師・好井さんから作り方を教わりました。


工作室は暑いので涼しい外で

まずは「ところてん(心太)」ってどんな漢字? テングサってどんな海藻?などクイズを出しましたが、意外とみなさんよく知っていました。
ところてんの名所・八十場のいわれはこうです。
ヤマトタケルノミコトが父である第12代景行天皇に悪魚を退治してこいと命ぜられ、88人の兵士と共に坂出沖に向かい見事やっつけたのですが、タケルと兵士全員が悪魚の毒気にかかってしまい苦しんでいました。村人達が懸命に介抱したのですがなかなか回復せず。しかし1人の子どもが八十場の湧き水を飲ませたところ次々と回復したという云われがあります。そこから『弥蘇場』=『八十場』と呼ばれるようになったそう。
また、崇徳上皇(五色台白峯寺に御陵があります)が亡くなった際、都から葬儀の指示があるまでの20日間、遺体が腐らないようにと八十場の冷たい湧き水を使い冷蔵状態にしたとの云われもあります。

ところてんの豆知識、地元の云われをみなさんに知ってもらった後、
班毎に分かれところてんを作っていきます。
           【ところてん材料】
・テングサ 60g    ・水 3.5~4l    ・酢 大さじ2

まず水を計って、鍋に入れ沸かしていきます。
その間にテングサを洗ってザルに上げておきます。


↑↑これがテングサ

参加者から「テングサってどこで売っていますか?」と聞かれ、
「道の駅などで売っていますよ」と好井さん。
確かにこの辺りのスーパーでは見たことない。離島に住んでいる方や漁師さんは採る機会が多いようで、私がプライベートでよく行く豊島でも自分たちで採って干して、各家庭でところてんを作っていました。



湯が沸騰したらテングサ、その後酢を大さじ2杯入れます。
木べらで焦げ付かないようにゆっくり混ぜながら約30分。
この時、湯気やハネで火傷しないよう気を付けて。


少し時間が経つとドロドロになってきます

これはテングサ自体が溶けるのではなく、テングサの体細胞に含まれる寒天質が溶け出してドロドロになっていくのです。
アクが浮いてきたらおたまで取っておきましょう。
30分程煮て、好井さんのGOサインで鍋を火から下ろし、
木綿でこしながらボウルへ流し込みます。
木綿に残ったところてんは木べらで挟んで十分取れるまで絞ります。



絞りきれたらボウルから四角のバットへ流し入れます。
粗熱が取れたら冷蔵庫へ。


約1時間で冷え固まります

その間にところてんを食べるための器と箸づくり。
器&箸づくりの講師 福西さんに竹の伐り方、道具の使い方など教えてもらいながらマイ食器を作ります。




器は竹を切って口が当たる所はペーパーやすりで滑らかにし、箸はあらかじめ福西さんが用意してくれた竹を小刀で削っていきます。
器の底は竹節部分なのですが、器の中底が凹になる方がところてんが隅に挟まらず取りやすいですよ。
福西さんがやっているのを見ると「あ、できそう」とみんな思うのですが、
なかなか難しい。。。
箸づくりのコツは刃を深く入れず浅く入れて削っていくことなんだそう。

そして、そろそろところてんも出来上がる頃、本日のお楽しみが☆
夏の恒例行事 スイカ割り!
これには子どもも大人も大はしゃぎ。
みんなスイカの正面まではたどり着くのですが、棒を振り下ろすと微妙にずれる。。。
「あーー!おしい!!」「もうちょっと右に体向けて!」「そこそこ!」


割れたーーーーー!!

最後にお父さんが挑戦してやっと割れました。
この後は切り分けてみんなで美味しくいただきました。
あま~いスイカにみんなも自然と笑顔に。
スイカ好きの子はどんどんおかわりしてました。
・・・お腹にところてん入る?


外で食べるスイカは美味い!

冷蔵庫を見ると、ところてんが冷え固まっていました。
ところてんつきの幅に合わせて短冊状に切って入れて押してみようー。



おいし~い♫
酢じょうゆにはレモンと胡麻を添えたら風味アップ

バット1個で約10~15人前のところてんができました。
みんなどんどん突いて2種類の味を楽しんでおかわりしていきました。
その頃、冷蔵庫ではところてんを煮出した後のテングサを集めて2番煎じで寒天を作ったのですが、まだまだ固まらず。。。砂糖が入っているせいなのか、クラフト教室が終わってもまだ緩く残念ながら参加者に提供することができませんでした。ごめんなさい!
その代わり、ところてんを使ってフルーツポンチに。


なかなかの好評でした

食べきれなかったところてんは各自持ってきたタッパーに入れてお土産に。
黒蜜や酢じょうゆ以外にも新しい味付けを発見してください。
ところてん自体のカロリーは0。
食物繊維たっぷりで夏バテしても食べられるあっさりヘルシーな食べ物。
地元名物、郷土料理を知ってもらい、また八十場にまつわる由来や云われ、そこから五色台に繋がる話も知ってもらえるいいきっかけになりました。
地元を知ることは、身近なことに気付くきっかけのひとつ。
来年の自由研究のテーマにも持ってこいですよ。

**************9月 季節のクラフト教室**************
       【段ボールオーブンでピザづくり】
手作りオーブンを使って手作りピザを焼き上げます。
アウトドア料理のバリエーションのひとつに加えてみては?
日 時 : 9月9日(日)9:30~13:30
場 所 : クラフトハウス(五色台ビジターセンター近く)
参加費 : 3,500円/1セット(5人前)
持ち物 : エプロン、飲み物、暑さ対策、汚れてもいい服装
※安全管理や進行上、遅刻された方は参加をお断する場合があります。

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2012年08月17日夏休み、ラストスパート!

