ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大山隠岐国立公園 松江

150件の記事があります。

2012年05月18日はじめまして!

大山隠岐国立公園 松江 前川 文吾

はじめまして!
松江保護官事務所隠岐分室のアクティブレンジャー前川です。

出身は熊本県の八代市です。昭和63年生まれの若輩者ですが一生懸命頑張ります。
学生の頃、地域の活性化を学んでいた時に教授と共に初めて隠岐を訪れました。
その時に隠岐の方々の地域を想う情熱に感銘を受けそのまま隠岐に飛び込んで来ました。

大山隠岐国立公園の隠岐島地区を担当しております。隠岐は4つの有人島と180の無人島からなり、公園の大部分が海に面しています。そこには日本海がつくりだした壮大な景観や、離島での独自の進化を遂げようとしている植物や生き物たち、そこに住む人々の4万年前から続く独自の文化と魅力満載です。未来を担う子供たちや、地域に住む人々、島を訪れた人々に隠岐島地区の素晴らしさを伝えられるよう業務に励みます。よろしくお願いいたします。

通天橋


小津久海岸


外浜海水浴場

今日は隠岐の魅力を簡単にご紹介したいと思います。
まずは隠岐固有の植物から!

[オキタンポポ]

オキタンポポは隠岐固有のタンポポです。
外来のセイヨウタンポポも隠岐にはありますが、場所によってはオキタンポポの群落が保たれている場所もあります。近年、オキタンポポとセイヨウタンポポの交配種も見受けられることから、正確な実態把握のため隠岐では調査が行われているところです。


[オキノアザミ]

隠岐固有のアザミです。
オキノアザミは刺が鋭いのが特徴になっています。
隠岐では牛や馬の放牧と畑作とを年ごとにローテーションさせながら行う「牧畑」が長く行われてきたので「牛や馬に食べられないように刺が鋭くなった」という人もいますが、牧畑が行われた数百年の間に急激に形質が変わることは考えにくいのでなぜ鋭くなっているのかわかりません。


[オキシャクナゲ]

隠岐固有のシャクナゲで、花も美しく一時は乱獲の被害にあっていました。今は栽培が盛んに行われ島内で簡単に見ることが可能ですが、オキシャクナゲの自生地は島後の大満寺山系の一部のみとなっています。



隠岐固有の植物はこの他にも「オキノアブラギク」や「タクヒデンダ」があります。
離島地域は固有種が多いイメージがありますが、隠岐は植物についてこの5種しかありません。

なぜ5種しかないかというと、隠岐は最終氷期の時(2万年前)に島根半島と陸続きでした。その後、離島となってまだ1万年しか経過していません。通説では生物が進化してしまうまでに3万年かかると言われています。したがって、隠岐の植物や動物たちはまだ進化の途中にあるから固有種が少ないと言われています。



その進化の過程を見せてくれるのがこの生物です!!




[オキサンショウウオ]

成体でも体長13㎝くらいしかないオキサンショウウオですが、進化の過程がわかる貴重な生き物です。

サンショウウオは、渓流などの水が流れるところに住む「流水系」と、池や沼などに住む「止水系」の2つに大きく分けられます。オキサンショウウオはこの2つの中間的な特徴をしており、幼生の生息地は渓流ですが手足にイボがないため岩の下などに隠れて流されないようにしています。(※通常の流水系サンショウウオには手足にイボがあり流されにくくなっている。だたし、止水系は流れがないためイボがない)

これは、オキサンショウウオが止水系から流水系に進化している途中であることがわかります。さらに、DNAを調べた結果オキサンショウウオは、もともと流水系のサンショウウオであることがわかっています。つまり、はじめは渓流に住むタイプのサンショウウオが池に住むタイプに進化してもう一度、渓流に住むタイプに進化している(一度失った形質を取り戻す)「逆戻りの進化」をしていると言われています。いわゆる先祖返りですね。

