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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大山隠岐国立公園 松江

150件の記事があります。

2011年03月15日宍道湖の野鳥調査

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

以前の日記でも話題に上げましたが、松江のアクティブレンジャーは渡り鳥が渡ってくる冬場、毎月上・中・下旬と宍道湖の野鳥数調査をおこなっています。
今回の調査の時は、春が来たのかと錯覚してしまうようなぽかぽか陽気となりました。
ですが先週は雪も薄ら積もるくらいに寒い日もありました。
まさに三寒四温と言う言葉がぴったりくるような季節です。


マガン達は冬の田んぼ、そして道路も占領しています

渡り鳥の鴨達は最盛期の頃から比べてだいぶ少なくなってきました。
一番多かった時期は観測数2万羽を超えましたが、今回は鴨たちにとっても“お散歩日和”にもかかわらず、2千羽を切っていました。

白鳥達は今回は草地で餌をついばんでいました。
まるで大陸の草原地帯にでもいるような光景でした。
彼らの穏やかな様子を見ていると、人間達が鳥インフルエンザで騒いでいるのも、東北での大災害もうそのように思えるのですが・・・。


前回調査時は、泥に頸を突っ込んで餌を探していました
白い白鳥が顔中泥だらけにしている姿はちょっとユーモラスです

わたしの故郷は東北です。
幸いにも故郷は人も物も被害は少ない様です。
それでも店に食料品が無い、石油が手に入りにくい、物が入ってこないと友人達は言っています。
ましてや被災地の避難所で生活されている方、必死の救援活動をされている方、どれほど大変な思いをされている事でしょう。
いまだガレキの下で救助を求めている人がいるかもしれません。
凍てつく寒さの中で食料も無く孤立している方がいるかもしれません。
何とか生き抜いてほしいと願うばかりです。
この大災害に対して私が出来る事は何があるのでしょう。
私一人ではちっぽけな事しか出来ません。
それでもほんのわずかな力でも日本にいる全ての人が協力し合えば、きっと大きな力になるでしょう。
是非ともこの困難に日本の皆で助け合って、立ち向かっていきたいものです。


飛び立つマガンの群れ

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2011年02月14日登山者カウンター撤去

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

アクティブレンジャー日記で何度か取り上げられていますが、国立公園内に「登山者カウンター」なる物を設置しています。
島根県では三瓶山の登山道に設置していました。
冬には雪が積もるため撤去する必要があります。
ですが年末は鳥インフルエンザなどの業務で非常に忙しく撤去できませんでした。
初日の出目的の登山者がいるのか知りたかったですし、幸い雪は積もっていないとの事、年が明けてから撤去する事にしました。
ところがです。年末年始山陰はトップニュースになるほどの大雪に。
私の業務は更に忙しくなり、仕事を打ち負かす前に自分がダウン。天候も悪い日が続き、心配しながらもなかなかお迎えに行く事が出来ないでいました。

その登山者カウンター撤去にやっと行く事が出来ました。

真っ青な空に真っ白な雪原 三瓶山が映えます

さて設置したのは2箇所。そのうち西ノ原登山道は500m~1Km車道から歩かなければなりません。
あるだけの服を着込み、カンジキ(スノーシュー)を履き、スコップを担いでいざ出陣!
ところが今日は最近珍らしい晴天。
歩き慣れないカンジキに、少し歩いただけで汗ばんできました。
スタートが少し遅れてしまったので少し気がはやります。ですが急げば汗をかき、それが冷えれば体温を奪う。
はやる気持ちを抑えて冷静に脚を進めます。
芝生広場の奥はススキ草原、更には藪となっているのですが、今はただ銀世界が広がっているのみです。

そしてその雪原の中にありました。
すっかり埋もれていましたが、破損もなく無事カウンターの記録もされています。
一安心です。


我いとしの登山者カウンター 無事であったか

カンジキを外し早速スコップで雪を掘ります。
北国育ちの私。除雪には多少慣れています。でも除雪してもその下の土は根っ子が貼り巡され歯が立たない。
支柱を力任せにゆすって外そうとしましたが機材が壊れてしまっては大変。
焦る気持ちを抑えてボルトを外し機材の付いている支柱を取り外し、急がば回れ、自分に言い聞かせて作業を進めます。


