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アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

中国四国地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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足摺宇和海国立公園 土佐清水

298件の記事があります。

2010年12月06日自然観察会 in 滑床渓谷

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

12月5日に滑床渓谷にて自然観察会を開催しました。
テーマは「アニマルトラッキング きみも動物調査員!」です。

今回講師にお招きしたのは調査などで野生動物に長く関わられ、また宇和島を拠点にして10年ほど調査をされてきた古川真理さんです。

「子どもも大人も楽しめる動物のプログラムを愛媛県側でやりましょう!」と講師の方と話をし、実施に至りました。
テーマにある「アニマルトラッキング」とは、動物の足跡や糞などから動物の行動や生活を読み取ることです。

当日の参加者は9名、主に松野町周辺の方々です。
まずは屋内(万年荘)で、鹿に扮した「鹿野雲子(しかのうんこ)」先生による動物についてのレクチャーです。
ジェスチャーを交えたクイズをしたり、糞や食痕を手にとって観察したり、プロジェクターで動物の写真を見たりしました。

鹿野先生のレクチャー
シカ・ウサギ・ムササビなどの糞や食痕観察

和気あいあいとした雰囲気の中、レクチャー後には、動物の行動範囲についてや自動撮影装置で撮られた動物写真、四国のクマについてなど様々な質問が出ました。
知らなかったことや勘違いしていたことなど色々な発見があったようです。

この日は雲ひとつなく快晴。
お弁当は外の広場でとりました。

早々に食べ終わった子どもたちは広場で木登りを楽しんでいました。

午後から早速アニマルトラッキングへ!!

道のないところをずんずん進む

レクチャー時には糞に触ることにやや抵抗がみられた子どもたちも、うんこ先生のおかげか、シカの糞を見つけてはせっせと袋に収集。
あっという間に袋いっぱいになっている子もいました。
道中、シカの毛を見つけたり、ネズミの毛や骨が含まれるイタチの仲間の糞、シカの樹皮はぎ跡や角研ぎ跡、リスかムササビの松ぼっくり食痕などを観察していきました。

発見した糞を分解
何を食べているのか見てみる

最後は、岩がごつごつした冒険コースへ。
子どもたちは普段にはない緊張感を味わいながら山を下ったのが印象的だったようです。

野生の感を取り戻して下る

今回歩いたのは万年荘付近1kmほどの短い距離。
その短い距離の中でも何かしらの動物のサインが潜んでいます。
そのサインを覚えられたら、森の散策中に直に出逢えなくても動物の姿が思い浮かんでくるのではないしょうか。
これで滑床渓谷の動物を見守る9名の動物調査員の誕生です?!

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2010年11月15日てるてる坊主を作らなかったせい!?

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

10月末に大岐での開催を予定していた自然観察会「ツリーイングで樹上へ行こう!間近で樹冠観察」に向けて、晴れを期待し天気予報とにらめっこの日々。
しかし、不運にも台風14号が連れてきた雨雲の影響で当日プログラムが始まる直前にどしゃ降り・・・。
泣く泣く参加者に中止連絡を行いました。
今回募集人数は20名で、数名のキャンセル待ちがあるほど興味を持っていただけたということもあり「このままでは終われない!」と思い、日程を変更して開催しなおすことにしました。

大岐で行ったツリーイングのリハーサル

それが、11月14日(日)。
11月初め、天気予報を見ながら今回は大丈夫そうだと思っていたのも束の間、前後は晴れマークなのに、なぜかピンポイントに14日だけ曇りの予報。
不穏な気配を感じつつ、「まぁ、まだ雨じゃない」と希望を捨てずにいましたが、土曜日の夜、窓の外から聞きたくない音が聞こえてきました…雨です。
そして、日曜当日の朝にも続く雨となり、再び中止になりました。
「二度あることは三度ある」
この言葉を思い出し、今回は縁がなかったということでプログラムの延期はしないことにしました。(保護官と私は雨女ではないですよ~。)

とはいえ、プログラム自体をあきらめたわけではありません。
自分がやりたいと思ったプログラム、季節を変えてもう一度年度内にチャレンジする意気込みです!