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

早くも夏休み終了まで残り2週間!
楽しいことはあっという間です。
夏休みをさらに満喫するために、もうひとお出かけしませんか?

今回は小豆島をご紹介。
小豆島は、瀬戸内海で淡路島に次ぐ2番目に大きな島。
島内には岡山(宇野港、岡山新港、日生港)、神戸、姫路、高松を結ぶ7ヶ所の港があり、高速艇やフェリーの便数が多く行きやすい離島のひとつ。
最近だと「八日目の蝉」の舞台となったのもここ小豆島。
印象的な場面の「虫送り」は、寒霞渓の麓、肥土山(ひとやま)と中山で行われ、火手(ほて)と呼ばれる竹に火を灯し、「とーもーせー、とーもーせ」と言いながら水田の周りを歩き、稲に付く害虫を追い払い五穀豊穣を願う風習。


今年7月7日に行われた中山の虫送り
昼過ぎにはアマチュアカメラマン達が撮影ベストポイントで場所取り。

このほかにも農村歌舞伎舞台や、四国八十八ヶ所ならぬ島八十八ヶ所、醤油づくり、オリーブの産地など見所は盛りだくさん。
その小豆島の真ん中に位置するのが銚子渓と寒霞渓。
この2つは香川県でも有名な観光地として知られ、年間約10万人が訪れています。


小豆島はここ↑↑

小豆島スカイラインに沿って向かい、土庄港から約20分で銚子渓に到着。
ここには銚子渓自然動物公園お猿の国があり、ニホンザルとふれ合える場所。この園内にAグループとBグループ2つの群れが生息します。
それ以外にも野生のニホンザルが現れますが、元々園内に生息する群れがいるため肩身が狭く(追い出され?)長時間滞在はしないようです。
その園内の奥に、小豆島を360°見渡せるビューポイントが!
観光客は暑さのせいもあってか、また遊歩道があることを知らないのか行く人を見かけませんでしたが、なんと勿体ない!
そのビューポイントまでの道のりは・・・

園内奥にある赤い鳥居を目指していくと

右に折れる遊歩道が現れます。
道なりに進むと、岩場になってきます。
滑らないよう気を付けながら登っていくと・・・


山頂はこのように岩場が露出。
顔を上げて周りを見てみると・・・

岡山県側(北西方向)が見えます。

瀬戸内はよくガスがかったようになるのですが、この日は数日前に降った雨があがったばかりだったおかげでよく晴れ渡り、遠くまで見渡すことができました。
ウバメガシなど常緑樹の緑と切り立った岩場、海の青が映え、
これこそ瀬戸内の風景!
また別の方向には山間の集落が見え、その間に瀬戸内を望めます。

そして県内で最もメジャーな観光地・寒霞渓。
桜の開花、紅葉シーズンには多くの観光客が訪れるため、ゆっくりとまわりたい方には他のシーズンをオススメします。
冬は、山頂の標高が612mと高いため雪が降ると辺り一面雪化粧に覆われ、また違った雰囲気が味わえます。
夏は、山頂駐車場付近でも風が吹いたり、木陰となる遊歩道の中はヒンヤリと涼が取れる場所でもあります。
遊歩道は2本あり、普段あまり歩かない方は奇岩12景が見られる表神懸遊歩道を、より山歩きをしたい!という方には奇岩8景を眺められる裏神懸遊歩道をぜひオススメします。

ここでは山頂~表神懸遊歩道で今見られる植物を少しご紹介。
山頂より少し西側にある四望頂展望地では、薄紅紫の花が見られます。


【カワラナデシコ】ナデシコ科ナデシコ属

別名:ナデシコ、ヤマトナデシコ(大和撫子)とも呼ばれ、秋の七草のひとつ。
花は7~10月頃まで山野で見られ、私はこの花を見ると「秋が来るんだなぁ」と感じます。

すぐ近くには、鮮やかな青紫色の花を付けた草花の群落が。

【ウツボグサ】シソ科ウツボグサ属

唇形状の花(ホトケノザやサルビアの花もこんな形)が落ちると、右写真のように花穂(かすい)が褐色になり、このことから「夏枯草(かこそう)」と呼ばれています。この花穂は利尿剤として使われるそうです。


【オオキツネノカミソリ】ヒガンバナ科ヒガンバナ属

オレンジの花は、薄暗い遊歩道の中を鮮やかにしてくれます。
よく似た草花で「キツネノカミソリ」がありますが、オオキツネノカミソリの方が花が大形で雄しべが花被片より飛び出ているのが特徴です。


【ツチアケビ】ラン科ツチアケビ属
(国立・国定公園指定植物)

色も見た目もパンチがあるのがこのツチアケビ。
大抵の植物には光合成を行う葉緑素があるのですが、ツチアケビは葉緑素を持たないため自分で養分を作れません。その代わり生物の死体や排泄物から菌根(ツチアケビの場合は根の中にナラタケの菌糸を取り込んで共生)を通して養分を吸い取り生育する腐生植物。
このような植物の生活様式は、寄生の一形態(死物寄生)といえます。