撤去したぞ、とガッツポーズ でもこの後担いで帰らなくては・・・
この写真 タイマーセットし一人で撮ってます ちょっとせつない・・・

今日は天気が良くて本当に助かりました。
これが悪天候だったらどれほど作業が大変だったか。
帰り道、重い登山者カウンターが肩に食い込み痛いのですが、撤去出来た安堵感のせいか、下り坂のせいか脚は軽やかに進みました。
「よし、あともう1台。日が暮れる前に撤去できるぞ。」


三瓶山の周回道路の一部にはまだこんな所も
東北生まれの私もこんな雪道を通るのは昭和以来です

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2011年02月02日鳥インフルエンザに慌てない

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

どうも御無沙汰しておりした。
今年も早1ヶ月が過ぎましたね。
松江は年末年始に記録的な積雪となり、その後も毎日のように雪が降っています。
初めての島根県の冬。
なんだか聞いていた以上に、雪国といった感じです。
皆さんこの雪に手をやいています。

私はと言えば昨年11月末に島根県で鳥インフルエンザが発生し、それ以来その対応業務、その他の業務も重なり忙しい日々を過ごしています。
鳥インフルエンザに関しては、国指定の鳥獣保護区である宍道湖の巡視を強化、死んでいる野鳥の回収・検査所に搬送、などなどをおこなっています。


時折風雪となる宍道湖を今日も巡視です

初めて死亡野鳥の連絡を受け回収に行った時などは、突然の通報・私も周りも初めての経験・そして自ら行動しなければならない場面にとても緊張ました。
通常とは違う事態に気が張りつめる、仕事に追われる、布団に入っても寝付けない、そんな日々が続いたものです。
それも今はすっかり型にハマってきました。
レスキュー隊の様に通報をいただいて速出動です。
忙しさにも胃をやられ寝込んで以来「もうじたばた慌ててもしょうがない」と悟りました。

先週末は巡視中に見つけた死亡野鳥から鳥インフルエンザウイルスが見つかり、その為の糞便調査の糞採取をおこないました。
東京から自然環境研究センターの方がいらっしゃり、また米子事務所の自然保護官とも共同でおこないました。


糞便調査は取材がありました(もちろん私は裏方で準備対応です)

採取2日目は時折冷たい風と雪に見舞る事も。
薄いゴム手袋だけの手が冷たい。
普段糞がどこに落ちているかなどと探す事はありません。
はじめはいくら探しても見当たらず心配になったり。
でもある所のはある。釣りと同じでポイントが重要でした。
まさか新鮮なウンコがある場所を、恋しく探し求めるとは・・・。


寒風にも負けない肉ジュバンをまとった角自然保護官(すみません)
写真を撮られているのも気付かないほど業務に打ち込んでいます

鴨の糞は普通連想する いわゆる「鳥の糞」と違い、人間の様に“固形”です。
場所や個体差により、ねっとりした物、繊維質の物、くだけた貝殻の塊のような物また色も様々でした。
様々なのもやはり人間と同じですね。

今全国で鳥インフルエンザの発生が確認され、鶏などの家畜農家さんなどは非常に大変な思いをされているかと思います。
一般の皆さんにはどうか冷静な判断と対応をとっていただきたいと思います。

詳しくは下記URLから「鳥との接し方について」をご参考ください。
http://www.env.go.jp/region/topics/101209.pdf

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2010年12月15日第2回 三瓶山地区子どもパークレンジャー

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

寒くなりましたねぇ。いま松江では強い風に雪が舞っています。
11月末に島根県安来市の養鶏場で鳥インフルエンザが発生しました。
そのため近隣である宍道湖での野鳥の巡視強化など、対応で忙しい日々を過ごしていました。
そんな中、私にとってもう一つ大きな企画が迫っていました。
子ども達の自然体験学習活動「子どもパークレンジャー」です。
松江事務所の今年度2回目の活動が、国立公園の三瓶山で1泊2日の日程でおこなわれるのです。
私はアイスブレイクや朝の集いなどを担当する事となり、慣れない事に頭を悩ませ試行錯誤していました。
さらに開会閉会式のあいさつなども急きょやる事に・・・。

