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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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足摺宇和海国立公園 土佐清水

298件の記事があります。

2009年10月22日秋の篠山

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

先週、台風18号の被害確認を目的に、篠山巡視に行ってきました。
春にはアケボノツツジであんなににぎわっていた篠山も、この時期はすれ違う人もおらず、全体的になんだかさみしげな雰囲気。

篠山山頂:暖かい日が続いたせいか葉っぱが茶系の紅葉でした

でも、人でにぎわっている山ではなかなか動物にあうことはありませんが、秋は求愛の季節でもあり動物たちは割と存在を主張しているような気がします。
写真には収められませんでしたが、イノシシ、リス・サル・シカ(鳴き声)などを見かけました。

篠山山頂付近には防鹿柵があり、その柵の巡回を行っているときのこと。
頻繁に巡回できない分、しっかり見てまわるわけですが、早速防鹿柵を支えるポールが折れているところ発見。


次々にネットが破れている所(写真上)、倒木によりポールごとなぎ倒しの所(写真下)、ネットがたるんでいる所などなど・・・それなりの被害。
それを1つずつ取り除き、直していきました。

柵巡視が中盤に入った頃、ネット周辺に何やら不穏な空気・・・。
突如目の前には妙な地面、そしてそのすぐそばのネットが団子状態になっていました。


動物にとってもネットにとっても惨事
左上:団子状に絡まっている
左下:地面にはたくさんの食痕
右:ネットすぐ脇の木には角の跡

その正体は、地面に散乱した毛と骨、ネットにしっかりと絡んだ雄ジカの頭でした。
どこからか柵の中に入ってしまったシカが、ネットを潜ろうとして角を引っかけ、外そうと暴れるうちにがんじがらめになり動けなくなってしまったのでしょう。
そこには、森の生きものたちの“晩餐”跡のみが確認できました。

シカに限らずこういった被害を防ぐためにも、登山者の皆さんは防鹿柵の出入りの開閉をしっかりすること、管理側としては見回りを定期的に行わなければならないことが重要だということを痛感する出来事です。

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2009年10月13日平成21年度自然公園関係功労者環境大臣表彰 伝達式

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

10月13日、土佐清水市役所にて自然公園関係功労者環境大臣表彰※伝達式が行われました。
全国から個人では20名が受賞し、そのうちの受賞者1名が土佐清水市在住の村中和幸氏。高知県民の受賞は2年ぶりです。
本来、表彰者に対しては環境大臣より授与されるものですが、諸事情により、今回は市長から表彰状と記念品が手渡されました。


伝達式


受賞者の村中氏と杉村市長


村中氏は、足摺宇和海国立公園において、サンゴの保護活動や公園内の美化清掃、公園利用者に対する自然解説等を行うなど、継続的に様々な活動をされてきました。
その指導員歴は、21年と10ヶ月間。
指導員を始めた頃は、今よりずっと自然環境保全に対するみんなの意識が明確でなく、何をやるにも大変だったと聞きました。


今までの功績や当時の苦労などを話してくださいました

昔と今の活動の大変さは、きっと種類が違うものでしょう。
そんな中で、地道な活動を約22年間続けていただいた結果が今ここにあるのだなぁと感じずにはいられません。
現在も残されているこの国立公園内の景観が保たれていることはもちろん、今も環境保全や利用者指導など様々な活動をしてくださっている地元の方々へと引き継がれているものなど・・・。

地元住民の協力があり、その時々の苦労をみんなで重ねていくことで、そこならではの目の前に広がるモノだけでない“何か”が残せていけるのだろうと思いました。

※環境省では、自然公園の保護及びその適正な利用の推進に関し、時に顕著な功績のあった方を自然公園関係功労賞として、大臣表彰することとしています。

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2009年10月09日大岐海岸園地整備計画説明会

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

台風18号の影響により雨の続いている10月6日の午後、環境省が実施する大岐海岸園地整備に関して、施工業者と一緒に大岐海岸にて現場確認を行いました。
工期・施工素材・方法などに問題ないか、どのように進めていくかなど現地を見ながら一つ一つ確認していきました。

施工業者と現場確認

その後、地元の大岐地区の皆様へ向けて、来月11月よりはじまる歩道整備の計画説明会を行いました。
説明会に出席していたのは、地区住民14名。環境省、施工業者も含め、総勢22名。