四季を通してさまざまな植物や景色が見られる小豆島。
本土とは違い離島にはまた違った独特の生物や文化が見られます。
せっかくの夏休み。
船に揺られて瀬戸内を眺めながら離島への旅をしてみてはいかがでしょうか。

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2012年08月08日自然公園クリーンデー in 鳴門

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

毎年行われている自然公園クリーンデー。
国立公園や国定公園、また県立自然公園など全国の自然公園を対象として、
利用者の集中する地区において大規模な一斉美化清掃を行うというもの。
行政や自然公園財団、国立公園協会、休暇村また関係諸団体が協力して
ゴミの持ち帰りを呼びかけたり、一斉清掃など美化清掃運動を実施し、
またみなさんにより美化思想を広く普及させることを目的としています。

昨年の広島でのクリーンデー↓↓
http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/search.php?search_word=%E8%87%AA%E7%84%B6%E5%85%AC%E5%9C%92%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%BC&search_submit=Go

ここ、鳴門も自然公園財団鳴門支部と鳴門公園観光協議会の協力のもと
クリーンデー実施統一日の8月第1日曜に毎年行われています。


開始式のようす

朝7:00と早い時間ですが、多くの方が集まってくれました。
開始式終了後、各自鎌やゴミ袋、ほうきなど持って清掃場所へと移動していきます。
清掃範囲は、第1駐車場~千畳敷~渦の道~第1駐車場の車道沿いで
観光客が最も利用するエリア。
ここでは主に草刈りや掃き掃除中心に行っていきます。


渦の道前辺り

車道沿いにゴミはほとんど落ちていないものの、斜面には茅や雑草が伸びていました。
中にはトゲのついたイバラも伸びており、少し当たっても刺さったり
服が破れてしまうかもしれません。
歩道沿いですし、子どもの顔の高さにあって危ない!
ここは人や車の通りが多い場所なのですが、希にマムシが出ることがあるため、観光客が遭遇して咬まれないように少し前にも刈ったばかりだそうですが、やはり夏、草が伸びるのは一段と早いです。
トンネル内に溜まった落ち葉もきれいに掃いてスッキリ。

渦の道を過ぎると商店が多く建ち並ぶ場所が見えてきます。
ここが千畳敷。


千畳敷前でも草刈りとゴミ拾い

千畳敷は渦が見えるビュースポットでもあり、団体客が利用する飲食店などもあります。
鳴門大橋のすぐ下ということもあって、橋と渦が間近で見られ迫力満点です。
目立つ雑草ばかりでなく、アスファルトやタイルの割れ目から伸びてきた雑草や水路に溜まった落ち葉なども一緒にかき集めていきます。
自然公園財団スタッフは草刈り機で一気に!

1時間ほどで清掃終了。
集めた草やゴミを袋に入れて車道脇に集めていきます。
あとは軽トラックで改修してもらうので、各自道具を持って集合場所へ戻っていきました。


50m範囲でこれくらい集まりました!

普段、自然公園財団鳴門支部スタッフによって毎日清掃が行われていますが、
観光客の少ない時間帯だけで広い鳴門公園全体を清掃となると。。。
なかなか手が届かないのが実情のようです。
しかし、そこはマンパワーでカバー!
「1時間でもこれだけの人数ですると早いね~」と。

ぱっと見、そんなに目立って草が伸びたり落ち葉が溜まっている訳ではないのですが、ちょっとした草を刈るだけ、集めるだけでもかなりリフレッシュした鳴門になりました。
利用者にはどんな印象を受けるのか、また危なくないかなど
さまざまなことを考えながら鳴門の美化は保たれています。

この一斉清掃では観光客の多いエリアでのゴミのポイ捨てはほぼなかったのもの、同じ国立公園に指定されている鳴門スカイライン周辺では不法投棄が絶えません。
処分するのにお金が掛かるし面倒だから、捨ててしまえば簡単だから。
いくら目立たない場所だからと言っても、結局は見つかってしまいますし、
それらが何らかの形で自分たちに返ってくるのは目に見えています。

「来た時よりも美しく」
よく聞く言葉ですよね。
ゴミのポイ捨てをしないことはもちろんですが、近くでクリーン作戦が行われる予定があればぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
場所がスッキリするだけでなく、自分も周りのみんなもココロがスッキリしますよ☆



清掃前には虹が!
終わった後の気分を表すかのようです♫

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2012年07月31日季節のクラフト教室 【蜂蜜絞りと蜜蝋キャンドルづくり】その2

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

その1続き。

蜂蜜絞り体験と試食を楽しんだ後は蜜蝋キャンドルづくり。
蜜蝋も人間社会において、化粧品やワックス、クレヨンやその他工業用品などさまざまなものに使われています。
その中でも蜜蝋キャンドルは、教会のキャンドルとして欧米で古くから使われる伝統的なもの。

そんな蜜蝋キャンドルを今回は作っていきます。
工作室から少し涼しい調理室へ移動し、家族毎に火に掛けている瓶の前へ。
参加者達がつくるキャンドルの元は、こんな過程をたどっています。