今回のテーマは「三瓶の森の豊かさを調べよう」と言う事で、森の土の様子を観察し、そこに住む生き物たちを調べました。
三瓶山は数日前に降った雪が残り、子ども達は野外に出るたび雪合戦を始めました。
それでも寒い中、地面をほじくり枯れ葉が土に変わる様子を観察し、生き物を熱心に探していました。


何かいないかな?寒さなどおかまいなし。地面をほじくります。

翌日にも森の中を散策し、三瓶自然館の学芸員の方の指導で、もう一度土の中の虫たちを探しました。
その甲斐あって回収容器の中は、土の中の虫たちの小さなワンダーランドと化しました。
ザーという森をゆらす風音が鳴る静けさの中に、子ども達の元気な声が聞こえました。


今日は色々見つかるぞ!雪の下にもこんなに生き物いるのか

室内では採って来た土から、小さな生き物たちを探しました。
子どもたちは目を凝らしてのぞき込みます。その表情はテレビゲームをやる時よりも一生懸命です。

見つけた生き物を虫メガネや実体顕微鏡で観察します。
普段見る事のない小さな生き物たちの姿。    
その土にいる生き物の種類によって点数が分かれ、土の豊かさを診断する事が出来ます。
ですが見つけた生き物の種類を特定するのは難しく、私たちスタッフも首をかしげる始末。
学芸員の方が、あっちからもこっちからも呼ばれて大忙しです。


女の子達も一生懸命です。

夜にはスターウォッチングをおこないました。
今夜は流れる雲と雲の間から三瓶の輝く星々を観察することが出来ました。
子どもたちは双眼鏡でスバルを観察し、見える星を記録しました。
また天体望遠鏡で月のクレーターや木星の表面をのぞきました。
恥ずかしながら初めて天体望遠鏡をのぞく私は、子ども達より喜んでいたかもしれません。


屋根ごとスライドして星を観察できます。ねころんで星をじっくり観察できるなんてゼイタク。

お風呂では他のお客さんがいないのをいいことに、大浴場で暴れ放題。私もその巻き添えをこうむる事となりました。

今回のテーマはカブトムシの様な人気の昆虫や美しい花でなく、普段目を向けられることのない土とその中の小さな生き物たちと言う地味な題材でした。
ですがなかなか面白い活動となり、子ども達も関心を持ってくれました。
陸上の全ての生き物たちにとってまさしく母なる大地。
このかけがえのないものに、ほんの少しでも子どもたちが気付いてくれたならと思います。


最後は班ごとまとめて発表しました。

今回もボランティアスタッフの皆さんが協力してくださったおかげで、この活動を成功させる事が出来ました。
本当にありがとうございました。
皆さんのおかげで子ども達は新たな何かを発見し、ちょっとだけ成長したことでしょう。
この日記を見つけてくれた小中学生の君!来年ぜひ応募してね!

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2010年11月19日今年も冬の使者がやってきました

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

宍道湖(しんじこ)は松江市街に隣接した巨大な湖です。
むしろ宍道湖の畔に松江の街があると言った方が正しいでしょう。
松江事務所では、毎年宍道湖に訪れる冬の渡り鳥の調査をおこなっています。
ここはラムサール条約にも登録されている野鳥たちの楽園です。
冬にはたくさんの水鳥たちが越冬します。
マガン・小白鳥・色々な種類の鴨など、今年度からやって来た私には初めて見る鳥がたくさんいます。
湖に散らばる物凄い数の鴨たち。
今回の調査では1つの観測場所から1万羽以上の鴨たちが確認されました。


湖に浮かぶ無数のゴマ これが全部水鳥たちです

付近の田んぼで餌をついばむ小白鳥やマガンの群れ。
二番穂の茂る田んぼから、ヒョコヒョコ頸を出す姿がかわいらしいです。



また今回この辺りでは珍しいクロヅルの姿も1羽見られました。
もちろん私は初めて見る野鳥です。


水をはった田んぼ ちょっとした工夫により白鳥たちの憩いの場になっています

これから更に多くの鳥たちが越冬の為にやってきます。
厳しい冬の調査もこれからが本番です。


写真中ほど左右に小さい2羽見えますか? 「タゲリ」です この鳥も初めて見ました 冠羽の特徴的な美しい鳥です


******************************
『締め切り間近!』
*第2回 三瓶山地区子どもパークレンジャー大募集!*
開催日    :12月11日(土)~12日(日)
応募締め切り :11月21日(日)

・小学4年生~中学3年生のみんな。楽しく自然の不思議を学ぼう!
・お問い合わせは、島根県立三瓶自然館「サヒメル」まで。
 TEL 0854-86-0500
 ふるって応募くださ~い。


