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中国四国地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中国四国地区]

ミヤジマトンボの生息地に防護柵を設置しました 

2015年08月17日
瀬戸内海国立公園 大髙下理恵

近年、瀬戸内海の島々ではイノシシが海を渡って畑などを荒らす被害が増えています。

宮島でも以前はたまに掘り返した跡を見かける程度でしたが、

今は市街地の至る所で見られ、

その被害は絶滅危惧種ミヤジマトンボの生息地にも及んでいます。

[ヒトモトススキがなくなった潮汐湿地]


イノシシが直接ヤゴを食べることはありませんが、

ミヤジマトンボが羽化したり隠れたりするのに利用している

ヒトモトススキが食べられる被害などが発生しています。

数年前から徐々に食害や掘り返しがあり、

殆どなくなってしまった生息地もあります。

今のところミヤジマトンボの生息数に影響は出ていませんが、

ヒトモトススキがなくなれば生息数減少につながりかねないことから、

ミヤジマトンボ保護管理連絡協議会(以下、協議会)で

イノシシの防護柵を設置することになりました。


3月に環境省で1箇所、

7,8月に県、協議会で2箇所に設置。

協議会で造成した生息地においては協議会メンバー自ら柵を設置しました。

といっても場所は潮が入り石が堆積した自然海岸。

面積は狭いものの、地面に高低差があったり、

小石が多く支柱がささらないなど

畑に防護柵を設置するより数倍大変でした。

[支柱一本に打ち込み100回以上必要なことも...!]

[支柱の後は柵とアンカーを打ち込みます。]

それでもメンバー一丸となって何とか防護柵を設置することができました。

[防護柵完成!]


大きなヒトモトススキはほぼ壊滅状態ですが、

若芽が少し生え始めていました。

防護柵の甲斐あって

以前のようなヒトモトススキが茂る潮汐湿地に戻ってくれればと思います。

[ヒトモトススキの若芽]