蜜がからっぽの巣

蜜の入っていないと巣板は軽い!
蜜が入った巣板と比べると重さは一目瞭然です。
この巣が加工され・・・


このような固形物に。

売られている蜜蝋はこの状態です。
そして、これを耐熱瓶に移して湯煎すると


こんな状態になります。
見た目はハチミツと変わりません。

瓶の中にタコ糸を入れて、蜜蝋を付け一旦取り出します。
よく冷やしてロウが固まってから、また瓶に入れロウを足していきます。


1回目はこれだけの太さ

ロウを付けるのが糸なので、素直にまっすぐにはなってくれません。
そこで取り出した時に手でまっすぐに直していきながら、
瓶に入れてロウをくっつける→取り出して調整しながらよく冷ます→瓶に入れる
といった工程を繰り返します。
何度か繰り返していく内に・・・


徐々に太くなってきました。
さらに繰り返していくと・・・


完成です!
ここまでで約20分。
まだまだ太くしたい子は作業を続けて、終わったらキャンドルを冷ましていきます。
次に台座となる板にキリで穴を2ヶ所開けて、キャンドル立てになるハリガネを裏側に通します。


そのままだとハリガネで浮いて台座が安定しないので、2ヶ所の穴間を彫刻刀で彫ってハリガネが入るようにします。
そして、表に出した片方のハリガネはクルッとペンチで巻いて戻らないように。
もう片方はノリの容器(ここではアラビックのりを使用)に沿ってハリガネを巻いたらキャンドル立ての出来上がり。
あとはデコレーション。


お馴染みのドングリやまつぼっくりなど使って仕上げていきます。
ただ、キャンドルにくっつけて木の実を付けると、火を灯した時に燃え移る可能性があるので要注意!
キャンドル自体に飾りを付けたい場合は、蜜蝋をうまく足したり、彫刻刀で削って模様付けしてもいいですね。
クラフト教室も終盤。


できあがりです!

台座にトトロを描いたり(←今まで見てきた中で1番上手!)、ドングリを2種類使ってウサギにしたりと今回もいろんな工夫が見られました。

参加者からは「ミツバチを初めて見た」「最近は見かけなくなった」などの声が聞かれました。
20年程前からセイヨウオオマルハナバチを使う農家さんが増えたことや養蜂家、農家さんが減ったことで見なくなったのでしょうか。
(※セイヨウオオマルハナバチは特定外来生物で、これを飼育するには環境省の許可が必要です。)

ミツバチは女王蜂、オス蜂、働き蜂とそれぞれが役割を分業しており、人間と同じように社会性を持つ昆虫のひとつ。
また前述にもあるように、いろんな面で人の生活に役立ち、
また欠かせない繋がりを持っています。
今回ご協力いただいた中田養蜂さんが帰られる際、
「自由研究で困ったら声かけて下さーい」とおっしゃていたので
もっとミツバチのことを知りたい!という方はこれを機にもっと詳しくなってみてはどうでしょうか?

**************8月 季節のクラフト教室**************
           【ところてんづくり】
    五色台の麓・八十場(やそば)の名物ところてん。
    瀬戸内海で採れるテングサを使って地元の食を学ぼう!
日 時 : 2012年 8月25日(土)9:30~13:00
場 所 : 五色台クラフトハウス
参加費 : 500円/人(保険込み)
持ち物 : 汚れてもいい服装、エプロン、飲み物、暑さ対策
     (クラフトハウスは冷房設備がありません)
※定員20名になり次第締め切らせていただきます。
 また安全管理や進行上、遅刻された方は参加をお断りさせて頂きます。
問合せ : 五色台ビジターセンター (TEL:0877-47-2479)
     http://goshikivc.web.fc2.com/

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2012年07月30日季節のクラフト教室 【蜂蜜絞りと蜜蝋キャンドルづくり】その1

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

みなさんはミツバチの巣箱って見たことがありますか?
そもそもミツバチ自体見たことがありますか?
今月のクラフト教室は、そんなミツバチ達からの贈り物、ハチミツを使った
蜜絞りと蜜蝋キャンドルづくり体験。

今回、講師を務めて下さるのは、五色台の麓にある中田養蜂さん。
ここの養蜂所のハチミツは、香川県内にある某有名オーベルジュや洋菓子店などでも使われているそうです。
国産、しかも地元産となると珍しいですし、何より美味しいと評判。

開会のあいさつを終えると、中田養蜂さんの紹介。
事前打ち合わせで「なんと呼べばいいですかね~?」と聞くと
「ハチおじさんとおばさんでいいですよ~」と言っていた中田さんご夫妻、
いざ本番となると、中田さん「ハチおじさんで」
奥さん「じゃあ、女王蜂と呼んで下さい(笑)」
お兄さんスタッフ「僕は働き蜂のお兄さんと呼んで下さい」と。
そんなやり取りに参加者一同爆笑でした。
場が和んだ中、早速ミツバチやハチミツのお話を。


みなさんパンフレット片手に興味津々!

働き蜂が用意した箱を開けると・・・


ミツバチがびっしり!

