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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

鳥取県 命の山・国立公園大山・大山寺周辺の植物たち

2016年07月04日
大山隠岐国立公園

ご訪問ありがとうございます。

今年、2016年から始まる国民の日「山の日」が近づいてきました。

これは、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する日」として8月11日に定められました。ここ国立公園大山においても、はっきりとした四季の移り変わりと豊かな自然環境を有しています。そして自然環境だけでなく、人の営みにより文化や歴史が生まれました。また多くの動植物たちがたたずむ奥深い魅力的なフィールドでもあり「命の山・大山」と言えます。

山の日が始まる今年、大山の魅力を改めて感じながら6月29日(水)に大山寺周辺を巡視しました。
大山寺周辺の植物たちも日々刻々と成長してきています。
どうにかすると花の開花は週替わりと言っても過言ではありません。それでは、大山寺周辺の植物を紹介します。

アカショウマ

大山夏山登山道入口でアカショウマが出迎えてくれました。

日本が原産であり、東北地方南部から近畿地方にかけての本州、四国、九州各地に分布しているとされるが、ここ大山にも分布しており、山地や落葉広葉樹林の林縁、丘陵地などに明るい林内に自生しています。

エゾアジサイ

落葉性小低木で高さ2mくらいになります。多雪地帯に分布し、太平洋側のヤマアジサイよりも全体的に大きいです。パステル・ブルーに輝くエゾアジサイがこの梅雨時の大山で大変輝いて見えます。

ドクダミ

ドクダミはジュウヤク(十薬・重薬)とも呼ばれています。ジュウヤクの由来は、十の薬効、十の解毒作用があることから、十薬という説や、薬効が多いことからたくさんの薬を重ねて使うという意味での重薬からという説。また、薬効が多い重要な薬という説もあるそうです。
なんとも言えないくらいユニークで愛らしい
形の花です。

ホタルブクロ

梅雨入り頃に咲く、ホタルブクロは白い釣り鐘状の形をした花で、ぷっくりとした形がなんとも愛らしく感じます。この花名の由来は、「火垂る(ほたる)」が語源という説があります。ホタルブクロの花が手に持つ提灯に似ていることから、「火垂る袋」と呼ばれるようになったそうです。

ウツギ

北海道南部、本州、四国、九州に広く分布し、山野の路傍、崖地など日当たりの良い場所にふつうに生育すると言われています。梅雨時の白い花はいっそう爽やかな雰囲気を与えてくれます。大山では多く見ることが出来ます。

シモツケ

清少納言の「枕草子」には、「草の花は、しもつけ(下野)の花、あし(葦)の花」とあります。また名前の由来は、下毛野(シモツケノ)の略で、下野の国(栃木県)に多く自生していたから呼ばれたと言う説があります。

オオバコ

日本全土に分布し花期は4~10月で人に踏まれるところに生えるそうです。つまり踏まれると種子が粘液を出して靴に付き、何処へでも運ばれる。しかし、踏まれないと背の高い草に負けて姿を消すと言われています。

ミヤマカタバミ

本州、四国、九州、ヒマラヤに分布する多年草で、花色は白、赤、紫、青などがあります。花時期は、35月頃で、5枚の花弁を咲かせます。和名が「片喰」「傍喰」というように、花の片隅がかじられた様に見えるからという説があります。

前回56日に観察したときは、ハイネの詩の一説のように「わが君は花のように清く美しく・・・」と言わんばかりに、白く美しく清楚な花を咲かせていました。また来年までのお楽しみです!

ユキノシタ

前回、52日の巡視時にはまだ花が咲いていませんでしたが、今回は白色、黄色、ピンク色と色彩豊かで美しくたくさん咲きほこっていました。

名前の由来は、ほぼ円形に近い葉っぱが雪の下でも枯れずに残ることや、白い雪のような花の下に葉っぱが見える様子などにちなんで「雪の下(ユキノシタ)」という名前が付けられたそうです。

ヤマツツジ

赤みの強い紅色の花を咲かせるこのツツジを、山野で普通に見ることができたことから「ヤマツツジ」の名前がついたそうです。生育範囲は広くて身近な丘陵の雑木林などでも見ることができます。大山山系においても多く分布しています。

ヒメジョオン

中国の「女苑」という花に似ていて、美しく可愛らしいことから「姫」がつけられたという説や、ハルジオンに似ていて小型であるため当初は「姫紫苑」と名づけられたが、既に「ヒメジオン」という名の植物があったために「姫女苑」に変えられたという説もあります。

オカトラノオ

オカトラノオは日当たりの良い草原に生育する多年生草本。名前の由来は、長く伸びた花序をトラのシッポに例えたもの。初夏に白い花を咲かせる。全体としての姿も美しいが、一つ一つの花も姿が整っていて清楚である。この花は、初めて撮影しました! 

ヘラオオバコ

ヘラオオバコは日本の在来種であるオオバコと同じオオバコ科に属し、その独特な花の形から野の花として散歩道で目立つ花ですが、江戸時代にヨ-ロッパから帰化した帰化種と言われています。葉の形が竹へらの形をしているのでヘラオオバコの名がついています。

オオバギボウシ

「擬宝珠(ギボウシ)」は、橋の欄干(らんかん)などの上端につける装飾具のことです。花の蕾の時の形が「擬宝珠」に似ていて、この仲間(ギボウシ属)では、際だって葉が大きいので「オオバ」と付けられています。

クマシデ

この仲間は果穂に特徴があり、玉串やしめ縄につけられる白い紙を折った「四手(しで)」にどことなく似ていることから「シデ」が付けられ、また「クマ」は、果穂の果苞が密で、アカシデやイヌシデの果穂よりも大きく見えることからのようです。

イラクサ

イラクサの葉に小さな刺(とげ)があり、それがヒトの肌に触れると、不快になりイライラすることから来てイラクサと名付けられました。この刺に触れると、腫れることがあるため、注意が必要です。

ミヤマイラクサ

イラクサ科イラクサ属、山間部の開けた場所などに生える多年草。新芽は山菜として珍重されています。葉や茎に刺があって刺さる と非常に痛痒くなります。刺にはヒスタミンなどの毒液があって強い痛みを感じます。イラクサは蕁麻と書くそうで、これから蕁麻疹の言葉が出来たようです。

マムシグサ

名前の由来は葉の鞘(さや)の模様がマムシの模様に似ているから、や花の様子がマムシが鎌首をもたげている様子に似ているから等が一般的です。

緑色の実が、今後は真っ赤な実に変わります。

色鮮やかな植物や、珍しい生き物を探しながら歩くのは、山歩きの楽しみのひとつと思います。東南アジアから生まれ故郷大山に戻ってきたキビタキたちの姿を見ると登山の疲れも忘れてしまいます。

また一方では、自然の中で楽しむときに忘れていけないのは、そのフィールドの環境を壊さないということ。ゴミを出さないこと、トイレの美化に努めること。トイレのマナーとして気持ちよくトイレを使える背景には、スタッフの方々の努力があることを忘れずに利用していただきたいものです。

みなさまのご協力をよろしくお願いいたします。

美しい国立公園大山にどうぞ足をお運びください。

そして素晴らしい自然環境を堪能してください。

最後までご覧くださり大変ありがとうございました。