一代に限り先祖返りする生物は稀にいますが、オキサンショウウオは変化が一代限りではないため、進化の定説である「ドローの法則」に反する進化をしています。このような生物は世界的にも大変貴重だと言われ、米科学アカデミーに取り上げられ2005年のCOP10にも話題に挙がった生物です。

さて
このように不思議いっぱい、自然いっぱいの隠岐ですが初回なのでこのあたりで切り上げたいと思います。この調子で行くと今後ネタ切れになってしまいそうなので・・・・

隠岐固有の植物「オキノアブラギク」や「タクヒデンダ」の写真については乞うご期待!
(花期が秋ですので)

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2012年05月10日霧に包まれて ~三瓶山登山道調査(周回線)~

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

天気予報に反して空からは雨が降ってきました。その後雨はやみましたが、我々は雲の中に入ったような濃い霧に包まれました。
今回は自然保護官(レンジャー)と共に三瓶山の登山道調査に行ってきました。

三瓶山は峰々が輪になって繋がっている独特の形をしています。
ですから三瓶山の「縦走」はぐるりと一周して戻ってくる事が出来るのです。
峰の名前はそれぞれ男三瓶山、女三瓶山、子三瓶山、孫三瓶山、と呼ばれていて、三瓶山は2世帯家族らしいです。
これらを周回する登山道を今回は調査してきました。
5月に入り、三瓶山は春を目一杯に感じることができる季節となりました。

【4月20日の日記と見比べてみてください。枯れ木のようだった森は、淡い緑に覆われていました。】

女三瓶山から男三瓶山までの道はアップダウンを繰り返す険しい道です。特に男三瓶山近くの「犬戻し」と呼ばれる所は、足場の悪い馬の背のような尾根です。くれぐれも気を緩めずに注意してください。
また男三瓶山から扇谷に下る登山道も勾配がきつく、岩だらけの険しい道が続きます。今日はぬれているため滑りやすく、何度か足を滑らせました。特に下山では充分に気をつけなければなりません。

【霧、急勾配の道。山は危険をはらんでいます】

男三瓶山には避難小屋があります。昼ご飯はここで取る事にしました。
この日は寒く、外には雨露をしのぐ場所がないので、この小屋に我々は救われました。

今日登られた方々は晴れると思っていたでしょうが、予想外に霧の1日となりました。
晴れた日とは状況が一変します。この日も避難小屋がそばにあるのに気づきませんでした。
当然道に迷いやすくなります。登山をされる場合は正確な地図を手に入れ、事前によく読んでおいてください。
また、登山中にすぐに取り出せるようにし、道標と照らし合わせながら、何度も確認してください。人は思い込みをしてしまう生き物です。地図に書いている情報を正確に読み取っていない事がよくあるものです。

【足下だけを見ていると道を誤る事があります。目をこらし、目印や周辺の様子を見逃さないでください。】

この日雨が降ったのは一時的でした。それでも晴れた日と比べるとかなり寒くなりました。もし風が吹いていたら体感温度はグッと下がっていたでしょう。
備えを万全に、体力と時間に余裕をもった計画を立て行動してください。
余裕がないと気持ちに焦りが出て判断力も鈍らせます。体力も消耗します。それが事故へとつながります。
余裕を持って計画・準備をおこなって春の三瓶を楽しんで見てくださいね。
ちなみに三瓶の峰々を周回するなら、東の原からのリフトを使うと便利です(ズルできます)。

【登山道沿いには小さな花たちがあちらこちらで出迎えてくれます】

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2012年05月01日カタクリの花 ~ゴールデンウイークの船通山~