巣箱に入っている1枚の巣板には2000匹ものミツバチがいるそうです。
2000匹もいたら刺される・・・そんな時にはこの格好。


テレビでも見たことあるんじゃないでしょうか。

帽子に網がついたものを着用して裾を絞ります。
そして手にはポットみたいなものを持っていますが、これは煙を出す「くん煙器」。ミツバチたちに煙で静かになってもらってから巣板を出すのです。


取り出した巣板がコチラ

これは蜜が入っていない状態の巣板。
拡大すると・・・


きれいな六角の巣が見えます

この巣、材料は何か知っていますか?
これは働きバチの腹部から出るロウを使って作られます。
この六角構造にすることで強度が増し、巣が大きくなっても壊れにくくなっています。
スノーボードをする方はご存じだと思いますが、ボードの構造にもこの六角形のハニカム(蜂の巣という意味)構造が使われています。1枚板に六角形に穴を開けることで材料の強度を保ちつつ、軽量化ができます。
生き物の知恵が人間社会にも影響を与えているのですね。

そして、いよいよお待ちかね!
ハチミツ絞り体験です。

まず最初に巣板を取り出し、取手が付いている側を自分側にして縦にします。
包丁を巣板と平行にして・・・


白いとこが蜜蓋

模範では簡単そうに見えたのですが、いざやってみると難しい!
蜜蓋が取れないからといってグッと包丁を入れると一気に蜜が出てきてしまうし、鋸を引くようにと言われても蜜がくっついて・・・。
巣の上に蜜蓋ができているので、あまり包丁を入れすぎると巣が壊れてしまい、それをミツバチ達が修復するのに時間がかかるそう。
蜜蓋が取れたら手動の遠心分離器に入れて・・・


一気にまわす!

遠心力で一気に巣から蜜が放たれます。
「この蜜が飛んでくる瞬間がすごくきれいだから見ておいて」と蜂おじさん。


拡大すると↑↑

蜜が飛んだ瞬間、見ていた参加者から歓声が沸きました。
透き通った金色の蜜がキラキラと光ってこれまたキレイ☆
思いっきり回して蜜を飛ばしきったら、


巣板をひっくり返して、遠心分離器にセットし直します

そして回す人も交代して



小さい子も手が届く範囲までつま先立ちして一生懸命まわしました。
ちなみに1回目に回した赤いシャツの男の子。
後ろ向きで顔が見えないのが残念ですが、回した瞬間すっごい笑顔に!
よっぽど楽しいのか回している間終始笑っていました。
こんな笑顔見せられたら、主催する側もめちゃくちゃうれしいです!
そして、絞りきったらいよいよ手渡された瓶にハチミツを入れます。


絞りたてのハチミツ!

ハチミツ絞りは1回につき2家族ずつ行いました。
順番を待っている間は「働き蜂のお兄さん」が講習会。
蜂の生態やどうやって蜜ができるのか、蜂の巣箱って一般の人でも持てるのかなどなど、参加者はあまり見ることのできない巣箱やミツバチのことを矢継ぎ早に聞いていました。


この中で女王蜂はどれ?

ミツバチが群がる箱の中。
さぁ、みんなは女王蜂を見つけられたでしょうか?
答えは・・・


黄色い印が付いたのが女王蜂

みんなが分かりやすいようあらかじめ印を付けてくれたそうです。
しかしよく見ると大きい!
これだけ近くで見られることはないので、働き蜂との違いをしっかり見比べていました。
ハチミツ絞りが終わってもなかなか質問タイムが止みませんでしたが、一旦席へ戻ってもらうことに。
そして手元には中田養蜂さんで取れたハチミツが乗ったお皿が。
4種類のハチミツを使って、味や匂いはどう違うのか食べ比べてみようというもの。


よく見るとまず色が違いますよね?
お皿に移してもらうと・・・


食パンに付けて食べてもらいます

よくスーパーなどでも売っているハチミツは、大抵がレンゲの蜜です。
ここでは、山レンゲ、みかん、ビワ、そしてそばの4種類。
そばは独特の風味があり個性的ですがヨーグルトに合うそう。
またビワは花が冬に咲くためその蜜自体珍しいそうで、ブルーチーズなどに合うそうです。
みんなはどのハチミツがお好みですかね?
ハチミツ同士が混ざらないようにして、さぁ試食!


どれどれ

感想を聞いてみると、子どもに人気なのはダントツで山レンゲ。
山レンゲだけを平らげる子もいれば、4種類とも万遍なく食べてみる子も。
そばは後味が残るというか、大人の味?なようで子どもは
「薬っぽい、苦い」という子が結構いました。
私も味見させてもらいましたが・・・そばが一番好きでした。

配ってもらったハチミツだけでは物足りないのか、お昼前で少しお腹が減ったのもあったのかついついこっちにも手が伸びている子が。


取れたては美味しい!

このハチミツ、その花の蜜を取ってくることでその名前がアカシアだったり、山レンゲだったりするのですが、実際に花の蜜って舐めたことありますか?
私も小さな頃よくサルビアやホトケノザの蜜を吸っていましたが、ハチミツほど甘くなかった。
そう、ハチミツは花の蜜そのままではなく、ミツバチが一度体内に取り込み、頭部にある分泌線から特別な酵素を加えてブドウ糖と果糖の2種類の糖に分解しているのです。そうすることで5~10倍の以上に濃縮され、みんなが食べているようなハチミツができあがるんです。

またハチミツだけではなく、健康食品として有名なプロポリスやロイヤルゼリーもミツバチから作られたものです。ロイヤルゼリーも蜂の体内から作り出されたもので、若い雌蜂(人間でいうと14~20才前後)が花粉や花蜜、ハチミツを食べて唾液腺で生合成を行って、顎の外分泌腺から出す乳白色クリーム状の物質のこと。
女王蜂はロイヤルゼリーを食べることで、自分と同じ重さの卵(約1500~2000個)の卵を産み続けることができるスーパー栄養食品なんです!
それにミツバチたちが花粉を運ぶことで、イチゴやメロンなどが甘く大きく作られるんですよ。