※ツリーイングに興味のある方は、ご参考ください。
ツリーマスタークライミングアカデミー四国支部 
http://tmca.web.fc2.com/

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2010年11月12日第5回環境学習「観光と竜串~ガイドに向けて・・・」

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

11月12日、三崎小学校での環境学習「観光と竜串~ガイドに向けて足摺海底館を学ぼう~」を行いました。


講師は、今年度の環境学習第1回目の授業を担当していただいた足摺海底館職員の文野さん。再び登場いただきました。(足摺海底館 http://www.a-sea.net/ )
(前回の環境学習 http://c-chushikoku.env.go.jp/blog/2010/06/29/index.html

学校から自転車で15分ほど移動して海中展望塔の玄関口であるレスト竜串に到着です。
この日は、その2階の部屋が教室。

まずは基本的な事を頭に入れていきます。

手渡された資料をもとにお話いただき、海中展望塔の歴史や建物の造り、よく見られる魚などを学んでいきます。
また、海底館でお客さんから良く聞かれる質問もいくつか教えていただきました。
基本的なことをおさえ、今度はガイドについて。
これは百聞一見に如かずです。
説明を耳で聞くより実際に文野さんのガイドを体験する方がよいでしょう。
ここではこんな感じで案内すると良いというようなポイントを子どもたちに伝授していただきました。


途中、文野さんのガイドをまねて身振り手振りで復唱練習もしてみました。


展望塔内にて

展望塔内で魚を観察しながら学習している途中、北海道からの団体様が入ってこられました。
そこで、文野さんが実際にお客さんからの質問に素早くハキハキと案内する姿も見ることができました。
実戦の見学です。
これは、子どもたちにとってガイドをすることのイメージ作りとしてはよいタイミングでした。

とはいえ、まだまだ自分たちがガイドをする実感をもてていないようで、今ひとつ他人事。
ガイドの練習を重ね、本番の日が近づくにつれ徐々に自覚も出てくるでしょう。
休み時間のテンションくらいの笑顔と元気で、他の地方からいらっしゃるお客様を迎えてほしいですね。

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2010年11月05日 〔マリンワーカー事業〕足摺地域のオニヒトデ駆除

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

これまでのグリーンワーカー事業から海域における事業を分け、今年度よりマリンワーカー事業というものを実施しています。
足摺宇和海国立公園の海域でもこの事業を展開しています。
主にはサンゴ食害生物の駆除ですが、
今年は、酢酸をオニヒトデに直接注射し海中で駆除する手法も調査しています。

11月4日に、竜串湾にてオニヒトデ駆除が行われました。
地元の方を中心としたダイバーに駆除作業をしていただきました。
駆除の実施場所は、竜串湾内の弁天島南・メクサレ(海域公園地区2号地)・大碆(海域公園地区2号地)の3箇所(下図参照)です。

海域公園区域図(今年から自然公園法改正により海中公園地区は海域公園地区に変更。)

今年に入って初めて実施する場所です。

2ヶ月ほど前に、千尋岬の先端や東側にて実施した際、800匹以上のオニヒトデが地元ダイバーによって駆除されました。
それらが徐々に竜串湾内に侵入してきていると聞きます。

この日天気は晴れ、しかし海水温は23℃です。

先端がカギ状の道具で駆除していきます

ダイバーの皆さんはドライスーツに身を固め、先端がL字のカギ状の駆除道具を手に海に潜っていきます。

3箇所の駆除合計数は、約130匹。

今回駆除されたオニヒトデ

2ヶ月前に千尋岬で駆除した数に比べれば、少なく感じるかもしれません。
海流に乗ってやってくるものをこの千尋岬が竜串湾の砦のような存在になっているようです。
しかし、海域公園地区にも指定されている場所に、これだけのオニヒトデがいるということは、竜串湾の貴重なサンゴが食害の脅威にさらされているということです。
普段の生活では目に見えない海の中。縁の下の力持ちならぬ、海面下の力持ちとなって、この作業を実施してくださるダイバーに感謝ですね。

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2010年10月21日第6回滑床山植生回復検討会

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

10月20日、第6回目の滑床山植生回復現地検討会が行われました。
これは、裸地化が進んでいる滑床山(三本杭)の植生回復の対策を検討するために開かれています。

地元関係者や関係行政機関、森林総合研究所四国支所等、16団体33名の参加でした。

柵内外のササの現状をみる

国立公園でもあり、鳥獣保護区や水源保安林でもあり、地域にとっては観光資源の場でもあります。
現在、シカ防護ネット柵の設置や、その中でササの移植等が対策として行われています。