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

船通山を登っています。ここは「比婆道後帝釈国定公園」1142mの山です。春先とはいえこの日は暖かく、汗をかきかきの登山です。
船通山は山頂にカタクリの花が群生している事で有名ですが、「今年は咲いているだろうか。」なんせ去年は同じ日につぼみが2・3見られただけで、AR日記の写真を撮るのが大変でしたから・・・。
4月29日~6月30日は「島根県 野生動植物 違法採取防止 強化期間」です。
その活動の一環として、今年も4月29日、船通山にて「違法採取防止合同パトロール」に参加してきました。
この日は例年カタクリ登山がおこなわれ、これに合わせて、合同パトロールと登山者にチラシを配り啓発をおこなっています。
自然公園指導員や県の自然保護レンジャーの方が登山者に自然解説をしてくださいました。

[雪が溶けて間もない道を行きます この沢の水がうまい!]

登山道沿いにはスミレの紫の花やカタバミの白い花がたくさん咲いていて、我々の目を楽しませてくれます。
深山の森は全体にまだ裸のままです。ですがその中で黄緑の若葉を付けている木々があります。
ブナの木です。山桜、木蓮のようなタムシバの白い花、殺風景な森を淡い春色が染めています。
静かな森にはミソサザイの鳴き声が響き渡り、ウグイスも「ホー・ホケキョ」の練習真っ最中です。

そして山頂に到着。そこで私が目にしたものは・・・。
一面カタクリの花が咲き誇っているではありませんか。
これほどまでとは思っていなかったので、感動もひとしおです。

[この美しい花々や登山道の整備は地元の方々の尽力によって保たれています]

山頂は360度のパノラマ。大山をはじめ、澄んだ日には隠岐の島々も見えるそうです。
三種の神器のひとつ「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)出顕之地」の記念碑が建つ神話の舞台でもあります。
また山頂には新しい避難小屋兼トイレも完成し、快適になりました。
ゴールデンウイーク後半戦。この美しいカタクリを見に出かけてはいかがですか。

[登山者はカタクリの花畑と眺望を同時に楽しみながら、お弁当を広げていました]

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2012年04月20日桜が咲いて ~女三瓶山登山道紹介~

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

先週末はぽかぽか陽気となり、松江城の桜を楽しむ事が出来ました。
その桜前線が三瓶山の麓に広がった先日、三瓶山の登山道調査に行ってきました。
今回は東の原から女三瓶山に登り、北の原に下りて麓を周回する歩道で帰ってくるコースです。

[電波塔群が見えるところが女三瓶山山頂です]

東の原には観光リフトがあるので、登山道がある事を知らない方もいらっしゃるでしょう。
登山道の入口は三瓶山に向かってリフト乗り場の左奥にあります。
入口には鉄パイプで出来たゲートがあります。これは旧スキー場内で牛を放牧しているからなんです。
登りは穏やかで歩きやすい道です。ただすぐ脇に地面をえぐるように谷(豪雨時に川になりそうな)が走っていますので注意してください。

[ロープは張ってありますが、誤って道を外れるとすぐ脇にパックリと谷が口を開けています。ご注意ください。]

旧スキー場の上にさしかかると視界が開け草原が見渡せます。
リフトの終点まで登ると、女三瓶山頂まではつづら織りの道です。
ですが途中まで石が敷かれていて、比較的上りやすい道となっています。
登山道を整えてくださった方々がいたからこそ、こうして道を歩く事が出来るのでしょう。

女三瓶山頂はいくつもの鉄塔が立つ電波塔基地です。
それでも北側以外は見晴らしがよく、男三瓶山や室ノ内が一望できます。
落葉広葉樹の森は一面裸の木々が広がっていますが、緑とは違ったその景色もなかなか妙です。
この光景もあと少しすればガラリと変わる事でしょう。

[男三瓶山の森の今の姿です]

ここから男三瓶山に向かうコースもありますが、今日は電波塔の鉄塔をくぐって北の原に下ります。
ここは山頂から落葉広葉樹の森の中を歩く道です。頂上付近にはブナの木が見られ、麓に近づくにつれ松やカラ松が混じってきます。
裸の木々の間から日差しが差し込むので、今の時期森は結構明るいです。
快晴の今日は暖かく感じました。ただ日差しが無いだけでも体感温度は下がるので、山を登られる方は余裕を持った備えをしてくださいね。