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2010年11月10日自然公園指導員研修会

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

めっきり寒くなってきましたね。
今日は灯油を買って帰ろうと思います。
ところで話はかわかりますが、自然公園指導員をごぞんじですか?
これは国立公園・国定公園などの保護や適正な利用のために、利用者へ決まり・マナー・事故防止などの指導、公園のパトロール、情報収集などをボランティアでおこなってくださっている方々です。

先日の日曜日、大山隠岐国立公園を範囲に活動してくださっている、自然公園指導員の研修会がおこなわれました。
大山隠岐国立公園は鳥取県・岡山県・島根県と3県にわたっています。
今回の会場は鳥取県の米子市です。
休日を返上して3県から自然公園指導員の方々が集まってくださいました。




研修会では鳥取大学の永松先生による講演もおこなわれました。
普段聞く事の出来ない自然に関する興味深いお話し。
さすがに皆さん自然好きな方ばかりですから、熱心に耳を傾けていました。

意見交換の場では、私たちが気付かなかった事、現場を見て回っているからこそ言える貴重な意見が沢山出されました。
参加してくださった皆さん、ありがとうございました。


皆さん興味深いお話しを熱心に聞かれています


私達レンジャーだけでは公園内を見回る事などとうてい出来ません。
自然公園指導員の方々の活動が大きな力になっています。
活動されている皆さんも楽しみながおこなっておられます。
どうですか、あなたも自然公園指導員になってみませんか?


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*第2回 三瓶山地区子どもパークレンジャー大募集!*
開催日    :12月11日(土)~12日(日)
応募締め切り:11月21日(日)

・小学4年生~中学3年生のみんな。楽しく自然の不思議を学ぼう!
・お問い合わせは、島根県立三瓶自然館「サヒメル」まで。
 TEL 0854-86-0500
 ふるって応募くださ~い。




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2010年10月25日ウスイロヒョウモンモドキ保全活動 オミナエシ植え

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

三瓶山の「ウスイロヒョウモンモドキ」と言う蝶が危機的な状態である事は、先日14日の日記でお伝えしました。
でもそれで手をこまねいているわけにはいきません。
蝶たちが生きていたとき、そこに食べ物が無かったらどうでしょう。
この蝶の幼虫はオミナエシと言う草を食べますが、そのオミナエシは減っていました。
そこで三瓶山では長年、オミナエシを植える活動を続けてきました。
近年は地元の志学(しがく)小学校の子ども達と、保全を続けてきた皆さんとでオミナエシの苗を植えています。

この日は気持ちのいい青空。
子どもたちと苗や道具を持って三瓶山を登ります。
現場に着くと今まで植え続けてきたオミナエシが花を咲かせ、実を結んでいました。


オミナエシの花が子どもたちを迎えてくれました

今回植える所は草刈りや枝払いなどして整備してきました。
そうやって少しづつ環境を作ってきたのです。
現場は斜面。そして根っ子が張り巡らされていて、なかなかスコップが地面に入って行きません。
大人でも大変な作業です。皆さん額に汗しながら耕しました。


歯が立たない地面に立ちつくす子、飛び上がって掘ろうとする子、さまざまです

そして持ってきた苗を植えます。
かなり密集しているようですが、自然界で定着してくれるのはわずか。
集団で対抗しないと藪の中に呑みこまれてしまうんですね。
自然界の厳しさを感じさせます。


皆さんの力でオミナエシの畑ができました

これでオミナエシが根付いてくれて、そしてウスイロヒョウモンモドキが舞う姿を見たいものです。

どんな命もそれ単独では生きていけません。
全ては繋がって係わりあって生きています。
ウスイロヒョウモンモドキにはオミナエシが。オミナエシには日当たりのいいススキ草原が、と言った具合に。

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日本のいのち、つないでいこう!【COP10現在開催中】
生物多様性ホームページ http://www.biodic.go.jp/biodiversity/
COP10支援実行委員会  http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/



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2010年10月14日【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで1日前】