大岐海岸園地の施工説明会

歩道は林内を周遊できるものなのか、バリアフリー対応、設置標識・看板、維持管理についてなどなど、様々な意見や質問が出ました。
こういった施工は、地元の生活にも大きく関わってくること。
直に顔を合わせて“生”の意見を聞くということが、いかに重要かということがわかります。
これから施工に入っていく中で、地元住民ならではの意見がまた出てくることでしょう。
そういった“声”も可能な限り拾っていきたいですね。

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2009年09月29日竜串湾を望む山“行者山”

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

先日、三崎川と西ノ川の間にある標高355mの山“行者山”に行ってきました。

環境学習を行っている三崎小学校の裏山とも呼べそうなその山へは、学校行事として以前は登山が行われていたそうですが、今はその行事がないとのこと。
三崎小の教諭より、「今の子どもたちにも行者山からの竜串湾の全貌を見せてあげたい!」という要望があり、「山を知る」というテーマのもと環境学習に組み込みました。

では実際問題、それが今でも可能なのかどうか・・・
今回は下見の下見で、ひとまず現状把握のために行ってみることにしました。


真ん中のコブが行者山の山頂

山の上に四角く部分皆伐されている所が、標高およそ200mのパラグライダーの離陸場所。
今回はそこを目指します。
山のほとんどが植林地、ヒノキの森です。
中に進むと、所々に真新しいシカの角研ぎ跡やフンなどもありました。
話しを伺うと、ごく最近、雄シカがこのあたりをうろついていたそうです。

シカの角研ぎあと

ヒノキ林を抜けると、明るくひらけた場所にでました。パラグライダーの離陸場所です。
そこからの眺めは、三崎地区を眼下に千尋岬を挟んで竜串湾から三崎港まで一望できました。
この日は雨のぱらつく空模様だったため、霞んでしまっていましたが、なかなかの眺め。
子どもたちにも地元を一望できるこの場へ連れて見せてあげたいと思いました。


パラグライダー離陸地からの眺め

今回は途中まで車で上がり、歩いたのはほんの少し。
次回は、登山口から歩いてどんなモノが見られるのかゆっくり山頂まで調べようと思います。

今回の下見では、その場所に精通したパラグライダークラブの代表の方にそこまで案内していただきました。(作業道の草刈りの時間を割いてご案内いただき、ありがとうございました。)

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2009年09月14日第6回環境学習「川を知る!仕掛けを作って三崎川の・・・」

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

9月7・8日、三崎小学校での6回目の環境学習「川を知る!~仕掛を作って三崎川の生きものを見てみよう~」が行われました。

9月7日、まずは仕掛けづくり。ペットボトルに穴を開け、底を切り落とし、二つを組み合わせて作りました。
生きものをおびき寄せるための餌は、学校にあるコイの餌。
この仕掛けに入ってほしいのは、“カワエビ”です。
先生から、「エビってどんな所にいるの?どのように仕掛ければ入ってくれるかな?」などの説明もありました。

放課後にみんなで三崎川に移動し、堰の上・下流の草むらや、はたまた堰の真下の深みなど各々の思うところに設置。
川を目の前に遊びたい気持ちを抑えて、子どもたちは「どうかエビが入りますように・・・」と願いながらその場を後にしました。
先生と私は、「どうか仕掛けが流されませんように・・・」と願うばかりです。


写真上:ペットボトルの仕掛け作成中
写真下:テナガエビが見事に入っていました

翌日8日の午後は、仕掛けの引き上げと川の生きもの探しです。仕掛けはどうなっているでしょうか?流されていないか、ねらい通りエビは入っているのか・・・早速、自分たちの仕掛けを確認。
水から引き上げてみると、2~3匹のテナガエビが入っていました。幾人かの顔から笑顔がこぼれます。しかし、全員の仕掛けに入っていたわけではなかったので、みんなで捕れたエビを水槽に移して観察しました。
今回捕れたのは、ミナミテナガエビとヒラテテナガエビ。小さなヌマエビの一種もいました。

全身浸かりながら水中観察です

エビ以外の生きものを探してみようと、箱メガネやアミを使ってガサガサと川の生きもの探し。草むらの影や堰の下の深みなどみんな全身浸かりながら水中観察しました。

魚の体の特徴やチチコ(ヨシノボリ)・ボウズハゼなどの海から上ってくる魚、イダ(ウグイ)・カワムツなどの川で一生を過ごす魚の違いなどの話をしながら、海と川の生きもののつながりを学びました。


写真上:魚の種類や体についての話
写真下:水槽はみんなで捕まえたエビや魚でいっぱいになりました

この日に捕まえた生きものたちは、しばらく教室の水槽で飼われ、観察を続けることになりました。

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2009年09月08日2009竜串自然再生協議会 実施計画作成部会