ミツバチ達が作り出すものの凄さとその大きな働き、そしてそれらが人間社会に大きく関わっていることが分かった蜜絞り体験でした。

※長くなったので蜜蝋作りはその2につづく。

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2012年07月24日【自然情報】 屋島その2

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

その1に続いて同じく屋島より。

屋島を巡視していると、植物の他にも見かけるのが昆虫たち。
南嶺は屋島寺や水族館、旅館、レストランなど観光施設が集まる場所なので、
いないんじゃないかと思われるかもしれませんが、意外と見つけられます。
駐車場近くにある広場では・・・

【ツマグロヒョウモン】 チョウ目タテハチョウ科

翅には豹のような紋様があり、前翅先端部は黒~青色でその中に白いラインが見えます。
この写真のツマグロヒョウモンは雌で、雄は前翅に黒~青の色づきがありません。
他のヒョウモンチョウ類は大抵年1回しか発生しないのに、このツマグロヒョウモンは年4~5回発生する多化性という例外な種類でもあります。
またツマグロヒョウモンの雌は、遠目で見ると【カバマダラ】という毒を持ったチョウに似ており(擬態)、鳥に襲われないという特徴も持っています。

その近くの空き地にはヒメジョオンが咲き、周りにはヒラヒラと
よく見かけるチョウが。


【ベニシジミ】 チョウ目シジミチョウ科

見えている翅は裏側(チョウで言うと腹側の翅)。
みなさんよく見かけるのはコチラ側だと思います。
ベニシジミは年3~5回成虫が発生し、発生する時期によって春型、夏型があります。
何が違うかと言うと・・・。


春型ベニシジミ

夏型ベニシジミ

赤丸部分、前翅の表側(チョウの背中側)の違いが分かりますか?
春型はオレンジ、夏型になると黒っぽくなり黒丸模様も少し大きくなっています。
今の時期、ちょうど春型と夏型両方が見られました。
蜜を吸うのに夢中なのか、人が近づいてもヒメジョオンから離れませんでした。

南嶺の巡視を終えて、北嶺へ行くと5月頃にたくさん見られたマイマイガの幼虫が成虫になってヒラヒラと飛んでいました。
その2ヶ月前にはサナギや幼虫がいっぱい張り付いていた北嶺の案内板。
やっといなくなったかと思いきや!


ベージュの卵塊がいっぱい・・・

表面がフワフワしているのは、成虫腹部の鱗毛が覆っているからです。
それにしても1卵塊につき卵100個から成り立っていると言うから・・・。
一体次はどれくらいの成虫が飛び回るんだろう。。。
生み付けられた卵はすぐに生育を始め、卵の中で1齢幼虫の状態で越冬し、また来年の今頃成虫になって飛び回ります。しかし、飛び回っているのは白い個体の雌ばかり。雄は一体どこにいるんでしょうかね。
そして看板をよーく見ると卵塊の近くや下には成虫(雌)が。


全く動きません。。
卵を産んで力尽きたようです。。。

子孫を残すために母は自分の命と引き替えに卵を産みます。
どの世界も母は強しです。

そして広場の芝生の中では見たことのない派手なのが。


【ビロウドハマキ】 チョウ目ハマキガ科

前翅は黒地に白い水玉模様に赤いラインが入っています。後翅は豹紋のよう。
蛾とは思えないキレイな翅を付けていました。
さて、蛾とチョウ。
同じチョウ目ですが何が違うのか。
チョウは昼間活動するため、色を見分ける複眼が発達し、蛾は夜活動することが多いため、匂いや音を感知する触角が発達しています。

この他に北嶺広場の池の周りではトンボがたくさん飛んでいました。


【ショウジョウトンボ】トンボ科

あでやかな赤になるのは雄。雌は成熟すると黄褐色になります。
ショウジョウトンボは五色台でもよく見られ、ここ屋島北嶺では毎年見ることができるトンボのひとつ。
そして、よく見られるのはコチラも。


【キイトトンボ】イトトンボ科

ちょうど交尾を終え、連結態のまま産卵に入っているのでしょうか。
雄(上側)は連結したまま直立姿勢になって、雌を外敵や他の雄から守っています。
他にも黒く光沢のある翅を持つチョウトンボ、
躯の青と黄緑が映えるクロスジギンヤンマ、
黄褐色で躯がズングリしているヨツボシトンボや
青白い躯でお馴染みのシオカラトンボなど見られます。

屋島は市内に位置し、麓は住宅地や商業施設が広がる地域。
目立って珍しい植物や生き物はいないかもしれません。
それでいいんです。
香川は住宅地が広がる中に田畑やおにぎり山が点々と存在する、人と緑、生き物たちが存在する場所。
日頃忘れがちなこの身近な自然環境こそ、瀬戸内の特徴なんです。

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2012年07月23日【自然情報】 屋島北嶺その1

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

3連休明けの先週、四国は梅雨明けしました!
今からは太陽がジリジリと照りつける夏。
瀬戸内は日差しが強いので、外に出る時は必ず帽子、日焼け止め、水分補給を!