様々な立場の参加者。
保護する目的は違えど、滑床山の現状をよしとしている人はいません。

変化していく現場を直接見て感じて、その対策考えていく事が大切。
それぞれの立場からの見解を聞きつつ現地を見ていきました。

新たに設置された柵や対策後の変化(ササ移植の推移等)の説明、意見交換等がありました。

地下茎で生長するミヤコザサは、地上部分がシカ食害の圧力にかかっても、土中で少しずつ茎を伸ばすことができます。
そのため山頂周辺は、柵の効果も出て着実に地表を覆い始めています。

滑床山(三本杭)の防鹿柵内の移植ササの様子

2009年6月

2010年10月

しかし柵を設置することで他のエリアにしわ寄せが行くことは必然です。
根本的な解決のためにどうすればよいのか。
現在の仕組みで実施可能かどうかではなく、川上から川下までを見通して何がより最善かを検討することも新たな解決の道が開けるひとつかもしれませんね。

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2010年10月15日〔グリーンワーカー事業〕篠山のアケボノツツジ保全

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

篠山にあるアケボノツツジ群落を保全するため、環境省ではこれまで様々な対策を行ってきました。

根返り防止用ワイヤー

アケボノツツジの根返り防止対策としてのチップマットやワイヤー設置も、かれこれ設置から5年ほど経ちます。
ワイヤーは部分的な補修で機能が維持できるのか、撤去する方がよいのかを見直す必要があるだろう。
ということで、今後の対策の確認のため10月13日に篠山へ行ってきました。

秋の篠山

強い雨風の影響を受けやすい篠山。ワイヤーが所々外れていたり、壊れていたり、なくなっていたり・・・。
木の根元のチップマットも今はその痕跡がなんとなく確認できる程度。




場所によっては、ササの生長が見られチップマットが隠れている所もあります。

しかし、「アケボノツツジ群落の保全」のためには引き続き対策が必要です。

そんな篠山を歩いていると、雄シカの雌を呼ぶ声が山の中に響いていました。
シカも生きるために必死です。

今年度の篠山のグリーンワーカー事業では、これまで実施してきた対策を見直すことを中心にして、シカの食害からササを守る柵の維持補修、ワイヤーの整理を行う予定です。

アケボノツツジ満開の時期以外も訪れてみると、また別の篠山が味わえると思いますよ。

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2010年09月29日宇和海のサンゴ食害生物駆除

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

愛媛県の補助事業で、宇和海海中公園サンゴ礁保護対策事業が行われています。
事務局が愛南町にある宇和海海中資源保護対策協議会により、平成3年からサンゴを食べるヒメシロレイシガイダマシやオニヒトデの駆除を実施しています。


今年は9月中旬より11日間行われており、9月27日に同行させていただきました。
この日はあいにくの天気で雨、しかし、駆除するダイバーにとっては海中作業なので問題なし。
愛南町の西海支所より出発し、ダイバー6名、船員2名、役場より1名が船に乗り込み、この日は当木島周辺へ。

頼もしい駆除実施ダイバーたち

準備のできたダイバーたちは、それぞれ駆除用器具を手に海へと潜水。
年々、宇和海側ではあまり見られなかったオニヒトデも徐々に駆除数が増えてきているようです。



駆除されたオニヒトデとヒメシロレイシガイダマシ

この日は当木島・烏帽子碆の2箇所で行われ、駆除数はオニヒトデ61匹、ヒメシロレイシガイダマシ約2.5kgでした。

また、今年は全国的に暑い日々が続き、大きな台風も来ていないためか、海水温が上がりサンゴの白化現象が起きていると耳にします。
足摺宇和海も例外ではありません。

サンゴの白化の様子

この日船上からも、サンゴの白化現象が確認できました。
まるでサンゴが海中でライトアップされているかのように浮き上がり、その範囲の広さにも驚かされました。


「日本のいのち、つないでいこう!COP10まで19日前」
COP10実行委員会のHP http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/
生物多様性ホームページ http://www.biodic.go.jp/biodiversity/

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2010年09月14日【大月PV】第20回コーラル&フィッシュウォッチング

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

9月11日(土)、大月エコロジーキャンプ場にて大月地区パークボランティア(以下PV)の会主催のイベント「コーラル&フィッシュウオッチング」が開催されました。
このイベントも今年で20回目、参加者やPV等を含め総勢54名でイベントの幕開けです。