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

9月7日の午後、土佐清水市海の駅にて第2回実施計画作成部会が行われました。(第1回目は今年の1月末に開催。)
この部会の出席者は、個人や団体職員、専門家、行政の方々など35名。(運営事務局等含む。)
今回の議題は、第1回部会で出された課題についてと環境省による事業実施計画の素案についてです。
事務局より出された議事について、それぞれの立場から意見を出していただきました。
間伐や広葉樹の植樹などの森林整備について、環境教育について、農耕地について、サンゴのモニタリング調査やリーフチェック、オニヒトデ駆除など海中活動について等々、様々な意見が出ました。


海の駅にて行われた部会の様子

立場や活動している場がそれぞれに違っても、共通意見としては、「いずれにせよ森・川・里・海のつながりは自然再生事業の注目すべき点だ」ということでした。

詳しくは、下記をご覧ください。
(第2回の報告はただいま準備中です。今しばらくお待ちください)

↓竜串自然再生ホームページ内の実施計画作成部会報告はこちらから
http://www.tatsukushi-saisei.com/kyougikai_bukai/index.html

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2009年09月03日緑のカーテン~アサガオの種収穫~

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

お盆には花が終わりかけていたアサガオの“緑のカーテン”も終盤です。
葉っぱが枯れ落ち、少しずつ茶色く変わっていくアサガオの実。
徐々に実が割れ、種がこぼれでてきています。

お盆過ぎから少しずつ種を収穫していきました。
業務の合間でやるには、ネット全体に広がる種は到底1日では摘みきれず何日かに分けて作業しました。
ようやく、種摘みに目処がついてきたなと一息ついたところです。


緑のカーテンも終盤です

なるべくこぼさないようにと摘んでいるつもりでもどうやらたくさん落としてしまっているようです。
うまく土の上に落ちた種が早くも芽をだし、プランターが再び青々と茂ってきてしまいました。
全体的に小ぶりサイズですが、花を咲かせているモノもあります。
まだまだ日射しの強い土佐清水では、二期作が可能なのかもしれません。
新しく芽を出しツルをのばしている姿を見ると、この緑のカーテンの終了のタイミングをどの時点にすればよいのか悩ましい。

2期生が咲き始めてしまいました

1つの実に6粒前後の種が入っていました。
それを収穫し続けた結果、かなりの量が集まりました。元々は手のひらにのるほどの量でしたが、収穫したらなんと500mlのペットボトル1本強の量に。
今年はたくさんの花を咲かせてくれ、何倍もの収穫となりました。

収穫した種は、植えたときの何倍もの量になりました

来年の緑のカーテンに必要な分だけを事務所に残して、この“種”で緑のカーテンの定着へと根づいていけたらいいですね。

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2009年08月31日土佐清水市クリーン作戦2009

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

このところ事務所付近に巣があるのか、毎日の訪問客になりつつあるキイロスズメバチが悩ましい土佐清水です。

先日8月29日、土佐清水市美化推進協議会による「土佐清水市クリーン作戦」が開催されました。
「あっちこっちで堆積してきている様々なゴミをみんなで一斉に拾い集め、自分たちが住んでいる“土佐清水”をきれいにしましょう」という作戦。
効率よく作業を進めるために太陽がまだ高く昇らない涼しいうち、朝の7:00からの開会です。

市役所前にて開会式

市長の挨拶の後に、保護官不在のため代理で挨拶をさせていただきました。
その後、地区ごとに割り当てられている作業の場所へ移動し、作戦決行です。

当事務所が担当したのは、お馴染みの“大岐ノ浜”。
浜全体に広がる漂着ゴミは、大きいモノや小さいモノ、重いモノなど様々。
海からの照り返しと日陰のない砂浜は、朝の7:30頃で汗が流れるほどすでに暑い・・・。
それに追い打ちをかけるように、焼却処分の熱風がプラスされていました。
(県の許可を得て、その場で枝などの焼却処分が行われています)


手分けしてゴミと枝類と分けて集めていきました

暑さとたくさんのゴミを前に作業が進まないとモチベーションも下がり、一人ではなかなか拾い続けられるものではありません。でも今回は、まわりでゴミ集めに黙々と取り組んでいるそれぞれの姿がみんなの励みです。
約2時間、みんなで一斉に行ったことで燃やせないゴミ類は片付けられ、ほとんど目立たなくなりました。残るは、枝などの燃やせるモノの山・・・これを焼却処分していきます。