そんな梅雨明けする少し前、屋島へ巡視に行ってきました。
駐車場から約20分歩くと、広場のある北嶺へと到着。
利用者カウンターをメンテナンスしていると、いつも会う屋島のリピーターさんがやってきました。
「広場行った?ネジネジの花咲いてるよ」と。
この方は毎日屋島を歩いている方で、会う度にいろんな情報を教えてくれます。
昨年、ミサゴの営巣もこの方からの情報提供。
メンテナンス後、付いていくと・・・。


【ネジバナ】ラン科ネジバナ属

別名:モジズリ。
この名前は百人一首にも出てくるので、ぜひ探してみて下さい。
そして、ネジバナのねじり方向、どっちだと思いますか?
実は、左巻き、右巻きどちらもあり、中にはねじらない個体もあるんだそう。
ネジバナなのに・・・。けど、見つけたら結構珍しいかも。
ネジバナの生育環境は畦や堤、野原の芝地など人の生活圏近くですが、意外と見つけられません。それとは別に園芸種として栽培されているものもあるようです。
ネジバナの近くにはさらに小さな花が。


【ヒメヤブラン】ユリ科ヤブラン属

芝生の中に埋もれて咲いているので、よーく見ないと踏んでしまいそうな位。
薄紫の小さなこの花は、姿が小さく可愛らしいことからこの名になったそう。
ついつい目立つ花に目が行きがちですが、草原の中で目を凝らして見ると、他にも小さく可憐に咲いている花が見つかるかもしれませんよ。
そして、近くにある池に行くと、


【コウガイゼキショウ】イグサ科イグサ属

和名は【笄石菖】
笄(こうがい)とは、日本髪を結う時に使う飾りのことで、かんざしの様なものです。花茎や葉の平たい姿をかんざしに例えたようです。
コウガイゼキショウは、水田や湿地に生える多年草で、花序は中央から枝先へ次々に咲いていくこの類特有の集散花序。7~10個の花が集まった頭花を多数付けており、今の時期見られます。


【カンガレイ】カヤツリグサ科ホタルイ属

茎に付いているのは小穂。茎を切ると断面が三角になっているので、サンカクイともよく似ています。カンガレイは【寒枯藺】とも表示され、冬にかれた枝が残っていることからこの名が付いたとされています。
水田や池のほとりでも見られるカンガレイですが、私はここでしか見たことないんです。
リピーターさんも「これは珍しいんじゃない?」と言っていた位。

これら植物の名の由来は、多くが何かに例えられたものばかり。
そしてもう一つの共通点は、人の生活圏の中で生育している植物だということ。
しかし今、その場所で見られるはずの植物が見られないということは・・・?
それは昔は土で覆われた畦や用水路、堤などがどんどんコンクリート化した影響なのかもしれません。

これらの植物を指標にすると、自分の住んでいる場所がどのように変化したのか。また両親や祖父母に、昔と今では何が見られて何が見られなくなったかなど聞いてみるのもいいですね。

・・・屋島北嶺その2に続く・・・

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2012年06月29日父の日プレゼントは手作りで☆

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

報告が遅くなりましたが、
6月17日(日)に五色台を飛び出して、サンポート高松・かがわプラザにて
【ホタルと環境を考えよう】イベントに参加してきました。
ここでは、毎年五色台ビジターセンターからクラフト教室を出展。
今年も父の日ということで、メッセージカードづくりを行いました。


今年は建物内でのクラフト教室です

置いている木の実や道具に興味を示した子ども達。
自分から「作りたーい!!」と率先して始める子どもから、
お父さんにプレゼントするのは照れくさいのか、
お母さんに「お父さんにプレゼントしたら?」と促されながら作り出す子ども達。

好きな色紙を選んで、お父さんへの日頃の感謝を込めて、
メッセージを書いていきます。


何て書こう?

まだ文字の書けない小さな子は似顔絵にしたり、自分の好きな昆虫の絵を描いたりとシンプルなものから凝ったものまで。
メッセージが書けたら板に貼り付けて、その裏に焼きペンを使ってメッセージを書いていきます。
表を見て、さらに裏にもメッセージがある!という2度?おいしいメッセージカード。
焼きペンは、先がかなり熱くなるので注意しながら焦げ目をつけていきます。


真剣な眼差しでみんな書いていきます。

右のお母さんは特に器用で、絵も可愛らしく付けていました。
子ども達もできる子は自分で下書きに沿って焦げ目を付けていきました。
最初は道具にビクビクしていた子ども達がどんどん挑戦していく姿は
近くにいたお母さん、お父さん達も目を見張ったのではないでしょうか。

そして、最後の仕上げ。
色紙を貼り付けた周りに五色台で採れた木の実を貼り付けていきます。


お母さんと一緒に最後の仕上げ!

ドングリやアメリカフウなど、大きな木の実はホットボンドを使って貼り付けます。
これも熱いボンドが出てくるので注意しながら付けていきます。
ここで意外と人気だったのが「ヒマワリの種」や「乾燥トウモロコシ」
ヒマワリの種で花模様を作ったり、ここでも子ども達の思いつきが発揮!
小さなモノはホットボンドでは危ないので木工用ボンドで。

そして、いよいよ完成です!

出来映えにみんなニッコリ☆

大事に持って帰って、お父さんに「いつもありがとう」って言いながら
渡せるかな?