森はまだ眠っているように見えますが、枝先にはしっかりと芽吹きが見られました]

静かな森でしたが、しばらく下り麓に近づくと、鳥たちのさえずりがいたる所から聞こえてきました。気がつけば鳥達のさえずりに包まれているようでした。
そして道端に咲く小さな花にも出会えました。気がつけばこれもまたいたる所に。
殺風景な山に咲く小さな花に心癒やされます。


麓まで降りてきました。麓には三瓶山の周りを廻る歩道と自転車専用道があります。東の原まではこの道を歩いて調査しました。
すぐそばから美しい声で鳴く鳥の鳴き声が聞こえてきて、そっと足を止めました。
自転車道には落ち葉が積もっています。時に滑りやすくなります。また枯れ枝も落ちていて、落ち葉に埋もれて目立ちませんが、気づかずに乗り上げたひょしに転倒なんてことも考えられます。
またアスファルトが陥没しているところも一部ありました(パイロンが立っています)。
自転車道を走る方はくれぐれもお気を付けいただき、心地良い風の三瓶を楽しんでください。
4月22日にはいよいよ三瓶山の山開きがあります。
あなたも春の訪れを感じてみてはいかがですか。

[春一番に出るふきのとうはこんなに大きくなりました]

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2012年04月06日新年度となりました! ~登山者カウンター設置~

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

先日の春の嵐は全国的に吹き荒れたようですが、お住まいの地域はいかがでしたか。
松江では最大瞬間風速が35mを越え、4月の観測史上最大となったようです。外で少し作業したのですが、普通には立っていられないほどの風でした。

さて新年度になりましたが、こちらも新年度に合わせ三瓶山の登山道に「登山者カウンター」なるものを設置しました。
これは人の通過をセンサーで検知する機械です。これにより三瓶山に登られる人の数を把握しようというわけです。
主要登山道の西の原登山道と北の原にある姫逃池登山道に、1基づつ設置しました。

[これがその登山者カウンターです。辺りはまだ殺風景ですが、これからどんどんと春の色へと変わっていく事でしょう。]

今年度で設置3年目。設置作業も少し慣れてきました。
けして怪しげな物ではございませんので、三瓶山に登られる際には、どうぞ気になさらず通過してやってください。

この日は三瓶山に春の訪れを告げる、西の原の野焼きがおこなわれました。野焼きは草原を維持するために古くから行われてきました。
バリバリと音をたてて燃えさかる炎に、ススキの原はどんどんと灰になっていきます。
これから春の訪れと共に新しい芽吹きが大地を覆うことでしょう。


[燃えさかる炎は迫力満点です。]

[灰になった草原も一ヶ月後には新たな草原へと変わっている事でしょう。]

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2012年02月27日*雪の結晶が舞い降りる* 三瓶山子供パークレンジャー

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

それはダイヤモンドダストかと思うほどのきらめきでした。青空と新雪の森の中に光りがチラチラと舞っていまです。確かにそれは雪でしたが、普段降るそれとは全く違っていました。子供たちはかんじきを履いてまっさらな新雪を歩いています。
三瓶山で開催された子供パークレンジャー1泊2日の活動、2日目は好天に恵まれました。
それでも1日目は順調にはいきませんでした。
今回の活動ではかんじきを履いて雪の中を歩きました。スノーシューではありません。時代錯誤の木で作られた荒縄で縛り付ける、正真正銘の「かんじき」です。

[かんじき 私も履けたよ!]