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

絶滅危惧Ⅰ種(絶滅の危機に瀕している種)「ウスイロヒョウモンモドキ」
【チョウ目 タテハチョウ科 ヒョウモンモドキ属】

みなさんは「ウスイロヒョウモンモドキ」をご存知ですか。
これは蝶の名前です。
翅がヒョウガラ模様「豹紋」のヒョウモン蝶がいます。
そのヒョウモン蝶に似ているからヒョウモンモドキ。
ヒョウモン蝶と直接の仲間ではないんです。
ヒョウガラの好きなお姉さん方もいらっしゃるでしょうが、ちょっと雰囲気は違いますね~。
モンシロチョウより一回り小柄で、草原をゆるやかに舞います。
日本のレッドデータブックでは、絶滅の危機に瀕している「絶滅危惧Ⅰ種」になっているとても希少な蝶です。
主に中国地方のごくごく限られた場所にしかいなく、島根県では国立公園の三瓶山にのみ住んでいます。

7月上・中旬ごろのわずかな時期にのみ蝶になり一生を終えます。
ススキ主体の草原が住みかで、主に幼虫のうちはカノコ草やオミナエシの葉を食べ、成虫はオカトラノオの蜜を吸います。
この草花がなければ生きていけないので、おのずと住むところは限られてきます。


オカトラノオの蜜を吸うウスイロヒョウモンモドキ

つい30年ほど前まではふもとの草原にもいたそうですが、近年めっきり減って、山頂付近などにわずかに見られるだけになっていました。
この貴重な蝶を守ろうと地元有志・大学教授・自然関係施設・NPO・行政などが連帯して保全・育成活動を進めてきました。


オミナエシの花 ススキ草原に生える植物  幼虫はこの葉を食べます

ところが今年、ウスイロヒョウモンモドキが草原を舞う姿はついに1匹も発見されませんでした。
私は今年春から島根にやってきました。
ですからこの蝶が舞っている姿を見た事がありません。
もう三瓶山に舞うウスイロヒョウモンモドキを見る事は二度とできないのでしょうか。
どこかで生き続けている者がいる事を願うばかりです。

一つの生物の種がこの地上に生まれそして消えていく、その時間の流れとはどれほどのものなのでしょう。
三瓶山に限ってではありますが、その種の終焉と言うものを今僕が見届けることになるのでしょうか。




かつて6千5百万年もの昔、地球では種の大絶滅が起こりました。
そう恐竜絶滅として皆さんご存知でしょう。
ですが今の種の絶滅の速度は、実はあの恐竜絶滅時とは比べ物にならないくらいのスピードだそうです。
現在地球上の種の絶滅の速度は、自然に起こる絶滅の1,000倍以上!
しかもその速度は凄いスピードで加速してきています。
皆さん信じられますか?
ですがそれが現実なのです。

今 地球環境はその様な状態に来ているのです。
それなのに私たちは無関心でいいのでしょうか。
無責任でいいのでしょうか。

その原因は、私たち人間によるものなのですから。
そして・・・それは巡り巡って、私たち自身に降りかかってくるものなのですから。 


※COP10 1日前(10月17日(日))は休日に当たります。そのため、10月14日(木)に、10月17日(日)分の記事を掲載しております。ご了承ください。

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2010年10月07日三瓶山地区 子どもパークレンジャー!

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

あの暑い夏からすっかり秋となりましたが寒暖の差が激しいです。
体調など崩していませんか。
そう言う私はせっかくの休日を体調を崩して過ごしました。

さて「子どもパークレンジャー」という体験学習活動を環境省ではおこなっています。
これは子どもたちに野外などでの活動を通して、自然の大切さを感じてもらうための自然体験活動です。
ここ松江事務所では10年を超える歴史があり、国立公園の三瓶山で例年宿泊しておこなっています。
三瓶自然館の職員、自然館のインタープリター、米子の自然環境事務所のメンバーと協力して子どもたちを支えます。

近年は年2回おこなっていますが、今回はその1回目。
今回は三瓶山の秋の草花とそれに来る虫たちを調査します。
子ども達にとってはクラスや学校の垣根を超え、小中学生をもまたぎ、いつもとは違った活動の機会にもなります。
全てが新鮮な学びの場になるでしょう。