この日は、ホタルもやって来ているということで、たくさんの親子連れが見えました。
ホタルが見られるということはどんな環境なのか、また生き物がたくさん棲むにはどんな場所を守らないといけないのか、私たちにできることは?など
いろんなことを考えてもらえればと思います。
自分たちの子どもや孫の世代にみられなくなるのは寂しいですよね。

このほか、後方では、香川県みどり整備課が別のクラフト教室を行っていました。
葉の葉脈を薬品を使って透かして見えるようにしたものをラミネートして栞にしたり、間伐材や松ぼっくりを使って昆虫やオブジェを作ったりと
自然のものに身近にふれあえた1日だったと思います。


キットを受け取ったら思い思いに作業。

五色台では、月1回のクラフト教室のほかにも、随時受け付けているクラフト教室もあります。
竹とんぼやバターナイフ、木製ストラップや丸太パズルなど。
また遊歩道の自然観察なども随時受け付けていますので、
ちょっと自然の中に行きたいな~と思ったら是非!
高松、坂出両市内から車で約40分であっという間に緑の中へ。

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2012年06月21日蛾蛾

瀬戸内海国立公園 高松 大林めぐみ

梅雨の晴れ間の五色台。
クラフトハウスの展望台近くでなにやら白いモノがヒラヒラと。
しかもたくさんいる。。


ぱっと見はモンシロチョウ。
赤丸以外にも実際はたくさん飛んでいます。

インタープリター(以下IP)に
「あれなんでしょうね?五色台あがる途中にもやたらいたんですけど。」
と聞くと、
「多分、マイマイガかクワゴマダラヒトリじゃないですかね」と。
クラフト教室終了後、捕まえてじっくり調べてみようと。
すると。。。





あれ?
図鑑と比べると羽根が真っ白でやや透けているし、触角も違う。
IPと一緒にあーだこーだとネットやら図鑑やらで調べましたが、
その日は迷宮入りに。
翌日再度調べると、【キアシドクガ】だと分かりました。

食草はミズキやクマノミズキ。
幼虫は、体が黒く黄色の斑紋があり、毛が長いのが特徴。
ドクガとありますが、キアシドクガの幼虫には毒はありません。
一般に毛虫の目立つ長い毛は無毒で、毒毛は長い毛の合間に
短く束になって規則的に配列されているそうです。
これら毒のある毛を【毒針毛(どくしんもう)】と言います。
毒針毛は抜けやすく、刺さると皮内でヒスタミンを放出するので、
かゆみが起こり、赤くかぶれたりします。
毒針毛は肉眼では見えづらいので、興味本位に毛虫には触らないようにしましょう。

キアシドクガの幼虫を目にすることはなかったのですが、こんなにたくさん発生しているということは、きっと食草となったミズキなどは丸坊主のはず。
今の時期、やたら葉がなくなっていたり、かじられた跡がある木を見つけたら、それはその木を食草とする昆虫が育った証拠。
樹木が丸坊主になっても、たいていの場合は再生する力を持っているのでご心配なく。マツクイムシなどのように例外もありますが。。。

すでに成虫になっているキアシドクガの他に、
今から成虫になろうとする蛾の幼虫もたくさん見かけます。
今年、五色台で一番見かけるのが。。


5月下旬。
イタドリがもうボロボロです。
その正体は。。。


【クワゴマダラヒトリ】
チョウ目・ヒトリガ科

食草は名前の通りクワですが、それ以外にもカシワ、クリ、サクラの広葉樹など何でも食べるようで、五色台ではイタドリがほぼ全滅。
こちらも毒はありませんが、毛が刺さることがあります。
他にも見かけるのが、


【マイマイガ幼虫】

【マイマイガ老齢幼虫】

う化した後、幼虫は糸を吐いて枝などにぶら下がり、そこから分散して育っていきます。そのことから別名【ブランコムシ】とも呼ばれるようです。
このマイマイガのように、体の斑紋色が変化する蛾の幼虫もいます。
よく見ると可愛らしい顔して、黄色と黒の体色に赤と青の斑紋がキレイですね。
マイマイガは、1齢幼虫は毒針毛を持っていますので要注意!
今年は屋島で多く発生しており、壁面などに黒いサナギが残っていますので、
興味ある方はよく観察してみてください。




そんな中、最も興味を持った毛虫がコチラ。


【クスサン(楠蚕)】
チョウ目・ヤママユガ科

クスサンは、白く長い毛があることから、別名【シラガタロウ】とも呼ばれているようです。
食草は主にクスノキですが、五色台ではクリの木にいっぱいいました。
クリの木の側に行くと、「ペキペキ」と音がします。
よく見ると、クスサンがクリの葉を食べている音でした。


食欲旺盛!

クスサンも毒針毛はありませんが、触らないに超したことはないでしょう。
このクリの木にいた半分の幼虫が終齢を迎えていたので、これからサナギになるところを観察していこうと思います。

蝶と蛾。
片方はキレイと言われ、もう片方の蛾は嫌がられがちですが、同じチョウ目。
今回、色々と蛾を調べていくと、蛾の羽根も触角もそれぞれ特徴があって
またキレイだなぁと思いました。
あと、よーく見ると実は蛾の方がカワイイ顔をしたものが多いことに気付きました。
これから街灯や窓にぺたっと張り付き寄ってくる蛾。
「うわっ」と思う前に、まずはじっくり観察してみてはいかがでしょう。
羽根の模様も蝶とは違った美しさがありますよ。



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