東北の私の実家にありましたが、私も含めスタッフの方々のほとんどが使ったことはありませんでした。
子供たちは縄で足にくくりつけるなんて事をした事がないのでしょう。予想以上に取り付けに時間が掛かりました。
ようやく履け、かんじきで歩き始めたのですが、予期せぬ事態が!かんじきを無くしてしまったと言う子が続出。深い新雪に消えたかんじきはなかなか見つかりません。
新雪が深く、かんじきを履いていてもかなり足が埋まってしまいます。さらに降り続く雪。時間の都合と天候のため予定していたことができず、ただただ歩くことに。雪の結晶観察も強い雪でうまくいきませんでした。
途中でかんじきが外れてしまう子もいます。
短い距離でしたが、“降り過ぎ”の雪に、慣れていない子供たちには少々しんどかったでしょうか。

[子供たちに容赦なく雪が降ります]

私は少し気がかりでした。2日目の活動のメインテーマは「冬の三瓶の生き物を観察しよう」と題して、雪上の動物たちの足跡を追跡して行くものでした。
ところが降り続く雪に動物たちも外出をひかえているもよう。しかも降り続ける雪にせっかく着いた足跡もすぐに消えてしまうでしょう。
興味ある目的がなくなってしまったら、子供たちは活動を楽しめるだろうか・・・。

[折り紙で結晶を作ってみました]

活動2日目は青空となりました。
動物たちの足跡はやはり少ないです。それでも森に入っていく動物の足跡を見つけました。少し雪が積もっていますが、何の足跡でしょうか。しばらく森の中で追跡を続けました。
ですが足跡は途切れてしまいました。積雪で足跡が鮮明でない上に、木々から落ちた雪の跡がそこら中にあり、私たちの目を惑わせます。また新たな足跡を探し雪上を歩きます。

[今日は青空も出て新雪の森の中は素敵です]

そんな中ふと気が付くと、光り輝く粉があたり一面チラチラと舞っていました。
それはまるでダイヤモンドダストかと思わせるほどの幻想的な光景でした。
私は手のひらを上に向けました。その上に舞い降りたのは雪の結晶です。
かなり大きくそしてなんと美しい形。私はみんなに声をかけました。子供たちからも声が上がります。
スタッフの方々は膝を着いて雪の上にじっとしています。何かと思いきや、雪面に降り積もった結晶を一所懸命に写真に納めようと悪戦苦闘していました。そこには一面に舞い降りたばかりの結晶が散らばっていました。
私は子供たちを呼びました。
私は東北生まれですが、こんなにきれいな雪の結晶を見たことがあったでしょうか。こんなに雪の結晶をじっくり見たこともあまりありません。
今回は雪の大変さと雪の美しさ両方を感じることができた子供パークレンジャーとなりました。
スタッフの方々も自然が好きな人たちで、時に子供たち以上に張り切ってくれます。今回も深い雪の中をスタッフの方がパワフルに道を開拓してくれたり、積雪調査で一所懸命掘ってくださったので、子供たちもつられて興味を持ってくれたり。そんな大人達と白銀の世界の中で、子供たちの心にも何か届いたのではないでしょうか。

[子供たちは小さく穴を掘って済ませようとしましたが、その背後で一人黙々と雪洞を掘らん勢いの大人がいます。そのおかげで子供たちはさらに興味を持ってくれました。]

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2012年01月20日穏やかなひと時(渡り鳥調査)

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

一で年一番寒い季節となりましたが、皆さんの地域はいかがですか。
島根県は今のところ厳しい寒さにはなっていませんが、雨の日は多く日本海側らしい天候が続いています。
毎月3回の定例の渡り鳥調査のため、宍道湖に行ってきました。
この日は珍しく冬晴れの穏やかな陽気でした。
湖面も凪で、水鳥たちも冬の厳しさを忘れたかのようにのんびりして見えます。