午前中は、参加者を受け入れる下準備をせっせとみんなで整え、午後からスタート。
遠くは岡山から参加されたご家族も。

シュノーケリング体験

開会式の後は早速着替えて浜へ移動し、シュノーケリングです。
グループに分かれて、最初は浜の近くでPVの指導のもとシュノーケルの練習や生きものの解説を受けました。
そのあとは、ボートで移動して魚やサンゴがきれいに見えるスポットへ。
およそ3時間のシュノーケリングを楽しみました。

ひと息ついて夕方からは交流会です。
徐々に暮れていく中、PVや地元の婦人グループによる、ずらりと並んだ手料理を前に乾杯。
ワラ焼き体験もありのカツオのたたきはあっという間に完食。
その他さつま汁や魚飯などの地元の料理に参加された方々は大満足の様子でした。


カツオのワラ焼き体験・交流会

これを通してPVの活動に興味を持ってくれる人が増えるといいですね。


「日本のいのち、つないでいこう!COP10まで34日前」
COP10実行委員会のHP http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/
生物多様性ホームページ http://www.biodic.go.jp/biodiversity/

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2010年09月13日第4回環境学習「グラスボートでいく海と見残し海岸」

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

7月に予定していたグラスボートでの海の観察は、天候不順により9月に延期しました。
が、今回予定していた9月9日、台風9号の影響が・・・。
またもや延期かと心配しましたが、船長の判断により決行することに。

今回の講師は、昨年同様、竜串観光汽船の船長、竹葉さん。
(竜串観光汽船 http://www.kankosen.ecnet.jp/ )
9月に入り朝晩は秋の風を感じてきましたが、土佐清水の日中はいまだに真夏を思わせる暑さと紫外線。まだまだ熱中症の注意が必要です。

見残し海岸へ行くためのグラスボートへ乗り込みます。
と、その前に昨年同様に「乗船テスト」の用紙が配られました。

乗船テスト中

「昨年は難しかったようなので今年は簡単にしました。」と船長。
軽いプレッシャーを感じつつ頭を抱えながら海の生きものや土佐清水に関する設問10問を解いていきます。答え合わせをして愕然、知っているようで知らない土佐清水のこと。
ここでしっかり頭にたたき込んで、ようやくグラスボートへ乗船。

台風9号の直後の割にはクリアに見えました

今年は大きな台風が来ていないため海水温は上昇気味。
そのため竜串湾内でもサンゴの白化現象が起こっており、船長の解説のもとその様子を観察しました。


奇岩の中の様々な化石を探す

見残し海岸へ上陸し奇岩に含まれている生きものや波などによって形成された様々な化石を探しては観察していきました。
所々に命名されている奇岩の1つ“人魚御殿”でお昼休憩。

三崎小の人魚たち

見残し海岸が海中にあった頃は、子どもたちがお昼休憩をとるこんな様子で人魚がここに腰を下ろしていたのかもしれませんね。





「日本のいのち、つないでいこう!COP10まで35日前」
COP10実行委員会のHP http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/
生物多様性ホームページ http://www.biodic.go.jp/biodiversity/

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2010年09月01日利用者数カウンター始動〈足摺岬〉

足摺宇和海国立公園 土佐清水 新堀麻子

お盆が明けてから、スコールのような雨が降ったりカンカン照りになったりと1日の中でめまぐるしく変わる天気の中、8月下旬に登山者カウンターを1台設置しました。
9月より始動です。
山の中ではなく足摺岬園地を利用する方々のカウントなので、正確には“利用”者カウンターですね。


カウンター設置(ソーラーパネルの向きを調整中)


足摺岬には観光案内所があり、観光ボランティアの方々が利用者をカウントしています。
とはいえ、市内に幾つかある観光案内所を交代で配置されているため、毎日通しでカウントされているわけではありません。

土佐清水市の観光課の方とも話を進め、季節によって月によって、また日や時間によってどんな入り具合かを知るためにも足摺岬園地の入り口に設置するのが良いのではないかということになり、情報共有することになりました。

足摺岬園地のジョン万次郎像の近くに設置

来年度から本格的に利用者数をデータ化できるように、カウントデータの解析をしていく予定です。
今年度のこれからの半期でカウンターの性能を見つつ、実際の利用者数とのおかしな点が出ないように安定したものにしていきたいと思います。



「日本のいのち、つないでいこう!COP10まで47日前」
COP10実行委員会のHP http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/
生物多様性ホームページ http://www.biodic.go.jp/biodiversity/

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