写真上:作業前(浜いっぱいにひろがっていました)
写真下:作業後(ある程度片付きました)

「押し流されて海底に沈んでいるゴミが毎日のようにうちあがってきりがない」とのこと。
それでも地区の方々は、毎日のように作業を続けてくれています。
国立公園内のこの景観が保たれているのも地元の皆様のご協力あってこそ。
地区の皆様に感謝ですね。

今回の作戦協力者は総勢約700名、回収ゴミは800kg(各浜にうちあがった枝や海草類約6tは除く)でした。

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2009年08月24日【大月PV】第19回「コーラル&フィッシュウォッチング」

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

足摺宇和海国立公園大月地区パークボランティア(以下PV)の会主催のイベント「コーラル&フィッシュウォッチング」が8月22日に大月町にて行われました。
年間行事の中でメインとも呼ばれているこのプログラムも今年で19回目を迎えました。

当日は、立っているだけで汗が流れるような日差しの強い晴天、海日和。
開会前にウエットスーツに着替えている参加者の皆さんは、暑さ倍増です。
「早く海に入りたい!」との声が、始まる前からあっちこっちで聞こえてきました。


晴天、海日和です

今回の参加者は、54名。
1グループに1人のPVスタッフがつき、それぞれの班に分かれて浜へ移動。
止めどなくあふれる汗がつたう体には、待ちに待ったシュノーケリングタイムです。
道具の使い方や注意事項の説明後に早くも沖へ向けて出発するグループもあれば、波打ち際付近でゆっくり楽しむグループなど様々でした。
また中には、船にのり古満目まで移動してシュノーケリングを楽しむグループもいました。


シュノーケリングの場所は様々・・・

最年少は2歳の男の子。
楽しみにしていたようですが、波が怖かったのか顔が引きつりぎみ・・・。
波打ち際で遊びながら待つことにしました。
後半はだんだん慣れてきたのか、お母さんの背中におんぶされながら海の中に入り、肩につかまりながらバタ足できるようにまでなっていました。


シュノーケリング終了後は、交流会。
鰹のたたきのわら焼き体験からはじまり、食べたり飲んだりしながらおのおのに暮れていく時を過ごしていました。

写真上:鰹のたたきわら焼き体験
写真下:交流会の様子

地のモノを使った料理がいろいろ並びましたが、2~3時間の全身運動をした皆さんのお腹はペコペコだったのでしょう。
料理が運ばれる早々にお皿の底がみえてしまう勢いでした。
シュノーケリングで思いっきり体を動かしていい汗かき、たくさんの人と食事をしながら話す楽しい1日でした。

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2009年08月20日大岐の浜 台風のあとには・・・

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

まだまだ日差しに目が眩む土佐清水ですが、夏の花に混じって秋の花も姿をみせるようになりました。
お盆が過ぎてから日差しも若干やわらかくなってきたような気がします。


秋の気配も近づいてきています

先週の台風9号で相次いだ各地域での被害のニュースをよく耳にするお盆期間でした。
ここ高知県の西南地区もたくさんの雨が降り、四万十川も河川敷が隠れるほど増水しました。その後、数日で川の水は落ち着きを取り戻していったわけですが・・・

その増水したたくさんの水は、海に流れ込みました。
もちろん、運ばれてきたのは水だけではありません。
たくさんのモノが水と一緒に流れ込み、海のうねりにのってそれぞれの浜辺に打ち上げられています。


浜に毎日のように堆積していく台風のおみやげ

ここ大岐の浜も例外ではありません。
泥や木々、もちろんゴミも1.5kmある浜に帯状に堆積しています。
大岐地区の皆さんが毎日のように集めて、処理をしてくれていますが、まだまだ残っています。
今年も大岐の浜にはアカウミガメが産卵のため上陸していましたが、「卵から無事ふ化している」との話を聞いて、ほっと一安心。荒波にもまれながらも大きく成長してほしいものです。


大岐の浜近くの川でカヤックを楽しむ家族

お盆中は全国から集まってきたサーファーやカヤックなどを楽しむ人たちでにぎわっていました。
大岐の浜は、“離岸流”により遊泳禁止となっている場所ですので、自己責任のもと、それぞれの夏休みを思いっきり堪能して、ケガや事故なく笑顔で帰路についてほしいですね。

※離岸流とは・・・海岸の波打ち際から沖に向かってできる潮の流れ。
 幅10m前後で生じる局所的に強い引き潮。
離岸流の速さは秒速1mを超えることもあるとされており、一気に沖に流されるため命に関わる危険なものとされています。

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