〈久しぶりに大山が見えています〉

沖にはスズガモやキンクロハジロの大きな群れが見えます。
そして首が長くて頭の冠羽が特徴的な「カンムリカイツブリ」がちょこちょこ見えます。いや点在してずいぶんいます。しかも広範囲に。400羽ほどを数えました。
これほどのカンムリカイツブリを見たのは初めてです。
またこの日初めて見る鳥を見つけました。ミコアイサと言う水鳥のオスです。
図鑑でしか見たことがなかった、真っ白な羽毛に黒の模様、シックでありながらおしゃれなデザインです。
望遠レンズで写真を撮ったのですが、あまりに遠すぎて何が写っているかわかりませんでした。お見せ出来ないのが残念です。

1月中旬、全国の野鳥一斉調査がおこなわれました。
それによると島根県は例年より渡り鳥の数が少なかったようです。
年により幅があり原因ははっきりわかりません。
調査は長い年月の継続により見えてくるものがあるでしょう。

〈タカの仲間「ミサゴ」がお気に入りの杭の上で、捕まえた魚に鋭いくちばしで噛みついていました〉

翌日からはまた冷たい雨空となりました。大寒には雪だるまの天気予報が続いています。
野鳥たちにとっても、厳しい冬をしばらくしのがなければならないようです。

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2011年12月28日冬支度(登山者カウンター撤去)

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

皆さんクリスマスはいかが過ごされましたか。松江はホワイトクリスマスとなりました。
まあ私にとっては、荒れた天気だし部屋で年賀状を作って過ぎた年の瀬、といったところでしたが。
というわけで今回は冬支度、登山者カウンターと言う登山者数測定機を撤去して来ました。
松江自然保護官事務所管内では大山隠岐国立公園の三瓶山地域にて2つの登山道に設置していました。

〈北の原は少し雪が積もっていました〉

近年は温暖化の影響か三瓶山も雪が少なく、昨年は正月の登山者を測定したいと、年をまたいで設置してみました。
ところが大晦日から記録的な大雪となってしまいました。
そんな事から今年は雪が積もってしまう前に撤去することにしました。

〈西の原は北の原と比べ雪がありませんでした 三瓶山を見ても西の原の方が雪が少なく見えます〉

登山者カウンターはまた来年春から設置します。
冬山に登って初日の出、などと計画されている方。くれぐれもご注意ください。山は時に冬の悪魔の姿と変貌します。

おまけ
翌日は定例の宍道湖の渡り鳥の調査に行ってきました。
西岸の田んぼには今季一番、3千羽を超えるマガンの姿を見ることができました。
宍道湖グリーンパークさん(野鳥などの自然観察施設)の調べでは4千羽を超えるマガンが飛来しているとのことです。


今年は東日本大震災など大変な災害が起きた年でした。被害に合われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。そんな大災害に合われながらも、気高く生きる人々の姿、さまざまな人たちの思いやりの気持ちなど、人々の素晴らしさを感じることも多くありました。新たな再生への希望を感じます。
そしてまた改めて人とは何か、自然とは何か、私たちは見つめ直す時であるように思えました。
来年は皆でよい年にしましょう!どうぞ皆様良いお年を!

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三瓶山地区子どもパークレンジャー 第2回 参加者募集!
2月18日(土)~19日(日) 1泊2日

参加お問い合わせは、子どもパークレンジャー三瓶山地区事務局(島根県立三瓶自然館サヒメル内)電話0854-86-0500まで
小学4年生から中学3年生までの君、冬の三瓶を楽しもう!
ぜひご応募ください。
http://c-chushikoku.env.go.jp/to_2011/1117a.html

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2011年12月07日野鳥たちを見つめる眼差し

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

師走です。師走は師(お坊さんなど)が走り回る忙しい月だから、などと言いますが、ヘアスタイルではお坊さんに負けていない私も忙しく走り回っています。

さて宍道湖と中海はラムサール条約に登録されている野鳥の楽園ですが、国指定の鳥獣保護区にもなっています。また大山も国指定の鳥獣保護区です。
この保護区を巡視していただいている「国指定鳥獣保護区管理員」と言う方々がいらっしゃいます。(舌を噛みそうな名前ですが)
これは環境省職員だけでは管理の目が薄いため、野鳥などに詳しい一般の方を任命して、巡視をおこなっていただいている方々です。
本格的な冬の渡り鳥のシーズンをうけて、この方々と環境省職員による打ち合わせ会議がおこなわれました。