新しい友達と班ごと昼ご飯を食べたら、
さあいよいよ草原に出かけて秋の草花の調査開始です。
一見すると花など見当たらなさそうなのですが、よーく探してみると、ありました。
さあ、いくつ見つけられるかな?
私も草花の名前はあまり知りません。
子ども達と一緒に図鑑で調べたり、自然の好きな人生の先輩方に教えていただきます。
国立公園の指定植物、マツムシ草・ウメバチ草なども咲いていましたよ。


子どもたちは文字通りの「道草」をすることが少なくなってきているのでは  ススキが子どもたちを包みます

夜は三瓶自然館で天体観測です。
ここは大きな屋根がスライドする仕掛けで私もビックリ。
しかし夜は厚い雲に覆われ、闇だけが三瓶山を支配していました。
でもその代わりと言っては嬉しい、プラネタリュウムで秋の星を見る事が出来、スッタッフの方々も心休まるひと時を過ごしました。
この夜子どもたちはなかなか眠らないで、交流を深めていたようです。


「変になっちゃった~!」けど、それもまたおもしろい

さて2日目は草花に来る虫たちを調べる事になっていたのですが・・・昨日とは打って変わっての雨降り。
「虫なんかいないよ」と言う子もいたのですが、それでも調べてみなければわからないと、少しの間観察に出かける事にしました。
するとどうでしょう。予想に反してこんな雨降りでも花に来る昆虫を発見!
やっぱり、何事も実際に調べてみないと分かりませんね。


班の皆で協力してまとめの資料を作ります

午後には皆で採ってきたすすきでフクロウ作です。
皆さんもどこかで一度は見たことありますよね。
同じ作り方のはずなのに、いろんな表情のフクロウができました。
うまく出来なかった子も、家に帰って沢山作ってもらいたいものです。
子どもパークレンジャーを子どもたちは楽しんでくれたようで良かったです。
この体験が自然を愛する気持ちを育む一歩になってくれればと願います。
スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。


「ちょっと恥ずかしいけど なんだか楽しい」


*第2回 三瓶山地区子どもパークレンジャー大募集!*

開催日は12月11日(土)~12日(日)
小学4年生~中学3年生のみんな。楽しく自然の面白さを学ぼう!
お問い合わせは、島根県立三瓶自然館「サヒメル」まで。
TEL 0854-86-0500
ふるって応募くださ~い。


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2010年09月22日三瓶山に登山者カウンターを設置

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

このアクティブレンジャー日記で他のアクティブレンジャーがたびたび取り上げています登山者カウンター。
ここ島根県の国立公園「三瓶山」にも設置しました。
ご存じない方の為に説明しますと、人が道を通過するとセンサーで感知し、カウントする機械です。
これを国立公園の登山道に設置して、利用者の数を計測・把握し、色々な事に役立てようという試みです。
これには設置計画段階から色々と準備をしてきました。
今回やっと自然保護官と私の2名で設置してきました。


自然保護官と共に組み立て開始です


(思った通り)現場での作業は思うようにはいきません。
支柱1本打ち込むにも素直に立ってはくれません。
しばらくして雨も降り始めてきました。
おまけに沢山の数の虫が私の顔の周りを飛び回って歓迎してくれています。
これ、ブヨじゃないか。
蚊取り線香を焚き、タオルを被り、振り払い振り払い作業を進めます。が、奴らは全く手加減してくれません。
完成させるために振り払うのもやめ、たかるのも気にせず作業に没頭です。
そしてなんとか設置完了しました。
帰りには車がスタックまでして、苦労しました。


雨にも負けずブヨにも負けず


今回は三瓶山西の原口の登山道に設置しました。
皆さんこれを見かけられても「これが例の物か・・・」などと登山者カウンターをシゲシゲと観察しないようにお願いします。
誤検知しますので。
なにも見なかったかのように素通りしてください。
ご協力よろしくお願いします。

さて作業を終え、事務所に戻って鏡を見て驚きました。
そこにはお岩さんが写っているではありませんか。
ブヨに刺され、人より大きい私の額の半分が巨大大陸パンゲアに覆われていたのです。
この巨大プレートは瞼をも押し下げ、まさにお岩さんと化していました。
最後まで色々と大変な登山者カウンター設置でした。


これが登山者カウンターです どうぞよろしく でもあまり気にしないで通過してください

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日本のいのち、つないでいこう!【COP10まで26日前】
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