昨年度の冬は鳥インフルエンザ発生により、例年以上に管理員の巡視の役割が重要となりました。
今回の会議も、おのずと鳥インフルエンザにかかわる内容が主になりました。
この冬は鳥インフルエンザが発生しないことを願いたいものです。
ですが去年あれだけ発生したことを考えると、今後冬季はいつ発生してもおかしくないでしょう。

〈私の出番!死亡野鳥回収の実演をやりました これは鳥インフルエンザ発見のための重要な仕事です〉

自然界の事は人間がどうすることもできません。私たちにできることは、鳥インフルエンザの発生に気付き皆さんにお伝えする事です。


〈宍道湖の調査にて スズガモの大群が一斉に飛び立ちました〉

【鳥インフルエンザウイルスの人への感染について】
鳥インフルエンザウイルスは、感染した鳥との濃密な接触等の特殊な場合を除いて、通常では人に感染しないと考えられています。日常生活においては、過度に心配する必要はありません。
 
*下記HPもご覧ください
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/leaflet/leaflet-a.pdf


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三瓶山地区子どもパークレンジャー 第2回 参加者募集!
2月18日(土)~19日(日) 1泊2日

参加お問い合わせは、子どもパークレンジャー三瓶山地区事務局(島根県立三瓶自然館サヒメル内)電話0854-86-0500まで
小学4年生から中学3年生までの君、冬の自然を楽しもう!
ぜひご応募ください。

*下記HPもご覧ください
http://c-chushikoku.env.go.jp/to_2011/1117a.html


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2011年11月10日今年も2か月切りましたが

大山隠岐国立公園 松江 太田嘉和

早いもので今年も2か月を切ってしまいましたね。
帰省される方は切符を取りましたか?そんな時期になったことに気付かず、私は危うく切符を取り損ねるところでした。
しかし故郷の東北に帰るには金がかかってしょうがありません。

さて松江の街に接する宍道湖では、今年もたくさんの冬鳥たちが渡ってきました。
私、松江のアクティブレンンジャーは、秋から春にかけて宍道湖にて冬の渡り鳥たちの数をカウントしています。
宍道湖はラムサール条約に登録されている冬の水鳥たちの楽園です。
湖には何万羽ものカモたちが羽を休めています。
私が調査しているポイントからは、10月上旬には百羽程度だったのが中旬には3千羽ほどに、下旬には2万羽ほどと一気に増えました。
昨日も巨大な長い群れを作っていました。

渡り鳥は宍道湖の湖面だけではありません。
周辺の田んぼではマガンが群れをなしています。9月下旬に初飛来が観測され、今は千羽ほどいます。

〈グァーグァーという鳴き声が、静まり返った田んぼをにぎやかにしています〉

10月中旬の調査ではマガンの群れに1羽の小白鳥が混じっていました。
翌日の新聞にはこれが今年の初飛来として載っていました。もう何時間か前に調査していれば、発見者が「私」になっていたのに・・・残念!
その小白鳥も昨日は800羽ほどを確認しました。
ここには身近に野生の生き物を見られる場があります。あなたのお住まいの地域はいかがですか?

〈白鳥たちも田んぼの2番穂がお目当てでしょうか〉


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三瓶山地区子どもパークレンジャー 第2回 参加者募集!
2月18日(土)~19日(日) 1泊2日

参加お問い合わせは、子どもパークレンジャー三瓶山地区事務局(島根県立三瓶自然館サヒメル内)電話0854-86-0500まで

小学4年生から中学3年生までの君、冬の自然を楽しもう!
ぜひご応募ください。

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